凌霄花 (のうぜんかずら) 金戒光明寺にて
(つづき)
ご亭主Yさまの茶室はマンションの一室です。
どんな設えや工夫がされているか、お伺いするのが楽しみでした。
玄関脇の小部屋が待合、そこから中廊下を通り、襖を開け茶室へ。
六畳和室を四畳半に改造し、壁床、網代天井、炉も切ってあるとか。
動線がとても良く、採光や通風も工夫されていました。
茶道口に一畳分の板の間があり、リビングを屏風で上手く仕切っていました。
二方(客入り口と茶道口)から入室できるのが、選んだ決め手
・・・というのも頷けます。
初座のお軸は
「清空 不妨 白雲飛」 (清空 白雲飛ぶを 妨げず)
「清空」とは悟りの境地でしょうか。
宇宙や空がお好きだというYさまが
白雲となって青く澄んだ空を自由に飛んでいる気がしました。
もう一度、お軸と風炉の炭を拝見して、中立しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/48/9d048e9f002f9a8b4864c5507f176c4c.jpg)
田村草 季節の花300
後座の茶室へ入ると、楚々とした秋草が露に濡れて、濃茶へと誘います。
運ばれてきた魅力的な茶碗と茶入、美しく確かなお点前、
ふくいくとした茶の薫りに包まれるとすぐに、
「Spiral in Summer」の世界へ引き込まれました。
ほど好い濃さに練れた濃茶をたっぷり頂戴し、
何とも言えない充実感に満たされました。
濃茶は豊昔、池田市にある三丘園詰です。
茶碗は和田桐山作、八ヶ岳窯で制作されたものでした。
野趣豊かな風土を感じる茶碗は一目でお気に入りです。
手に取るとすっぽり入ってしまう、小振りの茶入は瀬戸。
形、姿、釉薬の色、なだれがなんともかわいらしく、
相客がこの茶入との再会を楽しみにしている様子でした。
銘「つばさ」の茶杓と紹鴎緞子の仕覆はご自作です。
最後にもう一つ、「Supiral in Summer」の極め付けを。
それは薄器でした。
黒大棗に不思議な蒔絵が描かれています。
「つぼつぼ」が竜の様に長く繋がって、
雲や波が描かれた空間を漂っているように見えました。
一瞬、銀河鉄道を駆け上がっていく長い列車を連想し、
広大な宇宙へ乗りだそうとしているYさまを思いました。
お尋ねすると、岩淵祐二作の大棗で銘「つぼつぼの道」、
注文主はYさまですが、岩淵氏と茶友Hさまが相談してデザインされたとか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/c0/b140a9876c13c37eb50dca6f4aeea40b.jpg)
田宝(でんぽ)
「つぼつぼ」とは、
三千家家元の替紋のことで、
伏見稲荷を信仰していた玄伯宗旦が初午の土産物の田宝(でんぽ)を
紋にしたと言われています。
裏千家では茶名を拝受すると、つぼつぼ紋を使うことが許されます(紋許)。
茶道を志す者が歩む「つぼつぼの道」へ分け入ったという、
Yさまの覚悟のように思われ、先ほどのお軸「清空 不妨 白雲飛」が
もう一度、頭をよぎっていきました。
「つぼつぼの道」いいですね!
きっと茶友Hさまも岩渕氏も応援していることでしょう。
私たち客一同も心からエールをおくります。
新鮮な刺激をたくさん頂戴した茶事「Spiral in Summer」に深謝します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_fuku.gif)
茶事 「Spiral in Summer」-1へ戻る
(つづき)
ご亭主Yさまの茶室はマンションの一室です。
どんな設えや工夫がされているか、お伺いするのが楽しみでした。
玄関脇の小部屋が待合、そこから中廊下を通り、襖を開け茶室へ。
六畳和室を四畳半に改造し、壁床、網代天井、炉も切ってあるとか。
動線がとても良く、採光や通風も工夫されていました。
茶道口に一畳分の板の間があり、リビングを屏風で上手く仕切っていました。
二方(客入り口と茶道口)から入室できるのが、選んだ決め手
・・・というのも頷けます。
初座のお軸は
「清空 不妨 白雲飛」 (清空 白雲飛ぶを 妨げず)
「清空」とは悟りの境地でしょうか。
宇宙や空がお好きだというYさまが
白雲となって青く澄んだ空を自由に飛んでいる気がしました。
もう一度、お軸と風炉の炭を拝見して、中立しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/48/9d048e9f002f9a8b4864c5507f176c4c.jpg)
田村草 季節の花300
後座の茶室へ入ると、楚々とした秋草が露に濡れて、濃茶へと誘います。
運ばれてきた魅力的な茶碗と茶入、美しく確かなお点前、
ふくいくとした茶の薫りに包まれるとすぐに、
「Spiral in Summer」の世界へ引き込まれました。
ほど好い濃さに練れた濃茶をたっぷり頂戴し、
何とも言えない充実感に満たされました。
濃茶は豊昔、池田市にある三丘園詰です。
茶碗は和田桐山作、八ヶ岳窯で制作されたものでした。
野趣豊かな風土を感じる茶碗は一目でお気に入りです。
手に取るとすっぽり入ってしまう、小振りの茶入は瀬戸。
形、姿、釉薬の色、なだれがなんともかわいらしく、
相客がこの茶入との再会を楽しみにしている様子でした。
銘「つばさ」の茶杓と紹鴎緞子の仕覆はご自作です。
最後にもう一つ、「Supiral in Summer」の極め付けを。
それは薄器でした。
黒大棗に不思議な蒔絵が描かれています。
「つぼつぼ」が竜の様に長く繋がって、
雲や波が描かれた空間を漂っているように見えました。
一瞬、銀河鉄道を駆け上がっていく長い列車を連想し、
広大な宇宙へ乗りだそうとしているYさまを思いました。
お尋ねすると、岩淵祐二作の大棗で銘「つぼつぼの道」、
注文主はYさまですが、岩淵氏と茶友Hさまが相談してデザインされたとか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/c0/b140a9876c13c37eb50dca6f4aeea40b.jpg)
田宝(でんぽ)
「つぼつぼ」とは、
三千家家元の替紋のことで、
伏見稲荷を信仰していた玄伯宗旦が初午の土産物の田宝(でんぽ)を
紋にしたと言われています。
裏千家では茶名を拝受すると、つぼつぼ紋を使うことが許されます(紋許)。
茶道を志す者が歩む「つぼつぼの道」へ分け入ったという、
Yさまの覚悟のように思われ、先ほどのお軸「清空 不妨 白雲飛」が
もう一度、頭をよぎっていきました。
「つぼつぼの道」いいですね!
きっと茶友Hさまも岩渕氏も応援していることでしょう。
私たち客一同も心からエールをおくります。
新鮮な刺激をたくさん頂戴した茶事「Spiral in Summer」に深謝します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/roket.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_fuku.gif)
茶事 「Spiral in Summer」-1へ戻る