ネット造語だと思うが、「オワコン」というのがあるようだ。
流行っているか流行っていないかは知らない。
言葉の構造からすると「終わった」という言葉と何か「コン」の付く略語が合わさったものだろう。
ネットで調べれば簡単にわかるのだが、どうせ人を馬鹿にした言葉だろう。
詳しい意味を知っても使う気はないから調べないようにしている。
昨日、中央線武蔵境駅前のスターバックスで、パソコンを広げて仕事をしていた。
そのとき、隣の席の男が、携帯で通話をしている声が聞こえた。
それほど大きな声ではなかったが、近くだったので何となく聞こえた。
その男が、電話をかけ終わって、同席した部下らしい男に言ったのである。
「うちの会社ももう『オワコン』だな! トーイチさん(と聞こえた)の仕事、取られたようだぞ」
年齢は、35~40前半くらいだろうか。
ジロジロ見るのは失礼なので、ボヤーっと見た印象である。
その年齢で「オワコン」という言葉が使われたのが意外だった。
てっきり若者言葉だと思っていたからだ。
部下と思われる人は、おそらく20代後半。
「そうですか、トーイチさんのを取られたのは痛いですね」と比較的冷静に答えていた。
「オワコン、オワコン!」
ヤケ気味の響きを漂わせて、男が指でテーブルを叩いた。
「あーっ、本当にオワコンだぜ。俺たち、本気で転職を考えなきゃいけないな」
舌打ちまじりに男が言ったが、部下は同調しなかった。
「でも、まだ絶体絶命というわけではありませんよ。●●●(聞き取れなかった)のプロジェクトが取れれば、希望はあります」
部下が、なだめた。
「あんなのトーイチの半分以下だろ。それこそ焼け石に水だ。オワコンなんだよ! うちは」
マイナス思考の上司のようだ。
まあ、しかし、俺には関係のないことだから、と思って仕事に集中しようとした。
そのとき、部下の落ち着いた低い声が耳に届いた。
「コンペの結果、聞いてみましょうか。もう出ているはずですから」
部下が立ち上がった。
外で電話をかけるのだろう。
上司は、席に着いたまま電話をしていたが、部下の方がマナーはしっかりしているようだ。
独り残された上司は、ため息をつくだけ。
そして、指でテーブルをトントントン。
数分後、帰ってきた部下が、言葉を弾ませて言った。
「取れましたよ。これで、先に進めますね。まだまだ、うちは大丈夫です」
その歓喜の言葉に対して帰ってきたのは、「オワコンなんだよ、うちは! どうせ、オワコンだ!」。
それを聞いて、他人事ながら、確かに……少なくとも……この上司は「オワコン」なのかもしれない、と私は思った。
「オワコン」の意味は、よく知らないが。
流行っているか流行っていないかは知らない。
言葉の構造からすると「終わった」という言葉と何か「コン」の付く略語が合わさったものだろう。
ネットで調べれば簡単にわかるのだが、どうせ人を馬鹿にした言葉だろう。
詳しい意味を知っても使う気はないから調べないようにしている。
昨日、中央線武蔵境駅前のスターバックスで、パソコンを広げて仕事をしていた。
そのとき、隣の席の男が、携帯で通話をしている声が聞こえた。
それほど大きな声ではなかったが、近くだったので何となく聞こえた。
その男が、電話をかけ終わって、同席した部下らしい男に言ったのである。
「うちの会社ももう『オワコン』だな! トーイチさん(と聞こえた)の仕事、取られたようだぞ」
年齢は、35~40前半くらいだろうか。
ジロジロ見るのは失礼なので、ボヤーっと見た印象である。
その年齢で「オワコン」という言葉が使われたのが意外だった。
てっきり若者言葉だと思っていたからだ。
部下と思われる人は、おそらく20代後半。
「そうですか、トーイチさんのを取られたのは痛いですね」と比較的冷静に答えていた。
「オワコン、オワコン!」
ヤケ気味の響きを漂わせて、男が指でテーブルを叩いた。
「あーっ、本当にオワコンだぜ。俺たち、本気で転職を考えなきゃいけないな」
舌打ちまじりに男が言ったが、部下は同調しなかった。
「でも、まだ絶体絶命というわけではありませんよ。●●●(聞き取れなかった)のプロジェクトが取れれば、希望はあります」
部下が、なだめた。
「あんなのトーイチの半分以下だろ。それこそ焼け石に水だ。オワコンなんだよ! うちは」
マイナス思考の上司のようだ。
まあ、しかし、俺には関係のないことだから、と思って仕事に集中しようとした。
そのとき、部下の落ち着いた低い声が耳に届いた。
「コンペの結果、聞いてみましょうか。もう出ているはずですから」
部下が立ち上がった。
外で電話をかけるのだろう。
上司は、席に着いたまま電話をしていたが、部下の方がマナーはしっかりしているようだ。
独り残された上司は、ため息をつくだけ。
そして、指でテーブルをトントントン。
数分後、帰ってきた部下が、言葉を弾ませて言った。
「取れましたよ。これで、先に進めますね。まだまだ、うちは大丈夫です」
その歓喜の言葉に対して帰ってきたのは、「オワコンなんだよ、うちは! どうせ、オワコンだ!」。
それを聞いて、他人事ながら、確かに……少なくとも……この上司は「オワコン」なのかもしれない、と私は思った。
「オワコン」の意味は、よく知らないが。