去年公演した『愛と哀しみのシャーロックホームズ』がテレビ放送されました。それを録画していたものを見ました。さすがに三谷幸喜という内容でした。
[演出・作]三谷幸喜
[出演]柿澤勇人 / 佐藤二朗 / 広瀬アリス / 八木亜希子 / 横田栄司 / はいだしょうこ / 迫田孝也
私たちの世代はシャーロックホームズが必読書です。謎解きもさることながら、シャーロックホームズという人間に惹かれたのだと思います。ホームズはかっこよかったのです。少年時代のヒーローだったのです。
しかし今考えてみれば、超人的なシャーロックホームズは発達障害的でもあったようにも感じられます。シャーロックホームズは、観察力や推理力は優れていましたが、いわゆる空気を読む力はあまりなかった。三谷幸喜はそこに喜劇の要素を見つけたのです。シャーロックホームズが真面目に頑張れば頑張るほど、喜劇性は増していくという仕掛けになっていました。うまいなあ。
誤解のないようにお断りしておきますが、「発達障害的」というのは差別的に言っているわけではありません。「発達障害」は極端な個性と考えてもいいと思います。一部の能力が劣っているのが「発達障害」です。しかし一部の能力というのは、現代に生きる人々にとって必要な能力であり、本来の人間性にとっての必要性とは別次元のものです。
どんな人間にも喜劇性がある。それに気づかされる作品でした。