我がヨメとの関係性を友人に話すと「嘘だろ!」と言われることが多い。
嘘ではない。
本当です。
基本的に、私のヨメは、私に関心がない。
私はほとんどの奥様方は、旦那様の仕事に関心が無いと思っていたのだが、友人たちに「そんなことはない」と否定されてたいへん驚いた。
友人たちの奥さん方は、旦那様の仕事をそれなりに把握しているらしいのだ。
私のヨメは、私がフリーランスだということは知っているが、仕事の内容に関しては、一度も聞いてきたことがない。
パソコンで仕事をしている、くらいの認識しかない。
得意先のことも当然知らない。
さらに、ヨメから得意先からいつ請負代金が振込まれるかも聞かれたことがない。
だから、私の年収も知らないはずだ。
ただ、ヨメは、いま週に4回午前中だけお花屋さんでパートをしているが、私もヨメの稼ぎがいくらかを知らないので、お互いの稼ぎに無関心であるという点では「おあいこ」と言っていい。
しかし、だからといって、ふたりの関係が冷め切っているというわけではない。
お互い時間が空いたときは、東京武蔵野のオンボロアパートから小金井公園まで二人で散歩をすることもある。
武蔵境の大戸屋で昼メシを一緒に食うこともある。
浜田省吾のライブに行ったりもする。
湊かなえのミステリーを読んで、感想を言い合ったりすることもある。
だが、ヨメの私に対する関心が、一貫して薄いことに変わりはない。
私が、人から体の心配をされるのが病的なほど嫌いということもあって、結婚後すぐヨメは私の健康に無関心になった。
私が具合が悪いのを隠して仕事をこなしているということもあるが、ヨメは、私の体の具合を推し量ることを結婚1年目から諦めたようである。
そのことは、私にとっては大変都合がよかった。
「大丈夫?」と体のことを聞かれても、フリーランスは仕事を請け負った以上、熱があろうが吐き気がしようが腰痛で動けなくなろうが、仕事を終えなければ、次の仕事は貰えないのだから、答えようがない。
さらに、「ちょっと休んだら?」という無責任な言葉を聞くと、私は腹が立つという人でなしだ。
では、その休んでいる間、この仕事はどうなるのだ。
納期が遅れるだけではないか。
フリーランスにとって、納期の遅れは致命的だ。
信用がゼロになる。
ゼロになったものを一から組み立てなおすほど、私はもう若くはない。
だから、気軽に「休んだら」などと言って欲しくない。
「大丈夫?」「休んだら?」「からだ壊すよ」と言われるたびに、私は大きなストレスを感じるタイプのクズ人間だ。
それより「働け! 働け!」と言ってもらった方が、私の精神は絶対に安定する。
何を言われたって、休めるわけがないのだから。
結婚1年目で、そのことを理解したヨメは、たぶん賢い人だと思う。
だから、私は今の状態にとても満足している。
ただ、少しだけ、私の思惑とは違う方向にヨメが行ってしまったことに関しては、若干ではあるが後悔している。
それは、仕事と仕事の間に、暇な時間ができたときのことだ。
長いときは、3日程度何も仕事がないときがある。
そんなとき、私が家にいてノンビリしていると、ヨメは不機嫌になる。
1日目は、まだ許してくれるが、2日目になると「仕事ないの? 探してくればいいじゃない!」と尖った声で言うのである。
いや、明後日には新しいのが2つ入ってくるんだけどね。
(そのための休養なんだけど・・・)
「じゃあ、今日も明日も何もしないで過ごすの? 待ってるだけなの?」
何もしないわけではない。
我が家では、メシを作るのは私の役目である。
食材の買出しにも行く。
つまり、何もしていないわけではない。
「でも、それは『日課』であって、『仕事』ではないわよね」
なかなか鋭いことをおっしゃる。
そのようなヨメからの圧力を受けるのが嫌なので、私は5、6年前から仕事のない日は、スーツを着て家を出ることにしていた。
要するに、営業に行くふりをして外で羽を伸ばすことにしたのだ。
横浜の海を見たり、武蔵野から路線バスを乗り継いでお台場まで行ってみたり、神奈川県厚木市の温泉まで日帰りで行ったり、あるいは新橋で昼間から酒を飲んで過ごしたりという、サラリーマンの方には申し訳ない休日を過ごしているのである。
それは、2ヶ月に1度あるかないかのことだが、確実に私の心はリフレッシュしていると思う。
オンボロアパートの外観は、どこから見てもオンボロだが、リフレッシュしたあとは、歴史を感じさせる風雅な佇まいに見えるほど、休息は私の心を安らぎで満たしてくれる。
今年初めてのオフだった先週の月曜日は、朝11時から餃子店巡りをした。
最初にビールを飲んでしまうと腹が膨れてしまうので、ビールは最後の店まで我慢した。
荻窪、吉祥寺、三鷹、国立の餃子専門店を回って、最後に立川の餃子バーで焼き餃子と水餃子をいただいた。
ビールもいただいた。
満足した。
夕方、オンボロアパートの駐輪場で、夜のバイト(イトーヨーカ堂)に行く大学2年の娘と顔を合わせた。
そして、言われた。
「おまえ、酒飲んできたな。餃子も食べたな」
なぜわかった?
「匂いですぐにわかった。おそらく誰が匂いを嗅いでも百発百中だな」
「今日は、営業じゃなかったのか?」
「そんな匂いを振りまきながら帰ったら、言い訳できないぞ。まだ夕方だぞ、ヤバくないか?!」
畳み込むように言われた。
マシンガントークだ。
娘の口調に気圧された私は、結局、口止め料として2千円取られた。
さらに、臭いを消すために、口臭予防のタブレットや消臭スプレーを買ったから、結構な出費だった。
これからは、匂いのきつい食い物はやめようかと思う。
そして、アルコールは最初に飲むことにしよう。
それなら、家に帰るまでに匂いは消えるであろう。
せっかくの休みを有意義に使うためにも、細心の注意を払わなければならない。
とはいっても・・・・・いったい、俺は、何をやっているんだか・・・・・。
嘘ではない。
本当です。
基本的に、私のヨメは、私に関心がない。
私はほとんどの奥様方は、旦那様の仕事に関心が無いと思っていたのだが、友人たちに「そんなことはない」と否定されてたいへん驚いた。
友人たちの奥さん方は、旦那様の仕事をそれなりに把握しているらしいのだ。
私のヨメは、私がフリーランスだということは知っているが、仕事の内容に関しては、一度も聞いてきたことがない。
パソコンで仕事をしている、くらいの認識しかない。
得意先のことも当然知らない。
さらに、ヨメから得意先からいつ請負代金が振込まれるかも聞かれたことがない。
だから、私の年収も知らないはずだ。
ただ、ヨメは、いま週に4回午前中だけお花屋さんでパートをしているが、私もヨメの稼ぎがいくらかを知らないので、お互いの稼ぎに無関心であるという点では「おあいこ」と言っていい。
しかし、だからといって、ふたりの関係が冷め切っているというわけではない。
お互い時間が空いたときは、東京武蔵野のオンボロアパートから小金井公園まで二人で散歩をすることもある。
武蔵境の大戸屋で昼メシを一緒に食うこともある。
浜田省吾のライブに行ったりもする。
湊かなえのミステリーを読んで、感想を言い合ったりすることもある。
だが、ヨメの私に対する関心が、一貫して薄いことに変わりはない。
私が、人から体の心配をされるのが病的なほど嫌いということもあって、結婚後すぐヨメは私の健康に無関心になった。
私が具合が悪いのを隠して仕事をこなしているということもあるが、ヨメは、私の体の具合を推し量ることを結婚1年目から諦めたようである。
そのことは、私にとっては大変都合がよかった。
「大丈夫?」と体のことを聞かれても、フリーランスは仕事を請け負った以上、熱があろうが吐き気がしようが腰痛で動けなくなろうが、仕事を終えなければ、次の仕事は貰えないのだから、答えようがない。
さらに、「ちょっと休んだら?」という無責任な言葉を聞くと、私は腹が立つという人でなしだ。
では、その休んでいる間、この仕事はどうなるのだ。
納期が遅れるだけではないか。
フリーランスにとって、納期の遅れは致命的だ。
信用がゼロになる。
ゼロになったものを一から組み立てなおすほど、私はもう若くはない。
だから、気軽に「休んだら」などと言って欲しくない。
「大丈夫?」「休んだら?」「からだ壊すよ」と言われるたびに、私は大きなストレスを感じるタイプのクズ人間だ。
それより「働け! 働け!」と言ってもらった方が、私の精神は絶対に安定する。
何を言われたって、休めるわけがないのだから。
結婚1年目で、そのことを理解したヨメは、たぶん賢い人だと思う。
だから、私は今の状態にとても満足している。
ただ、少しだけ、私の思惑とは違う方向にヨメが行ってしまったことに関しては、若干ではあるが後悔している。
それは、仕事と仕事の間に、暇な時間ができたときのことだ。
長いときは、3日程度何も仕事がないときがある。
そんなとき、私が家にいてノンビリしていると、ヨメは不機嫌になる。
1日目は、まだ許してくれるが、2日目になると「仕事ないの? 探してくればいいじゃない!」と尖った声で言うのである。
いや、明後日には新しいのが2つ入ってくるんだけどね。
(そのための休養なんだけど・・・)
「じゃあ、今日も明日も何もしないで過ごすの? 待ってるだけなの?」
何もしないわけではない。
我が家では、メシを作るのは私の役目である。
食材の買出しにも行く。
つまり、何もしていないわけではない。
「でも、それは『日課』であって、『仕事』ではないわよね」
なかなか鋭いことをおっしゃる。
そのようなヨメからの圧力を受けるのが嫌なので、私は5、6年前から仕事のない日は、スーツを着て家を出ることにしていた。
要するに、営業に行くふりをして外で羽を伸ばすことにしたのだ。
横浜の海を見たり、武蔵野から路線バスを乗り継いでお台場まで行ってみたり、神奈川県厚木市の温泉まで日帰りで行ったり、あるいは新橋で昼間から酒を飲んで過ごしたりという、サラリーマンの方には申し訳ない休日を過ごしているのである。
それは、2ヶ月に1度あるかないかのことだが、確実に私の心はリフレッシュしていると思う。
オンボロアパートの外観は、どこから見てもオンボロだが、リフレッシュしたあとは、歴史を感じさせる風雅な佇まいに見えるほど、休息は私の心を安らぎで満たしてくれる。
今年初めてのオフだった先週の月曜日は、朝11時から餃子店巡りをした。
最初にビールを飲んでしまうと腹が膨れてしまうので、ビールは最後の店まで我慢した。
荻窪、吉祥寺、三鷹、国立の餃子専門店を回って、最後に立川の餃子バーで焼き餃子と水餃子をいただいた。
ビールもいただいた。
満足した。
夕方、オンボロアパートの駐輪場で、夜のバイト(イトーヨーカ堂)に行く大学2年の娘と顔を合わせた。
そして、言われた。
「おまえ、酒飲んできたな。餃子も食べたな」
なぜわかった?
「匂いですぐにわかった。おそらく誰が匂いを嗅いでも百発百中だな」
「今日は、営業じゃなかったのか?」
「そんな匂いを振りまきながら帰ったら、言い訳できないぞ。まだ夕方だぞ、ヤバくないか?!」
畳み込むように言われた。
マシンガントークだ。
娘の口調に気圧された私は、結局、口止め料として2千円取られた。
さらに、臭いを消すために、口臭予防のタブレットや消臭スプレーを買ったから、結構な出費だった。
これからは、匂いのきつい食い物はやめようかと思う。
そして、アルコールは最初に飲むことにしよう。
それなら、家に帰るまでに匂いは消えるであろう。
せっかくの休みを有意義に使うためにも、細心の注意を払わなければならない。
とはいっても・・・・・いったい、俺は、何をやっているんだか・・・・・。