とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

20170102 映画評『君の名は』(監督・新海誠)

2017-01-02 17:25:37 | 映画
 去年の一番の話題作だったので見てきました。残念ながら私にとってはいま一つだった。その理由を考えてみるとやはり、リアリティのなさだと思う。

 「君の名は」というタイトルは、かつての日本の一世を風靡したラジオドラマのタイトルからのものであろう。わたしもよく知らないのだが、すれ違いをテーマにしたものだったということだ。現在は携帯の時代なのですれ違いはない。だから時空のねじれを利用してすれ違いを作り出した。入れ替わった男女が空間だけでなく、時間も違う場所にいるのである。この違う仕掛けとしては面白いが、入れ替わりをなぜあんなに素直に受け入れるのかがわからない。そして相手の存在に気づけは携帯での連絡を一番最初に考えるはずなのにそれをしない。不自然である。確かに無理やりつじつま合わせをすれば展開が面倒になり、つまらなくなってしまうだろう。しかし、その不合理を受け入れることは私のような年になってしまえば困難だ。

 この話、結局タイムトラベルによって歴史を捻じ曲げてしまったという話になろう。私自身は年をとったからかそういう展開が厳しくなっているが、若かったときはそういう夢のある展開はのほうが好みだったかもしれない。しかし、その歴史を捻じ曲げたことをつじつま合わせするために、最後の30分くらいがまどろっこしい。非現実的な話を無理に現実に引き戻そうとしているように感じられた。リアリティのない話に、無理やりリアリティを持たせいようとして、テンポを失ってしまったのではあるまいか。

 とは言え、あまりに話題作だったために斜に構えて見ていたのかもしれない。若い時に見ていたら興奮していたのだろう。年を取るとたくさんのことが感じられなくなる。つらいことなんだな。
コメント
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