暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

「菊月のコラボ茶会」・・・暁庵席ーその2

2024年10月05日 | 茶事・茶会(2015年~自会記録)

            (中置の点前座です)

つづき)

点前座は、八畳の広間の踏み込み畳(半畳)の先に台目畳を敷き、亀甲竹の結界を置きました。

暁庵は亭主床なので、このようにすると床も点前座もお客さまから見やすいようになります。

小堀遠州流は武家茶しかも大名茶です。綺麗さびと言われる華麗な道具組だと思うので、裏千家流の暁庵では少しでも侘びた風情を出せたら・・・と、鉄風炉の中置にしました。

    (鉄風炉・・・「渇来茶」を手前にしました)

鉄風炉は風炉の茶飯釜に用いられるもので、釜に「飢来飯(きらいはん)」「渇来茶(かつらいちゃ)」の鋳出しがあります。

「お腹が空いたら飯を食べにいらっしゃい」

「喉が渇いたら茶を飲みにいらっしゃい」

そんな温かくやさしい気持ちで「コラボ茶会」のお茶を差し上げられたら・・・と。

中置(なかおき)は点前畳の左右中央に風炉を置く点前で、十月初旬から開炉までの時期に行います。

日ごとに寒さが増し、お客さまへ少しでも火を近づけて暖まっていただきたい・・・という心づかいの点前です。水を少しでも遠ざけたいと、水指は勝手口の方へ置きます。

水指は、京焼・青色唐華文の細水指を使いました。

今年はいつまでも暑く、中置には早いのですが、小堀遠州流には中置の点前がないと伺ったので決めました。他の流派には中置の点前はないのでしょうか? それとも、裏千家独特の点前なのでしょうか? 新たな疑問が生じてきました・・・。

   (どの席からも見やすいように点前座を設えました)

第1席のお点前はIさんです。美術関連のお仕事が忙しくなかなかお稽古に来られませんが、自主稽古を励んで臨んでくださいました。

主茶碗で濃茶を2人分、替え茶碗で2人分練って頂き、3碗目(3人分)は水屋からお出ししました。いずれも美味しい濃茶を練ってくださったことでしょう。

第1席の後見はM氏、お客さまに濃茶を小堀遠州流のお流儀で飲んでいただきました。さらに茶碗、茶入と仕覆、茶杓などのお道具についてもいろいろお話してくださったことでしょう。

濃茶は「一滴翠」(丸久小山園詰)です。

 

         (濃茶の御本雲鶴)

主茶碗は御本雲鶴、遠州流・小堀政安蓬露の箱書があり、歌銘「玉帚(たまははぎ)」です。

次茶碗は萩焼、十一世・坂高麗左衛門作です。三碗目は赤楽茶碗で松楽作、大徳寺派福聚院・和尚の銘「蓬莱」です。

茶入は古瀬戸、鵬雲斎大宗匠から「鳴子」という銘をいただいています。仕覆は紺地花鳥文緞子です。茶杓は、紫野聚光院の雪山(隋応戒仙)師の銘「雲錦」です。

いつものように拝見にお出ししましたが、後で入らせて頂いた橘楽庵の小堀遠州流は全く違う出し方だったので、流派の違いがとても興味深いことです。

     (裏千家流の拝見の出し方です)

濃茶が終わったのでしばしリラックスして頂き、干菓子と薄茶をお出ししました。

干菓子は「はるか」(会津長門屋製、白餡の中に無花果が入っています)と金平糖(緑寿庵清水製)が入った振り出し(菊絵、豊楽焼)をおだししました。

  (兎久佐盆に盛った「はるか」と振り出し)

薄茶は「清浄の白」(丸久小山園詰)で水屋から点て出しました。

薄茶の茶碗は、社中の方が「この茶碗で薄茶を喫んでいただきたい」とお持ち出ししてくださったものです。

主茶碗は花鳥蒔絵(前端春斎)、次いで志野雁絵(水野古麦)、萩焼俵(加藤春岱)、白磁鉄絵(中国・吉州窯)、京焼・飴釉更紗文(今岡都)、京焼・蔦絵(宮川香雲)、京焼・秋の薔薇(山岡善昇)で薄茶タイムを楽しんで頂き、茶会の第1席終了となりました。

     (薄茶の花鳥蒔絵茶碗・・・陶胎漆器)

裏千家流の方にはごく当たり前の中置の点前であり道具の拝見の仕方ですが、小堀遠州流の方にはいろいろなカルチャーショックがあったのではないでしょうか?

特に当流の濃茶は濃いめでたっぷりなので、お口に合ったか心配しています・・・。

どうぞこれに懲りずに来年も楽しくお付き合いくださると嬉しいです。 つづく)

    

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        後礼の手紙へ  「第2回コラボ茶会」の準備中です

 


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