Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(370)

2021-03-26 00:10:00 | コラム
しん「ぶん」→「ぶん」げい

非オリジナル作品、
つまり「原作小説あり」の映画を、文芸映画と呼ぶ。

「文芸」の硬い? イメージゆえか、古典小説の映画化以外のものを文芸映画と呼ぶことにためらい、、、みたいなものを感じてしまうこともあるけれど、
原作小説があれば、ぜ~~~~~~んぶ文芸映画と呼んでいいのです。

映画と相性がいい作家、そうでない作家というものは、まちがいなく存在して。

相性がいいのはシェイクスピア、清張、キングでしょう。
後者の代表は、たとえば漱石とか。


というわけで。
原作超えを果たしたと思われる、
あるいは、
原作と拮抗したと評価出来る文芸映画の10選を。


『炎上』(58)

三島由紀夫の名作『金閣寺』を市川崑が映画化、
市川雷蔵はもちろん、友人役の仲代も最高だった。

注文をつけるとするならば、カラーで観たかった。


『砂の器』(74)

原作は清張モノとしては弱い、、、というのは、識者がよく言及すること。

映画が成功したのは、原作では数行に満たぬ遍路シーンを日本縦断ロケーションで映像化したことによる。

映画化に奔走した橋本忍の努力が、完璧な形で報われた。




『赤ひげ』(65)

山本周五郎の原作を黒澤が美しいモノクロームで映画化。

三船との最後のタッグ作としても忘れ難い。


『風と共に去りぬ』(36)

マーガレット・ミッチェルの名著を総天然色! 222分! をかけて映画化。

小津さんの敗北感がエグいほどだったこと、想像に難くない。



『ノーカントリー』(2007)

コーマック・マッカーシーの『血と暴力の国』をコーエン兄弟が映画化、
いつものユーモア描写は控え目、厭世観に支配された映像がすごい。




『ジャッキー・ブラウン』(97)

エルモア・レナードの『ラム・パンチ』を、自身が少年時代にオナペットとしていたパム・グリアを起用して映画化したQT、あんた最高だぜ!!



『キャリー』(76)

キングの処女作をデ・パルマが映画化、
シシー・スペイセクあってこそ。だとは思うが、キングが認めるのも納得の「原作超え」映画。


『怒り』(2016)

吉田修一の力作をオールスターキャストで映画化。

こういう、重た~い物語がメジャーで撮られることはおおいに意義があると思う。



『ブレードランナー』(82)

フィリップ・K・ディックによる『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を、最高のスタッフワークで映画化。

じつはこの映画化権、最初にゲットのチャンスがあったのはスコセッシだったという!


『すばらしき世界』(2021)

現在公開中。

佐木隆三の『身分帳』を西川美和が映画化、まちがいなく21年度を代表する映画。


次回のしりとりは・・・
ぶんげ「い」→「い」ふ。

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明日のコラムは・・・

『プレッシャーは好きですか。』
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シネマしりとり「薀蓄篇」(369)

2021-03-25 00:10:00 | コラム
い「し」→「し」んぶん

昔からの関係性ってものがあるということは理解しているんだけれども・・・

なによりも腹立つのが、

石原慎太郎もそうだったか、某麻生とかが新聞記者を蔑称的に「ブンヤ」というところなんだよね。

それを踏まえたうえで。
先日の「マスクいつまで?」的な投げかけも、ものすごいエラソーないいかただったでしょ。

あの時点で対等じゃないよ、オメーはどれほどのものだっていうんだ。

呆れつつ「それがあのひとだから」と笑う向きが多いのも知っている、
けれどもやっぱり、立ち位置の時点で間違っているような気がするんだよな~、立ち位置というか「ありかた」というものが。

いいよもう、べつに。
トシもトシだし、変わることがないのだろう、ああいうひとは。
きょうのテーマは政治ではなく、新聞のほうだし。

ただ政治と新聞が切っても切れない関係にあるのは事実。
出来れば良好な関係をつづけていきたいと思っているのは、記者よりも政治家のほうでしょう。

だから悪く書かれれば、態度だって変わっていくのかもしれない。


ところで。
紙が売れないってね。

いまに始まった話ではない、20年くらい前から購読者は減りつづけている。
とくに最近は、異常な速度で。

当然といえば当然なのかも。

自分は新聞奨学生だったという過去があるから取りつづけるけれど、読売の朝夕刊セットは4300円ですぞ。
これより安いネット料金のコースなんていくらでもあるし、ネットは「いま」を報じてくれるのに、新聞は「きのう起こったこと」が「あす届く」という覆しようのない欠点もあって。


それでも信用度でいったら、ネットより高かったりする。
「いま」報じられているもののなかには、誤報や意図的なウソも含まれているからか。

でも正直な話、一晩寝かせたところでウソは見破られなかったりする。

朝日の記者が起こしたサンゴ事件のようなことがあると、信用度が高いゆえに「裏切られ感」も強いのだよね。


理想は、以下の3つの映画に登場する新聞記者の姿かな、やっぱり。


『天国と地獄』(63)の、

記者A「しかしうまいね、まったく。空いた記事の穴埋めに、ナショナルシューズを叩こうっていうんでしょ」
戸倉警部「いや(笑う)」
記者B「しょうがない、派手に叩くか」



『スポットライト 世紀のスクープ』(2015)の、

「わたしたちは、あきらめない」



そして『大統領の陰謀』(76)の、権威よ死ね!精神。





あすのしりとりは・・・
しん「ぶん」→「ぶん」げい。

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こんな自分でも…

2021-03-24 00:10:00 | コラム
週に4回の深夜の副業、、、って、週4もやっていれば本業みたいなものだが、団地を出発し川沿いを走って鎌倉街道を抜け―というコースで、この時期の川沿いは早朝であれ深夜であれ、そこそこのひとで溢れている。

桜が、見事だから。


あしたの帰りに撮る予定なので、まだ今年の桜の写真はなし。

うん、こんな自分だって桜に触れれば感動するんですよ、そのくらいの感受性は「なんとか」有している。

ってなわけで、あと数日間は心地よく通勤出来そうです。。。


※ケツメイシの名曲、あまりにも違法アップロードが多いから、とうとう公式がアップするというね笑



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映画スタッフ別10傑(3)ジョン・ウィリアムズ

2021-03-23 00:10:00 | コラム
~ジョン・ウィリアムズのキャリア10傑~

映画音楽の大家、といえばこのひと。

89歳、オスカー受賞は5回、グラミー賞受賞にいたっては25回。
いつか音楽の教科書に載るんじゃないかっていうくらいの存在で、
映画を観ていなくてもテーマ曲だけは知っている―その作曲者を探ってみたらこのひとだった、、、みたいなケースはいくつもあるんじゃないかな。

とくにスピルバーグ映画でその才能をいかんなく発揮したひと、しかし作家というより、大作との相性がいいのでしょうなぁ!!


(1)『インディ・ジョーンズ』シリーズ(89~)

この映画で生ずるワクワク感の正体ってじつは、映像ではなく、音楽からのものでは?




(2)『シンドラーのリスト』(93)

恐竜大暴れ映画のテーマパーク的音楽を手がけつつ、ほぼ同時に、こんなにセンチメンタルな曲調を作っているなんて!!

スピルバーグとのコラボ作品では、好みを優先すればこれがいちばん好き。


(3)『JFK』(91)

じつはオリバー・ストーンも好んでオファー、
スリリングな描写にどれだけ貢献しているのか、無音にしてみればすぐに分かる。




(4)『ジョーズ』(75)

これぞ、本編を観ていなくとも…の好例。

亜流やパロディが量産されることは、発表と同時に予測は出来たろうね。



(5)『スター・ウォーズ』シリーズ(77~)

一気に現実を忘れることが出来る、革命的なオープニング。



(6)『7月4日に生まれて』(89)

よく聴いたサントラの1枚。

トラック順に聴いていくだけで、米国の、ある一面が浮かび上がってくるようで。。。


(7)『スーパーマン』(78)

この物語のイメージまで決定づけたような、そんな力強さがあって好き。




(8)『ホーム・アローン』(90)

こんなのも出来るんだぜぇ、、、というドヤ顔が浮かぶ。

実際、自分もちょっと驚きました。その器用さに。


(9)『SAYURI』(2005)

けっして代表作とはいえないけれど、雰囲気作りに最も貢献したように思われる。

俳優よりも、衣装よりも、美術よりも。


(10)『タワーリング・インフェルノ』(74)

センチメンタルさや器用さに驚くこともあったけれど、ナンダカンダいって、このひとに似合うのは大作でしょう。

それを再認識させられる作品。

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『こんな自分でも…』
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にっぽん女優列伝(248)原田美枝子

2021-03-22 04:12:36 | コラム
58年12月26日生まれ・62歳。
東京出身。

公式プロフィール


クスリやっちゃあおしまいだったけれど、沢尻エリカの不遜で生意気な態度って嫌いじゃなかったですし、ああいうのって、若くて青いから許される貴重な「時間」だと思うのですよね。
加賀まりこ的といいますか、秋吉久美子的といいますか、そして、原田美枝子(はらだ・みえこ)さんだって、出たてのころは「そういう感じ」濃厚だったわけで。


原田さんのように、歳を取って丸くなっていくひとも居れば、加賀まりこのように、そのまま突っ走るひとも居ますけどね笑

原田さん、大好きです。
このひと出ていればまちがいない、そんな風に思っています。




<経歴>

夫は俳優の石橋凌。


長女はシンガーソングライターの優河、次女は近年目覚ましい活躍を見せている俳優の石橋静河。



実質的な映画俳優デビュー作は、74年の『恋は緑の風の中』。
現役女子高生でしたが、すでにヌードシーンがあり、このあたりは時代だなぁと思いますね。

『炎の肖像』(74)、『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』(75)、『凍河』(76)、『大地の子守歌』(76)。

すでに目利き? には注目の存在でしたが、ATG×長谷川和彦の『青春の殺人者』(76)で水谷豊の恋人・ケイ子を魅力的に演じて人気爆発、「ときのひと」となりました。

『北の宿から』(76)、『錆びた炎』(77)、『恋人岬』(77)、『残照』(77)、『トラック野郎・突撃一番星』(78)、『赤穂城断絶』(78)、『その後の仁義なき戦い』(79)、二役に挑戦した神代辰巳の『地獄』(79)、『あゝ野麦峠』(79)。
『翔べイカロスの翼』(80)、相米慎二のスマッシュヒット作『翔んだカップル』(80)、

この80年には制作と脚本もこなした『ミスター・ミセス・ミス・ロンリー』も発表、筋はともかく、原田さんの魅力が炸裂した珍作でファンは必見でしょう。

『ダンプ渡り鳥』(81)、『なんとなく、クリスタル』(81)、『父と子』(83)、『もどり川』(83)、
『乱』(85)で黒澤組に初挑戦、楓の方を演じる。

『幕末青春グラフィティ Ronin 坂本竜馬』(86)、『火宅の人』(86)、『プルシアンブルーの肖像』(86)、『国士無双』(86)、『帝都物語』(88)、
『夢』(90)、『式部物語』(90)、
『息子』(91)は、山田洋次の作品としては可もなく不可もなし、、、だとは思うのですけど、原田さんのハイレグ水着姿が拝めるので個人的には大好きです((´∀`))

『怖がる人々』(94)、『超能力者 未知への旅人』(94)、『絵の中のぼくの村』(96)、
そして『青春の殺人者』以来の代表作誕生と評価出来るであろう『愛を乞うひと』(98)に主演、虐待する母親(過去)と、それによりトラウマを抱える娘(現在)の二役を熱演しました。

『虹の岬』(99)、『雨あがる』(2000)、『はつ恋』(2000)、『非・バランス』(2002)、『折り梅』(2002)、『木曜組曲』(2002)、

桐野夏生の傑作小説を中堅俳優たちの熱演でリアルに映像化してみせた『OUT』(2002)。



『仔犬ダンの物語』(2002)、『半落ち』(2004)、『亡国のイージス』(2005)、『THE 有頂天ホテル』(2006)、『どろろ』(2007)、『包帯クラブ』(2007)、『茶々 天涯の貴妃』(2007)、『ブタがいた教室』(2008)、『60歳のラブレター』(2009)。
『レオニー』(2010)、『聯合艦隊司令長官 山本五十六』(2011)、『ヘルタースケルター』(2012)、『ふがいない僕は空を見た』(2012)、『あなたへ』(2012)、『ミロクローゼ』(2012)、『奇跡のリンゴ』(2013)、『ぼくたちの家族』(2014)、『蜩ノ記』(2014)、『世界から猫が消えたなら』(2016)、『海辺のリア』(2017)、最新作は『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(2018)。

「このひと出てればまちがいない」と書きましたが、これだけオファーがつづくのは、起用する側もそう思っているからでしょう。


次回のにっぽん女優列伝は、波瑠さんから。

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明日のコラムは・・・

『映画スタッフ別10傑(3)ジョン・ウィリアムズ』
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