男もすなる日記といふものを女もしてみんとてするなり。
【品詞分解】
男 名詞
も 係助詞
す サ行変格活用動詞「す」の終止形
なる 伝聞の助動詞「なり」の連体形
日記 名詞
と 格助詞
いふ ハ行四段活用動詞「いふ」の連体形
もの 名詞
を 格助詞
女 名詞
も 係助詞
し サ行変格活用動詞「す」の連用形
て 接続助詞
み マ行上一段活用動詞「みる」の未然形
ん 意志の助動詞「ん」の終止形
とて 接続助詞
する サ行変格活用動詞「す」の連体形
なり 断定の助動詞「なり」の終止形
【現代語訳】
男もするという日記というものを、女もしてみようと、書くのである
【重要文法事項】
助動詞「なり」の識別を覚え、確認するために便利な例文でる。
助動詞「なり」は2種類ある。この例文でも「すなる」の「なる」と「するなり」の「なり」の2種類の「なり」が登場している。これらがそれぞれ違うのだ。
ひとつは「断定」で、ひとつは「伝聞・推定で」ある。
①断定の助動詞「なり」
断定の「なり」は、現代語でいえば「だ・である」である。だから基本的には体言に接続すると考えていい。ただし活用語の場合は体言に準ずる形の連体形に接続する。
ここでは「するなり」の「する」は連体形なので、この「なり」は断定の助動詞である。
②伝聞・推定の助動詞「なり」
伝聞・推定の「なり」は終止形接続である。「すなる」の「す」は終止形なので、この「なる」は伝聞・推定である。
この例文とその現代語訳を丸暗記してしまえば、「すなる」の「なる」は伝聞で、「するなり」の「なり」は断定だということを現代語訳から判断できる。そこから「す」はサ変の終止形なので、伝聞・推定の「なり」は終止形接続であり、「する」は連体形なので断定の「なり」は連体形接続だということを思い出したり、確認できる。
ただし、この方法で識別できない場合がある。例えば次の例文の「なり」は表面的には識別できない。
「書くなり。」
「書く」はカ行四段活用であり、終止形も連体形も「書く」になる。だからこの例文の「なり」は断定の場合も、伝聞・推定の場合もある。
また、ラ行変格活用に接続した場合も注意が必要である。これは別の項で詳しく説明する。
(つづく)
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