暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

東寺ガラクタ市の掘り出し物

2013年01月13日 | 茶道具
京都で暮らしてみて感心することはたくさんありますが、
その一つ。
「京都にはなんて市が多いのだろう!」

有名なのは、東寺の弘法さん(弘法市)(毎月21日)、
北野天満宮の天神さん(天神市)(毎月25日)、
それから今一番人気らしい知恩寺の手づくり市(毎月15日)でしょうか。
どの市も出店に特徴があって面白く、時々ぶらついています。
これらの他にもいろいろな市のあることが最近わかってきました。

            
                  北野天満宮の天神さん

正月6日に東寺のガラクタ&手づくり市へ初めて行ってみました。
この市は第一日曜日に開かれています。
松の内、それも午後だったせいか、弘法さんのような賑いはありませんが、
ゆっくり落ち着いて見ることができました。             

小さな火鉢を探していました。
我が灑雪庵は、隙間風ぴゅうぴゅうの築年数不明の古家なので、
冬季のお客さまにせめて手あぶりを用意したいと思っていました。
それに先生宅の除夜釜で見た火鉢のおもてなし、炭の温かさと美しさが
今でも目に残っています・・・。

近所のアンティークのお店で物色したのですが、
候補がたくさんあり過ぎて決めかねていました。
昨今は火鉢を使う人が少なくなって、
お茶人だけになってしまいそうですが、その分お安くなってきました。

            
                   東寺の弘法さん

東寺のガラクタ市で最初に火鉢が目に飛び込んできました。
木製(桐?)の蒔絵が美しい火鉢は魅力的でしたが、
狭い空間で使うには少し大きい気がします。
他にも数軒、火鉢が並んでいる出店があって、
黒に螺鈿文様のある火鉢がすっきりと品佳く気に入りました。

古びた木箱に対で入っていましたが、1個でも売ってくださるとか。
値段を聞いてびっくり!
木箱も欲しかったので対で買うと、さらにまけてくれました!

数日後、灰をだしてみると、良質の灰が入っていました。
・・・でも、あまり使われなかったみたいです。
灰をふるって半日陽に当ててから
綺麗にした火鉢へ入れ、炭火を置きました。
ふるった灰は空気をたっぷり含んで柔らかく、灰を温めなくっても
炭火が消えません。

            
                 茶会で出あった煙草盆の火入れ

枝炭が入っていたモミガラで藁灰をつくろうかしら? と思いましたが、
とてもきれいな灰なので、このまま使うことにしました。
火入れの灰のように筋を入れてみたり、掻きあげたり、
香炉のように表面を固めてみたり・・・遊んでいます。

今日はこれから岡崎公園の平安楽市(第二土曜日)をのぞいてみます。

                             



茶炭 8月のめい想

2012年08月07日 | 茶道具
3月に京都へ家うつりした時、
風炉用の炭一箱を引っ越し荷物の中に入れました。

昨年の東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で
放射能が福島産の炭から検出され、茶炭が手に入りにくくなっていました。
京都でも手に入らないかもしれないと思い、持ってきたのです。

京都で先ず困ったのは、都市ガスで下火の炭が熾せないことでした。
茶事をすることになり、あわてて七輪を買いました。

茶事や茶会の時には始まる2時間前に炭火を熾します。
丸めた新聞紙と消し炭を七輪へ入れ火を熾しますが、
いまだに上手に熾せず、火熾し名人にSOSしています。
七輪には火を絶やさぬよう茶事途中でも炭を補充しておきます
(この炭に何度助けられたことか・・・)。

七輪を団扇であおいでいると、いろいろなことが走馬灯のように
懐かしく頭をよぎっていきました。

某稽古場へ通っていた時、当番で朝早く出かけました。
炉や風炉には触れさせてもらえず、水屋を整え、時間を計って丸ぎっちょを
必要な数だけ熾し、各炉へ入れていきます。
雪の朝
「朝早くから当番ごくろうさま。お稽古頑張ってください」
ねぎらいの言葉を掛けてくださった恩師のこと
・・・今にして思えば、とても貴重な勉強をさせて頂きました。

              

4月半ば、川端通(今出川下ル)に炭屋さんを見つけました。
京都らしい古い趣のある店構えに興味津々です。
昔ながらの帳場があり、声を掛けると、奥から店主が出てきました。
「切り炭はありますか?」
「今は茶炭しかありませんが・・・」

ショーウインドウに胴炭、輪胴、丸ぎっちょ、割ぎっちょなど
茶炭が分類されて置かれているではありませんか。
「ばら売りして頂けるのでしょうか?」
「どれでも同じで、一キロ1000円です」
内心、あまりの安さにびっくりです。

              
              

早速、胴炭、輪胴、丸管、割管など足りないものを選ぶと
上皿秤に上手に炭を積んでくれて、1キロになりました。
ビニール袋に入れて大事に持ち帰りました。

昨日、猛暑も少しは和らぐ午後4時過ぎ、
大きな段ボール箱を自転車の荷台に積んで再び炭屋さんへ。

今日は2キロを目安に、あれこれ炭を選びました。
炭の産地は伊予(愛媛県)だそうで、西予市出身の主人と話が弾みます。
帰りに店名をお尋ねすると、メモ用紙にスタンプを押してくれました。
店名は「福地燃料」(左京区田中関田町)です。

              

炭箱にぎっしり詰まった茶炭をみていると
何とも言えぬ安心感と平和の有難さをしみじみ感じます。

広島と長崎に原爆が落とされた、8月6日と9日がもうじきでした。


                                



骨董屋の女主人

2012年02月10日 | 茶道具
                 (御物袋の裂地は益田間道、茶碗は仁清)

仕覆をお習いしている小林芙佐子先生は「伯楽」という古美術を扱うお店
つまり骨董屋の女主人でもあります。
2年前にご主人が急逝されて、そのあとを継いでお店をやっています。
そのお店の奥に和室が二間あり、そこが仕覆教室になっていて
月2回通っていました。

                    
                    (仕覆教室からお店へ移動した、十一面観音
                      ・・・暁庵のお気に入りです)

お店へ一歩入ると、女主人のお目にかなった古美術品や茶道具が飾られ、
真ん中に居心地のよさそうなテーブルが置いてあります。
ときどき美術書や「蕾」という古美術関連の雑誌が置かれていて、
そこで本をひろげている骨董屋の女主人を想像して、
「なんて素敵な書斎なんだろう・・」とうらやましく思っています。
それに「骨董屋の女主人」という言葉の響きがステキです・・・。

                    

もちろん、茶道具は素敵な仕覆を着ていて、裂地も中身も魅力的なものばかり。
私はいつもそれらを横目でちらっと見てから、奥の和室へ急ぎます。

                    
                          (先生の作品・・・仕覆展より
その日は、珍しくお客さんがいました。
それで、ついふらふらと禁断の園へ足を踏み入れました。

テーブルに古い仏像や仏具、漆絵が描かれた貝の香合、
古伊万里の皿やぐい飲みなどが並べられていました。
15センチくらいの懸け仏が目に留まり、お値段を聞くと3万円でした。
時代は江戸中期というところでしょうか。
値段にちょっと安心して頭の中で懸ける場所をイメージしてみましたが
仏様はなかなか難しいです。
そのお客様は金継ぎを習っていらして、教材にする器や漆器を捜しに見えたそうです。

                   

2年間慣れ親しんだ仕覆教室へ通うのもあと一回になりました。
「えっ!あなたが針を持つの?」と友人たちを驚かせたほど、不器用な私
根気強くお教えくださった小林先生に感謝申し上げます。
先生に作って頂いた茶入の仕覆(裂地は能衣装)を披露させていただきます。
中味はナイショ・・・いつか茶事にてお目に掛けましょう。

                    
                     (仕立ても裂地もお気に入りの仕覆・・・小林芙佐子作)

〇〇さん
古美術「伯楽」へいらしてぜひ覗いてみてください。
仕覆の注文も気軽に先生へ相談してみてください。
   住所:横浜市神奈川区神奈川町1-14-7 丸二ビル1F
      (横浜逓信病院の東側隣り)
      TEL 045-322-2979

 アクセス:JR東神奈川駅より徒歩3分
         東横線東白楽駅より徒歩3分

                    



茶の湯炭と放射能

2012年02月07日 | 茶道具
                      (森の人   行田市グリーンロード)
茶の湯炭が手に入りにくくなっています。
それに一昨年あたりから値上がりしていて、頭が痛いです。

いつも炭をお願いしている寺家の丸善・夢生庵から
「茶炭に関するご連絡」がありました。

東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、
福島産のクヌギ炭から国の定める暫定基準値を超える放射能値が検出されたため、
福島産クヌギ炭(上品)の使用を一切中止し、並品(稽古用炭)で対応します。
代替品を手配中なのでしばらくお時間を頂戴します・・・といった内容でした。

気になって暫定基準値を調べてみました。
参考:林野庁HP:http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/tokuyou/111102.html

   調理加熱用の薪及び木炭の当面の指標値の設定について  平成23年11月2日
    放射性セシウムの濃度の最大値
    (1)薪 40ベクレル/kg(乾重量)
    (2)木炭 280ベクレル/kg(乾重量)

    薪及び木炭から食品への移動についてはわずかでしたが、
    焼却灰には一定レベルの放射性物質が残留するとの知見が得られたため、
    焼却灰が一般廃棄物最終処分場での埋めたて処分が可能な
    放射性物質の濃度8,000Bq/kg以下となるよう、当面の指標値を設定。

                  
                            (冬枯れのグリーンロード)

連絡を頂く2週間前に風炉用の炭1箱、丸ぎっちょ1箱、枝炭1箱を丸善へ注文しました。
京都で住む町家には炉が切ってないので、置炉を使う予定です。
「置炉には炉用ではなく、風炉用の炭を使うそうです。
 炉用の炭は手に入らないけれど、風炉用ならまだ在庫があるかも?」
と茶友から教えてもらい、あわてて注文したのです。

                  
                              (さきがけ)

実際に炭を使うとなると、炭のストック、炭箱、十能、火消壺、七輪などの
収納場所が必要です。
炭のほかにもストック品を入れるために床下収納庫を注文し、
先日、台所の床板張り工事と共に収納庫が出来上がったとのこと。
床材はヒノキで、当分、木の香りが楽しめそうです・・・。

一方で、福島原発事故の影響が茶の湯炭へも及んでいることを実感したことでした。

                                 
                                 

骨董市の掘り出し物

2011年12月24日 | 茶道具
Merry Christmas !       


今朝は寒いですね。 横浜でも震えあがっています・・・。

久しぶりに平和島の骨董市へ行ってみました。
(正式名称は「平和島 全国古民具骨董まつり」です)

この骨董市の魅力は、何だか訳の解らない掘り出し物があることでしょうか?
それから、茶道具以外の物が多いので、見立てを捜すのも面白いかも。

お目当ては、籠と古布でした。
籠に布を貼りたくて、民具のような古い味のある籠を捜しました。
けれど、籠とのご縁はありませんでした。
古布も気に入ったのは値段が高く、手が出ません。
やっと布製の「赤い椿」(写真)を一つ買いました。

掘り出し物もなく、疲れてもう帰ろうかしら・・・と思う頃、
店先に無造作に置いてある一品が目に留まりました。
見れば、東美正札会で似たようなものが〇万円で売られていたような?
うそのような値段(ナイショです)でしたので、値切るのも忘れて購入しました。

これが掘り出し物です(クリックすると少し大きくなります)。
             
                  

生け花に使う道具一式(小刀、のこぎり、ペンチ、花ばさみ、もう一品?)が
布製の道具入れに収められています。
風炉の灰型に使う灰匙や筆を入れる、このような道具入れを
作りたいと思っていたので、応用できそうです。

内側に張られている布は更紗でしょうか? とても素敵です。
調べてみると、すぐに使える道具ばかりでしたが、花ばさみに錆がありました。

それで、散歩途中で発見した「高橋刃物製作所」へ持っていきました。
ここは包丁、小刀、はさみ、農具などの刃物を製造しています。
販売もしていて、料理関係者が包丁を買ったり、研ぎにだす店のようです。

                 
                 

「少しお待ちいただけますか?
 すぐにかかりますので」と、店番のお姐さん。
店内にはお客さんが三人ほど待っていましたが、
ショーケースの包丁やハサミを見ていると、まもなく研ぎ上がりました。

同行の主人は、新しい包丁をまた買いました。
京都で料理修行をするつもりかしら? ひそかに期待しています。
親方が奥の工場から出てらして、包丁の使い分けや研ぎ方を主人に教えてくれました。
私は、お姐さんおすすめの「さびとり」を買って、早めに対処することにします。