暁庵で昼食(なだ万製のお弁当)とAYさん腕まくりの煮物椀(萩真蒸)を頂いた後、午後の橘楽庵席へ向かいました。途中で暁庵席へ向かう小堀遠州流のお客さまとすれ違い、ご挨拶を交わしました・・・ベストタイミングです。
午後の橘楽庵・三席目は裏千家流のお客さまで、暁庵(正客)、次いでYMさま、Y氏、SMさま、Iさん、NHさま、M氏(詰)でした。
席順はT氏にお願いしましたが、暁庵の社中とゲストの方が交流できるように交互になっていて、とても素晴らしいアイディアと思います。
「菊月のコラボ茶会」にふさわしく玄関に茱萸袋(水引細工)がかざられていました。
待合の掛物は、太田垣蓮月の和歌です。蓮月尼の字は読みにくく「月前虫」だけ何とか読めましたが、後で後見SKさまに和歌を詠みあげて頂きました。
月前虫
月清み 垣根にすだく虫の名の
すずろ寒しも 夜や更けぬらん 蓮月
(月前虫の和歌短冊・・蓮月)
小堀遠州流・橘楽庵の席入りの合図はトライアングル、詰M氏が裏千家流(?)に「大小大小中中大」と上手に奏でてくださいました。
外腰掛で待っていると、長~いウリのようなものが吊り下げられていて話題騒然・・・。
間もなくご亭主が手に羽箒を持って現われ、枝折戸を開けて無言で一礼を交わしました。蹲を使い、美しく調えられた露地を通って席入りしました。
(これは何?と話題騒然)
床には「清風拂明月」の御軸、一瞬、風が吹いて雲が払われ、秋の夜の月が目の前に現れた気がしました。小堀宗通師の御筆で、味わい深い筆致は竹筆で書かれたとのことです。
秋の野の花が唐人籠花入に生けられています。薄、紅水引、鳥兜、杜鵑、萩・・・紫色が鮮やかな鳥兜は八ヶ岳で採取したとか・・・高原の爽やかな空気まで運んでくれました。
香合は、秋草が細やかに描かれ、光線の具合で螺鈿の鈴虫が鳴き始めました。
点前座へ回ると、風炉先屏風(遠州好・鉄刀木(たがやさん))が見事な七宝透かしの彫りで、見ごたえがありました。
長板二つ置き、お釜好きの暁庵は風炉(伊予芦屋鬼面風炉)と丸釜(七代大西浄玄造)の組み合わせに魅せられ、渋く控えめな中にも存在感がある水指が置かれ、後でお尋ねするのが楽しみでした(・・朝鮮唐津、丸田宗彦造でした)。
「コラボ茶会」でこのような小堀遠州流の素晴らしい設えにお目にかかり、じっくり鑑賞できて幸せ!と感動しました。
(正面からの写真がなくって・・・)
主菓子が運ばれ、濃茶点前が始まりました。
一同、目を皿のようにしてご亭主の一挙一動を見つめます。武家茶道なので袱紗は右に着け、袴姿のご亭主の袱紗捌き、茶入や茶杓の清め方、千鳥茶巾の畳み方など、カッコよく見ごたえ十分でした。
濃茶は大海(中海?)のお点前でしたが、長緒の扱いが裏千家流とは全く違うのが興味深かったです。
お点前も気になりましたが、ご亭主がどこかでお目にかかった気がして・・・お名前を伺って「やはり・・」と頷きました。前田宗令様の茶事で薄茶を点ててくださったI氏でした。あれから5年近く経ち、落ち着いた美しいお点前にほれぼれし、I氏の精進ぶりが伺えて嬉しかったです。
趣きのある李朝刷毛目の茶碗で練られた濃茶を次客のYMさまと二人で頂戴しました。
濃茶は薄目、少な目でしたが、とても美味しく一人で全部飲み干したいほどでした。
濃茶は「蓬莱山」(松尾園詰)、主菓子は薯蕷饅頭で銘「秋の野」(東宮製)です。
(薯蕷饅頭 銘「秋の野」)
替え茶碗(高取片身がわりと黒楽)で濃茶が出され、連客の皆様も濃茶を堪能したことと思います。
道具の拝見をお願いし、一同またまた目を丸くして、清めや拝見の所作を見つめます。
茶入は中海というそうで備前桟切焼・木村陶峰作です。仕服は鳥鹿文、茶杓は大徳寺・孤蓬庵の小堀卓巌師の御作で銘「小倉山」でした。
干菓子(菊寿糖と菊花煎餅)が出され薄茶タイムになり、座もだいぶ寛いできて質問が出ました。
「露地に吊るされていた長~い植物は何でしょうか??」とSMさま。
長~い植物は謎のままでしたが、薄茶を頂きながら楽しい談笑が続きます。
次のお席の人がいらしたようなので、あわてて名残り惜しく退席しました。
いつの間にか雨になり、玄関までKさんが傘を持って迎えに来てくださり、橘楽庵を後にしました。
お心こもる素敵なおもてなしをありがとうございました! 楽しかったです!