少し前のエントリーで、私のヨメが私を信用していないと書いた。
それを読んだ友人が、「信用していないというのではないだろう。誤解を招くから表現に気をつけた方がいい」と忠告してくれた。
だから、表現を変えたい。
信用していないのではなく、「私の言葉」に関心がない・・・と。
私は昔から、家族にこんなことを言っていた。
風邪や体の痛みは、俺は風邪を引かない、体なんて痛くないと思えば耐えしのげる・・・と。
息子や娘は、私の方式を実践して、風邪をひかない体、痛みに強い体を作った。
しかし、ヨメだけは、「それって、あなたの嫌いな精神論じゃないの?」と懐疑的だった。
いや、これは精神論ではなく、脳科学の分野だ。
脳から自分の体を騙すように全身に暗示をかければ、体内のナチャラルキラー細胞が増えて、免疫力がアップする。
ナチュラルキラー細胞を活性化しておけば、風邪を引くことは少なくなるし、病気にかかる確率も低くなり、痛みも誤魔化せる。
気合いだー! の精神論とはわけが違うのだ。
しかし、私の言葉に、ヨメはまったく関心を持たない。
だが、先日、まるでコントのような出来事があった。
ヨメは、物心ついたころから、ある宗教の信者だった。
両親の影響を強く受けていたようだ。
その信者同士の会合が、定期的に開かれているのだが、そのなかに今回は医師がいたのである。
その医師が、まわりの信者さんたちに向かって言ったという。
「気持ちは大事です。たとえば、風邪を引かないと毎日念じたら、体の細胞が活性化してきて、風邪をひかない体になるのです。『病は気から』と言うではないですか。だから、みなさんも、毎日念じてください。必ず、健康な体になりますから」
家に帰ったヨメは、興奮した面持ちで、「ためになることを聞いたわあ。やっぱり人間は気持ちなのよね。今日から、実践しようと思うの!」とみんなに宣言したのである。
家族一同唖然。
私が、20年以上訴え続けたことは、たった一度の医師の言葉に負けるという楽しいお話でした。
他にも、昨日、こんな楽しいことがあった。
我が家では、昔、日曜日の晩メシは必ずカレーを食うことを習慣としていた。
我々は、それを「サンデー・カレー」と言っていた。
しかし、ヨメが、自分のお友だちの家が土曜日に必ずカレーを作ることを知ってから、「うちも土曜日にして」とゴリ押しをしてきたのである。
その結果、我が家は、5年前から「サタデー・カレー」になった。
毎回同じ味では、作っていてつまらないので、毎回味は変える。
20種類以上のカレーをローテーションして、家族に食わせていた。
その中に、厚揚げを使ったものがあった。
しかし、ヨメは「カレーに厚揚げは、おかしい。だいいち、ビンボー臭い」と怒るのである。
とは言っても、ビンボー人がビンボー臭いのは、当たり前ではないか。
だから、私は批判に屈せずに、厚揚げ入りカレーをたびたび作った。
息子と娘が、「うめえ」と言って食ってくれたからだ。
そして、昨日の土曜日、友人のスガ君から電話があった。
スガ君は、静岡で駐車場やレストラン、レンタルボックスなどを多角的に経営している社長様だ。
彼は、昨年から東京に進出して、日比谷線神谷町駅近くに事務所を構えていた。
「ちょっと、お願いしたい仕事があるので、来ていただけないかと」
いや、いま俺は猛烈に忙しいので、そちらから来てくれると助かる。
そう言ったら、社長様は、タクシーで武蔵野のオンボロアパートまでやってきた。
スガ君とは10年以上の長い付き合いになるが、私の家に来るのは初めてだ。
オンボロで、ビックリしたろと聞いたら、スガ君が言った。
「いや、兄貴が言うほど、オンボロじゃないですよ。ただ、相当に古いですけど」
いや、スガ君、それを世間では「オンボロ」というのではないだろうか。
ちなみに、14歳年下のスガ君は、私を「兄貴」と呼んで、慕ってくれていた。
175センチ120キロの大型デブ。
そのデブが180センチ56キロのガイコツを慕うなんて、なんかとてもミスマッチ。
そのスガ君は、むかし静岡でラーメン店を経営していたが、4年半でつぶした。
その後、離婚をしたり、大病をしたりの波乱爆笑の人生を送ったが、今は立派に社長業をこなしていた。
仕事の打ち合わせが終わったのは、5時過ぎ。
だから、スガ君にメシを食っていけ、と命令した。
今日は、サタデー・カレーの日だ。
私が、そう言うと、デブは、目を輝かせて「ゴッツァンです」と言った。
私が作ったのは、厚揚げ入りカレーだった。
ベースは、玉ネギ、ジャガイモ、ニンジン、チキン。
そして、一口大に切った厚揚げを表面をカリカリに炒めたのち、カレー粉でからませたものを別皿に盛る。
厚揚げをトッピングするかしないかは自由だ。
ヨメ以外は、必ずのせる。
スガ君に、ビンボーカレーを出した。
すると、「兄貴、斬新ですね。でも厚揚げもありですね。食感がすごくいいですよ。俺も家でやってみましょう。いいものを食べさせてもらいました」と言って、3杯も食いやがった。
スガ君が食っているときに、ヨメに「スガ君は調理師免許を持ったプロだからね」というと、スガ君の食いっぷりにつられて、ヨメが初めて厚揚げをトッピングした。
「あら、おいしいじゃない!」
10年以上、拒んできたビンボーカレーも、調理師免許を持ったデブが3杯食ったら、たった一度で「おいしい」に変わる。
関心がないというのは、とても楽しいことだというお話でした。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
トランプ氏が大統領候補になったときは、驚いた。
ビジネスの世界では、トランプ氏は債務不履行と訴訟を繰り返す実業家にすぎなかった。
さらに、理性的でない話を大声で吠えては、人種差別的な中傷を口にした。
政治経験がなく、トリッキーな政策を掲げていた。
そして、あらゆる角度からの批判も無視して、自身と会社の納税額を公開することを拒んだ。
そんな人が、唯一の超大国であるアメリカの大統領になった。
アメリカの民主主義というのは、面白い。
「異端児」を受け入れる懐の深さを持っている。
かれらは、実はヒール(悪役)が好きなのかもしれない。
ただ、数ヶ月後、ヒールを大将にしたアメリカが、世界中のヒールになっている可能性がないとは言えない。
それを喜ぶのは、ロシア? 中国? 北朝鮮?
1989年に、地中深く葬られた東西冷戦が、ゾンビのように蘇らなければいいのだが。
それを読んだ友人が、「信用していないというのではないだろう。誤解を招くから表現に気をつけた方がいい」と忠告してくれた。
だから、表現を変えたい。
信用していないのではなく、「私の言葉」に関心がない・・・と。
私は昔から、家族にこんなことを言っていた。
風邪や体の痛みは、俺は風邪を引かない、体なんて痛くないと思えば耐えしのげる・・・と。
息子や娘は、私の方式を実践して、風邪をひかない体、痛みに強い体を作った。
しかし、ヨメだけは、「それって、あなたの嫌いな精神論じゃないの?」と懐疑的だった。
いや、これは精神論ではなく、脳科学の分野だ。
脳から自分の体を騙すように全身に暗示をかければ、体内のナチャラルキラー細胞が増えて、免疫力がアップする。
ナチュラルキラー細胞を活性化しておけば、風邪を引くことは少なくなるし、病気にかかる確率も低くなり、痛みも誤魔化せる。
気合いだー! の精神論とはわけが違うのだ。
しかし、私の言葉に、ヨメはまったく関心を持たない。
だが、先日、まるでコントのような出来事があった。
ヨメは、物心ついたころから、ある宗教の信者だった。
両親の影響を強く受けていたようだ。
その信者同士の会合が、定期的に開かれているのだが、そのなかに今回は医師がいたのである。
その医師が、まわりの信者さんたちに向かって言ったという。
「気持ちは大事です。たとえば、風邪を引かないと毎日念じたら、体の細胞が活性化してきて、風邪をひかない体になるのです。『病は気から』と言うではないですか。だから、みなさんも、毎日念じてください。必ず、健康な体になりますから」
家に帰ったヨメは、興奮した面持ちで、「ためになることを聞いたわあ。やっぱり人間は気持ちなのよね。今日から、実践しようと思うの!」とみんなに宣言したのである。
家族一同唖然。
私が、20年以上訴え続けたことは、たった一度の医師の言葉に負けるという楽しいお話でした。
他にも、昨日、こんな楽しいことがあった。
我が家では、昔、日曜日の晩メシは必ずカレーを食うことを習慣としていた。
我々は、それを「サンデー・カレー」と言っていた。
しかし、ヨメが、自分のお友だちの家が土曜日に必ずカレーを作ることを知ってから、「うちも土曜日にして」とゴリ押しをしてきたのである。
その結果、我が家は、5年前から「サタデー・カレー」になった。
毎回同じ味では、作っていてつまらないので、毎回味は変える。
20種類以上のカレーをローテーションして、家族に食わせていた。
その中に、厚揚げを使ったものがあった。
しかし、ヨメは「カレーに厚揚げは、おかしい。だいいち、ビンボー臭い」と怒るのである。
とは言っても、ビンボー人がビンボー臭いのは、当たり前ではないか。
だから、私は批判に屈せずに、厚揚げ入りカレーをたびたび作った。
息子と娘が、「うめえ」と言って食ってくれたからだ。
そして、昨日の土曜日、友人のスガ君から電話があった。
スガ君は、静岡で駐車場やレストラン、レンタルボックスなどを多角的に経営している社長様だ。
彼は、昨年から東京に進出して、日比谷線神谷町駅近くに事務所を構えていた。
「ちょっと、お願いしたい仕事があるので、来ていただけないかと」
いや、いま俺は猛烈に忙しいので、そちらから来てくれると助かる。
そう言ったら、社長様は、タクシーで武蔵野のオンボロアパートまでやってきた。
スガ君とは10年以上の長い付き合いになるが、私の家に来るのは初めてだ。
オンボロで、ビックリしたろと聞いたら、スガ君が言った。
「いや、兄貴が言うほど、オンボロじゃないですよ。ただ、相当に古いですけど」
いや、スガ君、それを世間では「オンボロ」というのではないだろうか。
ちなみに、14歳年下のスガ君は、私を「兄貴」と呼んで、慕ってくれていた。
175センチ120キロの大型デブ。
そのデブが180センチ56キロのガイコツを慕うなんて、なんかとてもミスマッチ。
そのスガ君は、むかし静岡でラーメン店を経営していたが、4年半でつぶした。
その後、離婚をしたり、大病をしたりの波乱爆笑の人生を送ったが、今は立派に社長業をこなしていた。
仕事の打ち合わせが終わったのは、5時過ぎ。
だから、スガ君にメシを食っていけ、と命令した。
今日は、サタデー・カレーの日だ。
私が、そう言うと、デブは、目を輝かせて「ゴッツァンです」と言った。
私が作ったのは、厚揚げ入りカレーだった。
ベースは、玉ネギ、ジャガイモ、ニンジン、チキン。
そして、一口大に切った厚揚げを表面をカリカリに炒めたのち、カレー粉でからませたものを別皿に盛る。
厚揚げをトッピングするかしないかは自由だ。
ヨメ以外は、必ずのせる。
スガ君に、ビンボーカレーを出した。
すると、「兄貴、斬新ですね。でも厚揚げもありですね。食感がすごくいいですよ。俺も家でやってみましょう。いいものを食べさせてもらいました」と言って、3杯も食いやがった。
スガ君が食っているときに、ヨメに「スガ君は調理師免許を持ったプロだからね」というと、スガ君の食いっぷりにつられて、ヨメが初めて厚揚げをトッピングした。
「あら、おいしいじゃない!」
10年以上、拒んできたビンボーカレーも、調理師免許を持ったデブが3杯食ったら、たった一度で「おいしい」に変わる。
関心がないというのは、とても楽しいことだというお話でした。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
トランプ氏が大統領候補になったときは、驚いた。
ビジネスの世界では、トランプ氏は債務不履行と訴訟を繰り返す実業家にすぎなかった。
さらに、理性的でない話を大声で吠えては、人種差別的な中傷を口にした。
政治経験がなく、トリッキーな政策を掲げていた。
そして、あらゆる角度からの批判も無視して、自身と会社の納税額を公開することを拒んだ。
そんな人が、唯一の超大国であるアメリカの大統領になった。
アメリカの民主主義というのは、面白い。
「異端児」を受け入れる懐の深さを持っている。
かれらは、実はヒール(悪役)が好きなのかもしれない。
ただ、数ヶ月後、ヒールを大将にしたアメリカが、世界中のヒールになっている可能性がないとは言えない。
それを喜ぶのは、ロシア? 中国? 北朝鮮?
1989年に、地中深く葬られた東西冷戦が、ゾンビのように蘇らなければいいのだが。