リスタートのブログ

住宅関連の文章を載せていましたが、メーカーとの付き合いがなくなったのでオヤジのひとり言に内容を変えました。

体でおぼえる

2013-03-28 08:11:57 | オヤジの日記
いま高校野球をやっているのは、知っている。

しかし、高校野球を30年近くテレビでもニュースでも見ていない。

見ないことに関しては、理由がある。
私だけの事情と言ってもいい。

だから、人が高校野球に熱くなることを否定はしない。
高校野球は、地域密着型のスポーツとして完全に認知されていると思う。

それは、いいことだ。

ただ、私はヒネクレ者なので、誰が言い出したか知らないが「汗と涙の甲子園」というような綺麗事の表現が好きではない。

高校時代そして大学、社会人になっても、私は少なからずの球児、過去球児だった男と付き合いがあるが、その中には、とても「品行方正」とは言えない男もいた。

どこが「汗と涙~」だよ、と毒づきたくなるような話を得意気に言う奴も知っている。

しかし、そんな奴はどの社会にもいるだろうから、本気で目くじらを立てようとは思わない。


高校野球に対するトラウマ。
それは、高校時代の経験によって根強く植えつけられた偏見による。

当時私は陸上部に所属していた。
陸上部の練習は、一日おきだ。
一日の運動量が多いので、毎日練習したら、確実に体が壊れる。

それに対して、野球部の練習は、毎日だ。
朝練の他に、夜はナイター設備のあるグラウンドで8時くらいまで練習をしていた。

よく疲れないものだ、と感心したものだ。

同級生にファーストのレギュラーがいた。
それなりに親しかったので、陸上部の練習がない日は、彼らの練習を見ることもあった。
練習試合の応援に行ったり、公式戦の応援にも数回行った。

それを見て、私が強く印象づけられたこと。

彼らは、毎日あれほど練習しているのに、なんで下手なんだ、ということ。

パワーがない。
肩が弱い。
守備範囲が狭い。
ベースランニングが、下手くそだ。

私が通っていた高校は、野球優等生ではなかった。
都内では中堅どころと言っていい学校だ。

たいていは、3回戦か4回戦で姿を消す残念な学校。

その残念な学校が、たまに強豪と顔を合わせることがあった。

どれだけ素晴らしい選手にお目にかかれるだろうか、と期待を持って見るが、そんな強豪校でも、目を見張るような選手は一人いればいいほうだった。

あんなに練習しているのに、金属バットなのに、打球の多くがゴロである。

強くなければいけないはずの遊撃手の肩が弱い。
深いところの打球を処理したあとは、送球が3バウンドくらいで、一塁に届く。

足が遅いから、ライトゴロが多い。
信じられないことだが、たまにセンターゴロなどもある。
(外野手が前進守備を敷いていたとしても遅すぎる)

どの野手も、守備範囲が狭いのを補おうとして、すぐに打球に飛びつくから、その後の処理が遅くなる。

同級生のレギュラーに、なんで、すぐ飛びつくんだ? それよりもダッシュ力をつけて守備範囲を広くしたほうがいいだろう、と聞いたら、「監督からは、飛びつけ、と教えられている」と言われた。

素人が口を挟むことではないと思ったので、そうか、と答えたが、違和感だけが残った。

飛びつくこと、イコール、一所懸命、というアピールなのか、と思った。

あれほど長く練習して、打球に飛びつくこと、ゴロを打つこと、あるいはバントだけが上手くなっても、野球に必要な身体能力は身につかないのではないか。


陸上の基本は、ダッシュ力を養う「インターバル練習」だよ、それによって走るために必要な身体能力がつく、と同級生に言った。

では、野球の基本はなんだ? と聞いた。

同級生は、しばらく考えたあとで「体でおぼえることかな・・・」と答えた。
そして、彼は「どんなスポーツだって、そうだろ?」と言った。


つまり、打つこと、バントすること、投げること、取ること、飛びつくこと、走ること、連携プレーなどの全てを「体でおぼえる」から、練習時間が長くなるということか。

だったら、仕方ないか、と納得しかけた。


しかし、そのあと、同級生に勝ち誇ったような顔で言われたのだ。

「陸上は、走るだけでいいから楽でいいよな」


そのとき、言い返せなかった自分に、今も腹が立っている。


だから、私は高校野球を見ない。