先週、韓国に旅立った娘。
仁川(インチョン)空港で、昼ご飯を食ったあと、ユナちゃんと別れた。
大学から迎えの車が来ていたからだ。
迎えのタクシーでは、190センチ近い白人の女子大生と同乗だった。
デカさに圧倒されて、話しかけられなかったという。
そして、ここからトラブルが始まる。
入るはずの寮に行ってみたら、娘の名が登録名簿になかった。
寮費を全額前払いしているのに、名前がないだあ!
詐欺じゃないか!
「よく調べてください。
入学許可証と支払い証明書のJPEG画像を送っているから、それを見れば、わかるはずです」
それに対して、20代の男の事務員は、「アイドンノー」と答えたのみ。
そればかりか、「就業時間が過ぎたから、俺は帰る」と言いだしたのである。
そして、「あとは寮長に聞いて」だと。
「その寮長の連絡先は」と聞くと、また「アイドンノー」だ。
これが、噂に聞く「韓国クォリティ」か。
娘は普段は温厚な子だが、このときばかりは「日韓友好なんて、くそくらえだ。こいつ、脇をコチョコチョしてやろうか」と思ったという。
だが、そのとき、いいタイミングで、寮長らしき人がやってきた。
「寮長はんでっか?」と娘が聞くと「わてが寮長だす」と答えたから、間違いなく寮長なのだろう。
「うちの名が、名簿にないので、入学許可証を調べてくださいな」
娘がそう言うと、寮長はすぐ許可証の画像を調べてくれて、「これかいな」と娘に見せた。
「それでんがな」と娘。
寮長が、娘の名を打ち込んだことで、めでたく娘は503号室の住人になった。
しかし、ここでもう一つ問題が起きた。
6階建ての建物だから、エレベーターは絶対にあると思っていた。
しかし、なかったのだ。
娘が持つ荷物の重さは、15キロ。
159センチ40キロの華奢な体で、5階まで重い荷物を持って行くのは、辛い。
だが、辛いとは言っても、持たなくてはゴールには、たどり着けない。
意を決して、娘は東京にいたら絶対に持ち上げない荷物を持ち上げて階段を上った。
休み休みだ。
しかし、3階で限界を感じた。
そのとき、天使が舞い降りてきたのである。
「どうしたの? 荷物、持てないの?」
英語で聞いてきた女の子がいた。
顔を見ると、おそらく中国人。
普段なら強がりを言う娘だったが、このときだけは弱気な顔で頷いた。
すると、彼女は「じゃあ、一緒に持とうか」と言ってくれた。
「何号室?」
「503」
「あらぁ、私と同じ部屋だぁ!」
要するに、ルームメイトだったのである。
運命というのは、どこにでも転がっている。
娘は、幸運な運命を手にしたのかもしれない。
2人で、503号室まで荷物を運んだ。
ありがとう、ありがとう、と娘は何度も頭を下げた。
相手は、思った通り中国人で、名前を「ジンちゃん」といった。
ジンちゃんは、英語はカタコト。
ハングル語は、それなりに話せるらしい。
だから、中国語を話せない娘は、ジンちゃんとのコミュニケーションは、ハングル語でとっていた。
日本人と中国人がハングル語で会話をするという面白さ。
グローバルですなあ。
ジンちゃんは、中国人の友だち7人と韓国に留学に来たと言った。
ジンちゃんは、穏やかな子で、声のトーンも低めだ。
しかし、ジンちゃんのお友だちの中国人は、やたら声がデカくて寮の廊下もドタドタと歩くという。
しかも、夜中に大声で騒ぐ。
群れる中国人。
声がデカい中国人。
ステレオタイプの感想ではあるが、中国人は、異国でも自己流を貫くようだ。
娘が言った。
「ジンちゃんは、いい子だけど、他の中国の子とは、絶対に友だちになれないかもしれないな。なったら、ボクは絶対にノイローゼになる」
はじめの一歩は、そんな感じだった。
そんな話を娘から聞いて、毎晩泣いている情けないオヤジが、ここにいた。
こんなに「娘ロス」が、大きいとは思わなかった。
仁川(インチョン)空港で、昼ご飯を食ったあと、ユナちゃんと別れた。
大学から迎えの車が来ていたからだ。
迎えのタクシーでは、190センチ近い白人の女子大生と同乗だった。
デカさに圧倒されて、話しかけられなかったという。
そして、ここからトラブルが始まる。
入るはずの寮に行ってみたら、娘の名が登録名簿になかった。
寮費を全額前払いしているのに、名前がないだあ!
詐欺じゃないか!
「よく調べてください。
入学許可証と支払い証明書のJPEG画像を送っているから、それを見れば、わかるはずです」
それに対して、20代の男の事務員は、「アイドンノー」と答えたのみ。
そればかりか、「就業時間が過ぎたから、俺は帰る」と言いだしたのである。
そして、「あとは寮長に聞いて」だと。
「その寮長の連絡先は」と聞くと、また「アイドンノー」だ。
これが、噂に聞く「韓国クォリティ」か。
娘は普段は温厚な子だが、このときばかりは「日韓友好なんて、くそくらえだ。こいつ、脇をコチョコチョしてやろうか」と思ったという。
だが、そのとき、いいタイミングで、寮長らしき人がやってきた。
「寮長はんでっか?」と娘が聞くと「わてが寮長だす」と答えたから、間違いなく寮長なのだろう。
「うちの名が、名簿にないので、入学許可証を調べてくださいな」
娘がそう言うと、寮長はすぐ許可証の画像を調べてくれて、「これかいな」と娘に見せた。
「それでんがな」と娘。
寮長が、娘の名を打ち込んだことで、めでたく娘は503号室の住人になった。
しかし、ここでもう一つ問題が起きた。
6階建ての建物だから、エレベーターは絶対にあると思っていた。
しかし、なかったのだ。
娘が持つ荷物の重さは、15キロ。
159センチ40キロの華奢な体で、5階まで重い荷物を持って行くのは、辛い。
だが、辛いとは言っても、持たなくてはゴールには、たどり着けない。
意を決して、娘は東京にいたら絶対に持ち上げない荷物を持ち上げて階段を上った。
休み休みだ。
しかし、3階で限界を感じた。
そのとき、天使が舞い降りてきたのである。
「どうしたの? 荷物、持てないの?」
英語で聞いてきた女の子がいた。
顔を見ると、おそらく中国人。
普段なら強がりを言う娘だったが、このときだけは弱気な顔で頷いた。
すると、彼女は「じゃあ、一緒に持とうか」と言ってくれた。
「何号室?」
「503」
「あらぁ、私と同じ部屋だぁ!」
要するに、ルームメイトだったのである。
運命というのは、どこにでも転がっている。
娘は、幸運な運命を手にしたのかもしれない。
2人で、503号室まで荷物を運んだ。
ありがとう、ありがとう、と娘は何度も頭を下げた。
相手は、思った通り中国人で、名前を「ジンちゃん」といった。
ジンちゃんは、英語はカタコト。
ハングル語は、それなりに話せるらしい。
だから、中国語を話せない娘は、ジンちゃんとのコミュニケーションは、ハングル語でとっていた。
日本人と中国人がハングル語で会話をするという面白さ。
グローバルですなあ。
ジンちゃんは、中国人の友だち7人と韓国に留学に来たと言った。
ジンちゃんは、穏やかな子で、声のトーンも低めだ。
しかし、ジンちゃんのお友だちの中国人は、やたら声がデカくて寮の廊下もドタドタと歩くという。
しかも、夜中に大声で騒ぐ。
群れる中国人。
声がデカい中国人。
ステレオタイプの感想ではあるが、中国人は、異国でも自己流を貫くようだ。
娘が言った。
「ジンちゃんは、いい子だけど、他の中国の子とは、絶対に友だちになれないかもしれないな。なったら、ボクは絶対にノイローゼになる」
はじめの一歩は、そんな感じだった。
そんな話を娘から聞いて、毎晩泣いている情けないオヤジが、ここにいた。
こんなに「娘ロス」が、大きいとは思わなかった。