「ちゃんと写真も撮ってあるんだからな、見せようか?」
「そうやって人をバカにして、まったく」
「まったくじゃないよ、明日ケアの人に頼んどくけどな、
不潔だからさ」
「いいよそんなこと」
「明日は行く日だから、風呂入れてもらってから取り替えるんだぞ」
「明日どこへも行かないよ、お風呂なんかいらないよ」
「明日はケア行く日だよ、いつも行ってるだろ、そこ行くんだよ」
「知らないよそんなとこ」
「ふざけんなよ、いつもお迎えがくるだろ」
「あたしなんかもうすぐお迎えくるんだからいいんだよ」
「あぁそうかい、んじゃ早く逝っとくれ」
「いなくなればいいんだろ、もう死にたい、いつもバカにされて」
「そうか、んじゃ死んでくれ、、死んでくれれば助かるわ、すぐ死んでくれ」
「もう生きてたってしょうがない、殺される前に死んでやる」
ガチャン!となにかが壊れる音がした。
ユキオ達は玄関からそっと離れ、無言で車に向かう。
突然玄関が荒々しく開けられ、振り返って眼鏡を投げつけた母親が
杖も持たず顔をくしゃくしゃにして歩き出すのが見えた。