昔話から出てきた夕べ
ニコライ・オメリシュク
半月、厳寒(マロース)がつづいた。
雪のない裸の地面は凍結し、窪地や溝や水たまりは氷でおおわれ、通れなかった秋の泥濘(ぬかるみ)は窪地で凍りついた。
原っぱの草は霜で一面真っ白になって下を向いている。
顔と手が凍てつく。
今日は朝から空気がやわらかでやさしい。一日中靄がかかっていた。
ところが、夕方ちかく、遠い森のうえで夕日が顔をくもらせたと思ったら、黄昏どき、はじめはおずおずとひとひらづつ、それからどんどん雪片が舞いはじめた。
なんて大きな六角模様!
三十分たったら、庭は白くなり、窓はすっかり青色になった。
雪片を通して見える村の灯りは、まるで忘れてしまった古い昔話の挿絵のようだ。
18日朝、札幌のSくんから庭の写真付きのラインで雪が前日から降りっぱなしで66センチつもっているとのこと。テレビで観測史上最深っていってたって教えてあげました。ちょっとうれしいけれど、最近とみに雪かきがつらくなったとのこと。
最初に積もった雪というと私の中にはオメリシュクのこの「昔話からでてきた夕べ」が浮かんできます。雪は見慣れた風景を違ったものに変えます。短い文と写真の『窓辺のナナカマド』という1989年にベラルーシのミンスクで出た本に入ってます。ずっと前に訳しました。ブログにものせたことがあるかもしれませんね。