「平々凡々な半生。とくに変わったことはなかった」といっているひとでも、なにかしら「ひととはちがったこと」を経験しているもので。
その逆に「波瀾万丈だった」という、そのひとのイキザマを聞いてみると「意外とフツーじゃん」と感じてしまったり。
結論としては、自ら「山あり谷あり」感を出さないほうがいいんじゃないか―になるのだが、映画史を眺めてみると「こりゃ、そーとーだよ。本人の映画以上かもしれない」と思う映画監督が数人居て。
17歳の少年に殺害された、パゾリーニ。
そして、殺人事件の「遺族」であり、性犯罪の「加害者」でもあるロマン・ポランスキーである。
ポランスキーの半生は、いつかきっと映画化されると思う。
映画監督しての才能は疑いようがないのに、私生活におけるスキャンダルが強烈に過ぎて、その評価が「もやっ」としてしまう厄介なひと。
68年、女優のシャロン・テートと結婚。
ゾクゾクするほどの美人だが69年の8月、ヒッピー集団「チャールズ・マンソンと、その一味」に惨殺されてしまう。
テートはこのとき、子どもを身ごもっていた。
どん底状態でも、ポランスキーは映画を撮りつづけた。
そうすることがリハビリにもつながったのだろうが、このころに撮った『チャイナタウン』(74)を観ると、あんまりこういう書きかたはしたくはないのだが・・・
「あんなことがあったひとだから」この高みに到達出来たのではないか、、、と評せるほどに、独特な光を放っている。
星野源が大病のあとに『地獄でなぜ悪い』を歌った感覚にちかいのかもしれない。
しかし・・・。
77年―俳優ジャック・ニコルソンの邸宅で、13歳の少女を強姦。
ポランスキーは保釈中に国外逃亡を図り、パリに移る。
以来、米国の地を踏んでいない。
だから『戦場のピアニスト』(2002)でオスカー監督賞を受賞した際、会場には姿を見せられなかった。
※故人でもない受賞者が、壇上に上がらないケースは数えるほどしかない。
スコセッシもスタンディングオベーション、カメラは意地悪にも? ジャック・ニコルソンを捉える。
会場の様子からすると、皆、ポランスキーを真に祝っているようだ。
『戦場のピアニスト』を好きだというひとに、この話をすると「え、あんな感動的な映画を撮ったひとが…!?」と驚き、嫌悪することもあるが、基本的には作品と、それを創ったものの人格は切り離すべき。
・・・とは分かっていても、そう出来ないのが、好き嫌いの感情を有する人間というもので。
この事件には諸説あり、ほんとうのところは当事者のみしか分からない。
少なくとも示談は成立しており、事件としては解決した、、、かに見えて、そうなっていないのは、「内容的に」あまりにも印象が悪いからかもしれない。
(少女に飲酒させ、判断能力を鈍らせた時点でアウト)
事実、日本時間で24日に開催される仏セザール賞の審査委員長を務める予定だったが、フェミニスト団体の強い反発を受け就任を辞退する騒動が起こった。
40年前、、、とはいえってことか。
それでもポランスキーは、米国に帰還する意思があるようだ。
司法が絡むため複雑な流れにはなるが、ポランスキーが米国の地を踏んだ場合、彼が受けるであろう処分は保護観察になるもよう。
現在83歳、映画界にとっては「代わり」の居ない特異なポジションに居るひと。
キャリア前半に起こったふたつの悲劇を見つめ直すことによって、彼だけが表現出来る映画を撮ってくれるかもしれない。
だから、ポランスキーの願いが叶えられればいいな、、、と思う。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『オスカー予想、最終版』
その逆に「波瀾万丈だった」という、そのひとのイキザマを聞いてみると「意外とフツーじゃん」と感じてしまったり。
結論としては、自ら「山あり谷あり」感を出さないほうがいいんじゃないか―になるのだが、映画史を眺めてみると「こりゃ、そーとーだよ。本人の映画以上かもしれない」と思う映画監督が数人居て。
17歳の少年に殺害された、パゾリーニ。
そして、殺人事件の「遺族」であり、性犯罪の「加害者」でもあるロマン・ポランスキーである。
ポランスキーの半生は、いつかきっと映画化されると思う。
映画監督しての才能は疑いようがないのに、私生活におけるスキャンダルが強烈に過ぎて、その評価が「もやっ」としてしまう厄介なひと。
68年、女優のシャロン・テートと結婚。
ゾクゾクするほどの美人だが69年の8月、ヒッピー集団「チャールズ・マンソンと、その一味」に惨殺されてしまう。
テートはこのとき、子どもを身ごもっていた。
どん底状態でも、ポランスキーは映画を撮りつづけた。
そうすることがリハビリにもつながったのだろうが、このころに撮った『チャイナタウン』(74)を観ると、あんまりこういう書きかたはしたくはないのだが・・・
「あんなことがあったひとだから」この高みに到達出来たのではないか、、、と評せるほどに、独特な光を放っている。
星野源が大病のあとに『地獄でなぜ悪い』を歌った感覚にちかいのかもしれない。
しかし・・・。
77年―俳優ジャック・ニコルソンの邸宅で、13歳の少女を強姦。
ポランスキーは保釈中に国外逃亡を図り、パリに移る。
以来、米国の地を踏んでいない。
だから『戦場のピアニスト』(2002)でオスカー監督賞を受賞した際、会場には姿を見せられなかった。
※故人でもない受賞者が、壇上に上がらないケースは数えるほどしかない。
スコセッシもスタンディングオベーション、カメラは意地悪にも? ジャック・ニコルソンを捉える。
会場の様子からすると、皆、ポランスキーを真に祝っているようだ。
『戦場のピアニスト』を好きだというひとに、この話をすると「え、あんな感動的な映画を撮ったひとが…!?」と驚き、嫌悪することもあるが、基本的には作品と、それを創ったものの人格は切り離すべき。
・・・とは分かっていても、そう出来ないのが、好き嫌いの感情を有する人間というもので。
この事件には諸説あり、ほんとうのところは当事者のみしか分からない。
少なくとも示談は成立しており、事件としては解決した、、、かに見えて、そうなっていないのは、「内容的に」あまりにも印象が悪いからかもしれない。
(少女に飲酒させ、判断能力を鈍らせた時点でアウト)
事実、日本時間で24日に開催される仏セザール賞の審査委員長を務める予定だったが、フェミニスト団体の強い反発を受け就任を辞退する騒動が起こった。
40年前、、、とはいえってことか。
それでもポランスキーは、米国に帰還する意思があるようだ。
司法が絡むため複雑な流れにはなるが、ポランスキーが米国の地を踏んだ場合、彼が受けるであろう処分は保護観察になるもよう。
現在83歳、映画界にとっては「代わり」の居ない特異なポジションに居るひと。
キャリア前半に起こったふたつの悲劇を見つめ直すことによって、彼だけが表現出来る映画を撮ってくれるかもしれない。
だから、ポランスキーの願いが叶えられればいいな、、、と思う。
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明日のコラムは・・・
『オスカー予想、最終版』