東京大学の小川紘一特任教授の講演「技術と知財で勝る日本がなぜ他国に勝てないのか」を拝聴しました。社団法人の日本ファインセラミックス協会が開いた通常総会の後に開催された特別講演会でのお話です。
小川特任教授は東京大学に設けられた知的資産経営・総括寄付講座の教員スタッフのお一人です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/87/b9a29893d24baa6b6aa4680ad73bebf3.jpg)
(小川さんの背景にあるガラスに貼り付けられた、赤い三角が邪魔です。予想外の写真です)
日本の製造業が直面している事業不振が増えている難問の原因を解析された講演のお話は、欧米などの先進国がオープン型の国際分業による製造業の態勢をつくり始めた結果だ」と指摘されました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/56/49dd40428cd65c40dc30396f7cb0bb2f.jpg)
日本の製造業は、いくつかの製品で国際市場でのシュアを大幅に低下させ、国際競争力を失っています。例えば、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)と呼ばれる半導体メモリーは1987年にはシェア70%強もあったのに、95年ごろには50%を割り、2001年には20%を割り、2005年には10%を割るという下落ぶりでした。
液晶パネル、DVDプレーターというキーデバイスやキー製品も、同様の下落曲線をたどりました。どのキーデバイス・製品は、日本企業が研究開発で成果を上げ、有力な特許を出願しました。例えば、「液晶パネルの場合、日本企業は“必須特許”と呼ばれる根幹特許を90%以上持っているのに、韓国や台湾の企業に国際市場でのシェアを奪われた」と説きます。デバイス・製品を支える技術やノウハウのブラックボックス化ができていなかった結果だと指摘されました。
今回驚いたのは「自動車のカーナビゲーション製品でも、日本企業は国際市場でのシェアを急激に落としている」という小川特任教授の指摘でした。カーナビゲーション分野は、まだ日本企業の独壇場と思っていたからです。
1990年代~2000年代当時のアジアの新興国だった韓国や台湾、シンガポール、中国などのアジア諸国は「先進国が研究開発した技術を自国の企業などに伝播させる促進策として、減税や免税などの税法や減価償却などの促進制度を設けた」と分析されます。
小川特任教授は日本の部品や材料は国際市場でまだ支配力を持っていると分析されます。その証拠は、あの不幸な東日本大震災によって被災した、日本の部品メーカーや材料メーカーの独自の部品や材料が供給されなくて困った“サプライチェーン”問題だったと指摘されます。
今後、日本の部品メーカーや材料メーカーが国際市場で競争力を維持し続けるには、「部品や材料のコア技術を完全ブラックボックス化し、その利用技術などの“外部インターフェース”はオープン化する制度設計を事前にできるかどうかだ」と鼓舞します。この研究開発・事業での制度設計を担当する人材を“アーキテクト型”人材と呼ぶそうす。アーキテキクト型人材は天才一人が担うのではなく、プロジェクトチームで担うことで可能になるそうです。
講演後に、木村特任教授にお時間をいただき、質問を少しさせていただきました。「現在の日本の大学・大学院には、アーキテキクト型人材を育成する教育コースはありますか」と尋ねると、「まだほとんどない」とのお答えでした。日本では研究開発人材を育成するだけではなく、新規事業起こしを企画・実践するプロデューサー人材を育成する教育が重要になっていると感じました。この“プロデューサー人材”は“アーキテキクト型人材”と同じだと思います。事業全体を鳥瞰し、どうやって事業利益をつくり出すかなどの事業設計することだからです。
小川特任教授は東京大学に設けられた知的資産経営・総括寄付講座の教員スタッフのお一人です。
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(小川さんの背景にあるガラスに貼り付けられた、赤い三角が邪魔です。予想外の写真です)
日本の製造業が直面している事業不振が増えている難問の原因を解析された講演のお話は、欧米などの先進国がオープン型の国際分業による製造業の態勢をつくり始めた結果だ」と指摘されました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/56/49dd40428cd65c40dc30396f7cb0bb2f.jpg)
日本の製造業は、いくつかの製品で国際市場でのシュアを大幅に低下させ、国際競争力を失っています。例えば、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)と呼ばれる半導体メモリーは1987年にはシェア70%強もあったのに、95年ごろには50%を割り、2001年には20%を割り、2005年には10%を割るという下落ぶりでした。
液晶パネル、DVDプレーターというキーデバイスやキー製品も、同様の下落曲線をたどりました。どのキーデバイス・製品は、日本企業が研究開発で成果を上げ、有力な特許を出願しました。例えば、「液晶パネルの場合、日本企業は“必須特許”と呼ばれる根幹特許を90%以上持っているのに、韓国や台湾の企業に国際市場でのシェアを奪われた」と説きます。デバイス・製品を支える技術やノウハウのブラックボックス化ができていなかった結果だと指摘されました。
今回驚いたのは「自動車のカーナビゲーション製品でも、日本企業は国際市場でのシェアを急激に落としている」という小川特任教授の指摘でした。カーナビゲーション分野は、まだ日本企業の独壇場と思っていたからです。
1990年代~2000年代当時のアジアの新興国だった韓国や台湾、シンガポール、中国などのアジア諸国は「先進国が研究開発した技術を自国の企業などに伝播させる促進策として、減税や免税などの税法や減価償却などの促進制度を設けた」と分析されます。
小川特任教授は日本の部品や材料は国際市場でまだ支配力を持っていると分析されます。その証拠は、あの不幸な東日本大震災によって被災した、日本の部品メーカーや材料メーカーの独自の部品や材料が供給されなくて困った“サプライチェーン”問題だったと指摘されます。
今後、日本の部品メーカーや材料メーカーが国際市場で競争力を維持し続けるには、「部品や材料のコア技術を完全ブラックボックス化し、その利用技術などの“外部インターフェース”はオープン化する制度設計を事前にできるかどうかだ」と鼓舞します。この研究開発・事業での制度設計を担当する人材を“アーキテクト型”人材と呼ぶそうす。アーキテキクト型人材は天才一人が担うのではなく、プロジェクトチームで担うことで可能になるそうです。
講演後に、木村特任教授にお時間をいただき、質問を少しさせていただきました。「現在の日本の大学・大学院には、アーキテキクト型人材を育成する教育コースはありますか」と尋ねると、「まだほとんどない」とのお答えでした。日本では研究開発人材を育成するだけではなく、新規事業起こしを企画・実践するプロデューサー人材を育成する教育が重要になっていると感じました。この“プロデューサー人材”は“アーキテキクト型人材”と同じだと思います。事業全体を鳥瞰し、どうやって事業利益をつくり出すかなどの事業設計することだからです。