暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

茶籠に裂を貼る

2011年12月14日 | 茶道具
茶籠に裂(きれ)を貼っています。

小林先生のどの茶籠にもすてきな裂が貼ってあって、
「いつか私も貼ってみたい・・・」とあこがれていました。

特に感心したのは、裂を貼ると茶籠が一段と個性的になり、
ただの物入ではない存在感を発揮してくることでした。
籠を開け、中の裂地を見た瞬間・・・これも愉しみの一つです。

いよいよ貼る段になって、どれにしようか迷いました。
先生が茶入の仕覆に・・と思っていた裂地を選びだし、
「遠州お好みの柄なので 茶籠の蓋裏にどうかしら?」
当ててみると、とても似合いました。
裂が足りなかったので、本体は別の裂にしました。
               

最初に、茶籠の蓋と中味の寸法を測って、和紙で下張用の型紙をとります。
次に防虫・防腐のために墨汁を和紙に塗り、乾いてから下張をします。
下張をする前に、糊を水で薄く伸ばして下塗りをし、大方乾いてから
墨汁を塗った紙を下張しました。
綿の入ったたんぽんでしっかり上から押えて馴染ませます。

もう一度和紙で型紙をとり、裂を張り付けて乾燥させておきます。
それから、順序に気を付けて下張の上に貼っていきます。

裂を貼ると、茶籠が見違えるほど明るく、優雅になりました。
構造的にもしっかりします。
「同じ茶籠と思えないほど素敵になりました。
 籠に布を貼ることがこんなに楽しいなんて!」と私。

               
               

「いろいろな形の籠や箱に挑戦してみてください。
 茶籠もそうですが、仕覆を作ったり、裂を貼ったりして慈しむと、
 ただの道具からお道具へなっていくのですよ」

茶籠の紐も付け替えるつもりでしたが、
先生の一言で気が変わりました。
「時代を経た色はかけがいのないものよ。その良さを生かしてあげて・・・」
よく見ると、青味を帯びた紐の色がとても好い味わいです
「付け替えずにこのままにします・・・」

               

仕覆を習いだすきっかけになった茶籠ですが、
仕覆づくりや布貼りの楽しさ、年月がつむぎだす美しさなど、
いろいろなことを私に教えてくれています。

                        



茶道具と仕覆展が終了

2011年11月03日 | 茶道具
10月31日に「茶道具と仕覆展」が終了しました。

開催中展示会へ訪れてくださった方々に心から御礼申し上げます。
本当にありがとうございました!
自分の作品、それも始めたばかりの仕覆を見に来て頂いて
嬉しいやら、有難いやら・・・でした。

小林先生の魅惑的な仕覆ワールドを楽しんで頂けましたか?

「仕覆で一番のお気に入りは?」と何人かの方に尋ねてみました。
友人のRさんは薄緑の御物袋(ごもつぶくろ、写真上)を選びました。
「形、布の色と風合い、紐との調和、ひだの美しさが素晴らしいです。
 シンプルだからごまかしがきかない作品ですね」
もちろん、先生の作品です。
先生も満足そうに聞いていらっしゃいました。

               

茶友のSさんからメールを頂きました。
「かわいらしい仕覆、珍しい裂地、どれも素敵でしたが、
 こわくってお値段が聞けませんでした・・・」
「実は私もなんです・・・」と返信しました。

Sさんの一番のお気に入りはシリアの布の仕覆でした。
きっと中の茶碗も拝見したかったことでしょう。

メールの翌日、シリア布の仕覆を開けて見せて頂きました。
小振りな茶碗は時代を感じる白薩摩、菊桐が格調高く、
貫入が少し入っていて、使ってあげたくなりました。
「好いお茶碗ですね。最近、白薩摩の好さがやっとわかってきました」
思い切ってお値段を聞くと、仕覆込みで「○○万円」(ため息・・・)。

先生曰く
「どうしても仕覆より茶道具の方へ眼が行ってしまうので、
 茶道具をお見せするのは最小限に留めました。仕覆を見て欲しいので・・。
 それで、茶籠と茶箱をそれぞれ一つずつ茶道具と仕覆を対比して
 展示したのです。
 ご希望があればどれでもお見せしますよ」

                 
                 (上段の左側が茶箱と茶道具、右側がそれらの仕覆)

蓮華院・名残の茶会があったりで、作品づくりに時間がとれず、
茶籠の仕覆はやっと間に合ったような状況でした。
これから茶籠の中に裂を貼る作業へとりかかります。
それから、茶巾筒の編み袋を作って一先ず茶籠の仕覆の完成です。
完成する日を夢見て、もうひと頑張りです。

                            


開催中です「茶道具と仕覆展」

2011年10月23日 | 茶道具
                
18日から31日まで「茶道具と仕覆展」が開催中です。

21日~23日が当番だったので、21日にギャラリー伯楽へ行くと
「暁庵さんのブログを見て来ました」
という方がいらっしゃいましたよ・・・と先生。

             
                (仕覆1年生の暁庵のコーナーです)

早速に見に来てくださった方、ありがとうございます!
16日に茶会がありましたので、後半に当番をさせて頂きました。
23日(日)、27日(木)はおりますので宜しかったらお寄りください。

             

素敵な小林先生の仕覆ワールドをちょっぴり写真でご紹介しますね。

             

上の写真は香合です。さまざまな香合の形に合わせて、
着物(仕覆)が作られています。
布地も各国の更紗や着物の裂まで幅広く、使われています。
中味の香合が・・・。
毎日一つずつ、おねだりして開けて見せて頂いています。
これもとても楽しみで、しふくのひと時です。

                             


小林芙佐子先生の仕覆ワールド

2011年10月12日 | 茶道具
小林芙佐子先生の「茶道具と仕覆」の展示会
  10月18日から31日まで開催されます。

小林芙佐子先生に仕覆を習い始めて1年9ヶ月がたちました。
小林先生のことはよく知らずに、近くで教えてくださる方がいれば・・・
と、そんな軽い気持ちでした。

通いだすと、仕覆のプロの使う技や道具はびっくりすることばかりでした。
例えば、長さの単位は尺、寸、分です。
道具は市販品に工夫を加えたり、手づくりや特注品です。
つがりはミツクリを使って撚って作り、
紐は全て布に合わせて絹糸を選び、組紐台を使って組みます。

先生のお話だと、職人の師から目で見て(盗んで)覚えたそうですが、
その技を惜しげなく、お教え頂き感謝しています。
凄い先生・・と思っていましたが、その認識が甘く半端だったことに
先日やっと気づきました。
展示準備中の茶道具と仕覆を見せて頂いたのです。

                
                      (ミツクリと絹糸の束)
                
                      (ご案内の葉書より)

長年、時間をかけて収集した茶籠や茶箱。
その中には一つまた一つと選ばれた、茶入、茶碗、茶筅筒、茶杓などが
魅力的な布の仕覆に包まれて入っています。

数点を見せてくださいました。
初めて玉手箱を開けて・・・という感じでしょうか。
この展示の機会をのがしたら、二度と味わうことが出来ないだろうと思える、
小林芙佐子先生の確固たる美と哲学の小宇宙がそこにありました。

「あぁ~。私は先生のことをまったくわかっていなかった!
 私が触れて見たと思ったものは、先生の大きな世界の
 百分の一にも達していなかったのだ・・・」
と正直思いました。               
                       
茶道具と仕覆の調和、裂地のセンスと使い方・・・学びたいことばかりです。
かつて五島美術館でガラス越しに見たような更紗や裂が目の前にありました。
収集された世界中の更紗や貴重な金襴が整理され、手帖になっています。
会期中はできるだけ会場へ行って、どっぷり先生の仕覆ワールドに浸って
いろいろなことを体得したいものです。

「茶道具と仕覆」展へのご来場を心からお待ちしております。
 どうぞ 気軽にお声掛けください。
                           

  **** 「茶道具と仕覆」展 へのご案内 *****

   小さな、茶籠や茶箱の中からとりどりの布に
   くるまれた宇宙をお楽しみ下さい。
   会期中、一部販売もいたしております。 
                    小林芙佐子 

   会期  2011年10月18日(火)~31日(月)
   会場  ギャラリー伯楽 (古美術 伯楽)
        11:00~17:00
        横浜市神奈川区神奈川町1-14-7 丸二ビル1F
        (横浜逓信病院の東側隣り)
        TEL 045-322-2979

   アクセス  JR東神奈川駅より徒歩3分
           東横線東白楽駅より徒歩3分

   


 追伸) 三溪園・蓮華院の茶会を控えています。
        茶会へ専念いたしたく、しばらくブログをお休みします。 

                             


「茶道具 仕覆展」へのご案内

2011年09月28日 | 茶道具

 「茶道具 仕覆展」のご案内

   小さな、茶籠や茶箱の中からとりどりの布に
   くるまれた宇宙をお楽しみ下さい。
   会期中、一部販売もいたしております。 
                    小林芙佐子 

   会期  2011年10月18日(火)~31日(月)
   会場  ギャラリー伯楽 (古美術 伯楽)
       11:00~17:00
       横浜市神奈川区神奈川町1-14-7 丸二ビル1F
       (横浜逓信病院の東側隣り)
       TEL 045-322-2979

   アクセス  JR東神奈川駅より徒歩3分
           東横線東白楽駅より徒歩3分

                
                
                         (編み袋   暁庵作)
     
小林芙佐子先生に仕覆を習い始めて2年足らずですが、
先生の魅惑的な仕覆と布の世界を覗けるのが楽しみで、
せっせと通っています。
先生にお教えいただいて、私も茶籠など数点の茶道具と仕覆を展示します。
ぜひ、見にいらしてください。
(会期中会場にいることもありますので、お声かけください)