同業者との飲み会で、私以外の全員が「最近、テレビがつまらない」ということを大真面目に語っていた。
私は、単純な思考方法しかできないので、こんなときはいつも思う。
つまらないのなら、見なければいいのでは。
実際、最近の私は、大事件や事故があったときだけ、「報道ステーション」を見るが、ほかはレンタルしてきた映画しか見ない。
我が家では、10年近く前から、家族でメシを食うときは、テレビをつけないのが習慣になった。
「つまらないテレビ」よりも「家族との会話」の方が、私としては有意義だと思うので、「テレビがつまらない」ことに文句を言うつもりはない。
同業者が、タラタラと言い募っている。
「どの番組も同じ顔ぶればかりで、違いがわからない」
「内容もほとんど同じ」
「ドラマやバラエティに必ずジャニーズが一人か二人は出ている」
「ニュースにも出ている」
「バラエティと言いながら、グルメの話ばかりだ」
「食べたあとでデブがコメントを言っているが、全然美味しさが伝わらない」
「お笑いも吉本ばっかりで、新鮮味がない」
「歌番組も出演者が固定されていて、大人の歌がない」
「時間の無駄だ」
「Mさん、あんた、どう思う?」
時間の無駄だと思うのなら、見なければいいと思います。
それに、酒を飲みながら「時間の無駄だ」と文句を垂れること自体が、時間の無駄だと俺は思いますよ。
そんなことを言ったら、最近熟年離婚をしたばかりの同業者が、「Mさん、前から思っていたんだけど、あんた、昔からトンガリ過ぎなんだよ。なんで俺たちの言うことにいちいち絡むんだよ」と絡んできた。
お言葉を返すようですが、私は、この飲み会の8割は黙って酒を飲みメシを食うことに専念しています。
くだらないジャイアンツの話題には、耳のスイッチをオフにして、絶対に関わらないようにしています。
自分で話題を発信することも遠慮しています。
私が発言するときは、私と180度違う意見が出て、それに対して意見を求められたときだけです。
だから、みなさんの会話のお邪魔はしていないつもりですが。
「いや、だから、その言い方がトンガっているって言うんだよ。
全部、素直にはいはいって聞いていればいいじゃないか。
まったく、空気が読めないんだからよお」
つまり・・・・・この俺に・・・何もしゃべるなと?
私の口調が突然変わったことに敏感に反応した最長老のオオサワさんが、私の左腕を掴んだ。
そして、目配せをしながら小声で、「Mさん、酒の席だから、我慢して・・・カマタさんは色々あったから、わかるでしょ?」とたしなめられた。
カマタさんが色々あったのはわかっていたので、私は全身から力を抜いて、息をするだけの人形に変身した。
そんなとき、ジーパンのケツに入れたiPhoneが震えた。
店の時計を見てみると、午後8時を12分ほど過ぎていた。
私は、自分勝手なルールとして、午後8時以降の電話には反応しないようにしていた。
自分の方からも夜に限らず、なるべく電話はかけないようにしていた。
電話というのは、その性質上あたりまえのことだが、突然かかってくる。
本人がどんな状況にいようが、お構いなしにかかってくる。
その勝手さが嫌なので、私はお得意様であっても友人であっても家族であっても、電話はなるべくかけない。
メールかLINEで済ますようにしている。
いまのところ、それで不都合はない。
ただ、私は自分のこの流儀を人さまに押し付けるつもりはないので、午後8時までの電話だったら「気が向いたら」受ける。
もちろん、今回もルールに則って無視しようとした。
しかし、気まずい空気の中で、息だけをしているのも気詰まりだったので、ケツからiPhoneを取り出してディスプレイを確認した。
大学時代の友人オオクボからだった。
オオクボは、東京南新宿でコンサルタント会社を経営する社長様だ。
要するに、成功者。
年に2、3回会うときもあるし、3年以上会わないこともあった。
会う頻度は、私の都合ではなくて、オオクボの忙しさの度合いによって変わった。
去年は2回会ったが、今年はまだ会っていなかった。
ルール違反だが、出た。
「何をしている?」と聞かれたので、息をしている、と答えた。
「息だけか?」
ビールと焼き鳥が目の前にある。
するとオオクボが、驚くべきことを言った。
「俺の目の前にもビールと焼き鳥があるぞ」
オオクボは、一人で飲んでいるというのだ。
しかも同じ吉祥寺だった。
吉祥寺では、かなり有名な焼き鳥屋だ。
「ひとりか?」と聞かれたので、一人みたいなもんだ、と答えた。
そして、「合流しないか」と言われたので、わかった、と答えた。
電話を切ったあとで私は立ち上がり「友だちが俺を必要としているので」と言って、オオサワさんに5千円札を渡し、振り返らずに居酒屋を後にした。
私がいなくなったあと、「自分勝手なやつ」と罵倒する人が二人いた、と後で聞かされたが、私も自分のことをそう思っているから、そのご意見に反論するつもりはない。
(ただ私が自分勝手になるのは、相手の態度次第である)
焼き鳥屋では、オオクボに盛大に愚痴を聞かされたが、あのまま同業者と飲むよりははるかに気が楽だった。
別れるとき、オオクボに「マツも丸くなったもんだよな」と言われた。
同業者には「トンガっている」と言われたばかりなのに。
どっちにしたって、酔っぱらいの言うことだから、大した意味はない。
大学時代の友人に、焼き鳥をおごってもらって、帰りのタクシー代まで出してもらったのだから、文句を言うのは、バチ当たりというものだ。
ゴチになります。
私は、単純な思考方法しかできないので、こんなときはいつも思う。
つまらないのなら、見なければいいのでは。
実際、最近の私は、大事件や事故があったときだけ、「報道ステーション」を見るが、ほかはレンタルしてきた映画しか見ない。
我が家では、10年近く前から、家族でメシを食うときは、テレビをつけないのが習慣になった。
「つまらないテレビ」よりも「家族との会話」の方が、私としては有意義だと思うので、「テレビがつまらない」ことに文句を言うつもりはない。
同業者が、タラタラと言い募っている。
「どの番組も同じ顔ぶればかりで、違いがわからない」
「内容もほとんど同じ」
「ドラマやバラエティに必ずジャニーズが一人か二人は出ている」
「ニュースにも出ている」
「バラエティと言いながら、グルメの話ばかりだ」
「食べたあとでデブがコメントを言っているが、全然美味しさが伝わらない」
「お笑いも吉本ばっかりで、新鮮味がない」
「歌番組も出演者が固定されていて、大人の歌がない」
「時間の無駄だ」
「Mさん、あんた、どう思う?」
時間の無駄だと思うのなら、見なければいいと思います。
それに、酒を飲みながら「時間の無駄だ」と文句を垂れること自体が、時間の無駄だと俺は思いますよ。
そんなことを言ったら、最近熟年離婚をしたばかりの同業者が、「Mさん、前から思っていたんだけど、あんた、昔からトンガリ過ぎなんだよ。なんで俺たちの言うことにいちいち絡むんだよ」と絡んできた。
お言葉を返すようですが、私は、この飲み会の8割は黙って酒を飲みメシを食うことに専念しています。
くだらないジャイアンツの話題には、耳のスイッチをオフにして、絶対に関わらないようにしています。
自分で話題を発信することも遠慮しています。
私が発言するときは、私と180度違う意見が出て、それに対して意見を求められたときだけです。
だから、みなさんの会話のお邪魔はしていないつもりですが。
「いや、だから、その言い方がトンガっているって言うんだよ。
全部、素直にはいはいって聞いていればいいじゃないか。
まったく、空気が読めないんだからよお」
つまり・・・・・この俺に・・・何もしゃべるなと?
私の口調が突然変わったことに敏感に反応した最長老のオオサワさんが、私の左腕を掴んだ。
そして、目配せをしながら小声で、「Mさん、酒の席だから、我慢して・・・カマタさんは色々あったから、わかるでしょ?」とたしなめられた。
カマタさんが色々あったのはわかっていたので、私は全身から力を抜いて、息をするだけの人形に変身した。
そんなとき、ジーパンのケツに入れたiPhoneが震えた。
店の時計を見てみると、午後8時を12分ほど過ぎていた。
私は、自分勝手なルールとして、午後8時以降の電話には反応しないようにしていた。
自分の方からも夜に限らず、なるべく電話はかけないようにしていた。
電話というのは、その性質上あたりまえのことだが、突然かかってくる。
本人がどんな状況にいようが、お構いなしにかかってくる。
その勝手さが嫌なので、私はお得意様であっても友人であっても家族であっても、電話はなるべくかけない。
メールかLINEで済ますようにしている。
いまのところ、それで不都合はない。
ただ、私は自分のこの流儀を人さまに押し付けるつもりはないので、午後8時までの電話だったら「気が向いたら」受ける。
もちろん、今回もルールに則って無視しようとした。
しかし、気まずい空気の中で、息だけをしているのも気詰まりだったので、ケツからiPhoneを取り出してディスプレイを確認した。
大学時代の友人オオクボからだった。
オオクボは、東京南新宿でコンサルタント会社を経営する社長様だ。
要するに、成功者。
年に2、3回会うときもあるし、3年以上会わないこともあった。
会う頻度は、私の都合ではなくて、オオクボの忙しさの度合いによって変わった。
去年は2回会ったが、今年はまだ会っていなかった。
ルール違反だが、出た。
「何をしている?」と聞かれたので、息をしている、と答えた。
「息だけか?」
ビールと焼き鳥が目の前にある。
するとオオクボが、驚くべきことを言った。
「俺の目の前にもビールと焼き鳥があるぞ」
オオクボは、一人で飲んでいるというのだ。
しかも同じ吉祥寺だった。
吉祥寺では、かなり有名な焼き鳥屋だ。
「ひとりか?」と聞かれたので、一人みたいなもんだ、と答えた。
そして、「合流しないか」と言われたので、わかった、と答えた。
電話を切ったあとで私は立ち上がり「友だちが俺を必要としているので」と言って、オオサワさんに5千円札を渡し、振り返らずに居酒屋を後にした。
私がいなくなったあと、「自分勝手なやつ」と罵倒する人が二人いた、と後で聞かされたが、私も自分のことをそう思っているから、そのご意見に反論するつもりはない。
(ただ私が自分勝手になるのは、相手の態度次第である)
焼き鳥屋では、オオクボに盛大に愚痴を聞かされたが、あのまま同業者と飲むよりははるかに気が楽だった。
別れるとき、オオクボに「マツも丸くなったもんだよな」と言われた。
同業者には「トンガっている」と言われたばかりなのに。
どっちにしたって、酔っぱらいの言うことだから、大した意味はない。
大学時代の友人に、焼き鳥をおごってもらって、帰りのタクシー代まで出してもらったのだから、文句を言うのは、バチ当たりというものだ。
ゴチになります。