ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

日本経済新聞紙に掲載されたコラム「池上彰の大岡山通信」 は“リベラルアーツ”重視を伝えます

2015年12月30日 | 日記
 2015年12月28日に発行された日本経済新聞紙の朝刊の中面に掲載されたコラム「池上彰の大岡山通信 若者たちへ 71」を拝読しました。

 日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞 電子版でも、見出し「箱根駅伝と東工大改革 学生の教養鍛える急な坂」と伝えています。



 今回の同コラムは、毎年1月2日と1月3日に開催される東京箱根間往復大学駅伝の話から始まります。来年早々の東京箱根間往復大学駅伝で走る「関東学生連合チーム」のメンバーの一人として、東京工業大学の陸上競技部の学生の方がお一人、走る予定だそうです。池上さんは「文武両道の典型」と賞賛します。

 この“枕話”から、東京工業大学が来年度から始める大学改革の中身につなぎます。まず、池上彰さんが所属する「リベラルアーツセンター」が「リベラルアーツ研究教育院」に改組されると伝えます。

 そして、来年度に入学する1年生は全員が「立志プロジェクト」に参加し、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力を学ぶ講義を受けます。学生数が25人程度のグループで、講義を受けると解説します。

 来年度に改組されるリベラルアーツ研究教育院では、哲学、芸術、文化人類学など30程度の科目を学ぶことができます。従来、1年次から2年次に学ぶ、大学での“教養科目”は「楽勝科目」とみられてきましたが、東京工業大学では「みっちりと鍛える」と説明されます。

 その比喩として、東京箱根間往復駅伝での“箱根の山登り”のようなきつい学びになると説明します。

 ここで、注目したいことは、日本を代表する理工系大学・大学院である東京工業大学は、文系教養科目をきちんと学ばせる“リベラルアーツ”を重視する教育を実践するということです。

 この“リベラルアーツ”を重視の姿勢は、欧米の一流大学で実施されているものです。「答えがあるかどうか分からない問題」を解くには、“リベラルアーツ”を学んだ思考能力が役立つからです、

 たまたまですが、このコラム「池上彰の大岡山通信 若者たちへ 71」が載っているページの対向面の教育欄には、「揺れる大学教育」という“2015年回顧 記者座談会”が掲載されています。

 今年6月に文部科学省が下村博文 前大臣名で出した通知に「人文系学部の廃止」を薦める内容があったことを指摘し、「教養教育(リベラルアーツ)重視は世界の流れだし・・」と解説しています。文部科学省は研究成果が役立つ理工系学部を重視するように考えているようですが、大学の教育では、文系も理系も多様に学ぶことが大切というのが、欧米の流れです。

 日本では大学に入るのは難しくても、“出るのは簡単”だという事態を変える大学改革が始まるように感じました。