僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

PSSⅡ…⑦

2017年02月11日 | ケータイ小説「パトスと…」

 

 

 

 

その日の天気予報では夕方から雨の確率が80%、
まだ降り出してはいなかったが、ユキオは傘を持ってプールに出かけた。

 

泳ぎ終わり、常連さん達に挨拶をしロビーに出る。
予報通り冷たい雨が降り始めていた。


傘がない、あれ?

 

違う傘立てに置いたのを勘違いしているのかと思い
別の場所を探したが、やはり見つからない。

 

ってことは、やられたか…

 

透明のビニール傘だが、自分の物と分かるように柄にはっきりと
マークを描いておいたのに、それでも盗まれたのだ。

多分来館するときには降っていなかったので、傘を持たずに来た客が
雨を見て出来心を起こしたのだろう、無性に腹が立つ。
他人の気持ちが考えられない情けない奴だ。

 

日本人は外国から賞賛されるほど道徳心に富んだ国民なのに、
傘と自転車の泥棒は相変わらず多い。

犯人に後悔させるにはどうしたらいいのだろう…
こみ上げる怒りと、たかが傘だろ、とあきらめの気持ちで
混乱するユキオだが、とりあえず今どうやって家まで帰るんだ?

 

どうせプールで濡れたんだから、家まで濡れて帰っても
大したことはない、タオルかぶって帰ろうと決めた時、名前を呼ばれた。

 

「ユキオさん、まだいたの~」
「あぁっゆきさんか、まったっくさぁやられたよ」

「なに、どうかしたの?」
「傘、盗まれた」

「え、そうなの?ひど~い」
「ホント嫌になる、犯人見つけて死刑にした方がいいな」

「どうする?」
「しょうがないから、タオル被って走ってこうかと思ってさ」

「なら、送ってくよ、車だし」
「え、いいの?悪いなぁ、助かるよ」

「じゃぁ入り口で待ってて、取ってくるから」
「済みません、お願いします」

 

 

画像=Twice 「TT」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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