リスタートのブログ

住宅関連の文章を載せていましたが、メーカーとの付き合いがなくなったのでオヤジのひとり言に内容を変えました。

自祝しました

2020-04-05 05:46:00 | オヤジの日記

私のヒーローが、突然いなくなった。

 

悲しみ、やむことなく。

 

 

私は先週の木曜日から完全テレワークだ、と宣言しようと力んだが、よく考えたら、フリーランスの私は以前から9割型テレワークだった。

最初の打ち合わせのとき以外、外に出ないのだから。

今回は、打ち合わせは電話とメールで済ませた。原稿はPDFで送ってもらい、画像はJPEGで送ってもらった。

仕事の進行は、かなりスムーズにいっていると思う。何の煩わしさもない。これからも、これがいいな。

 

我が家では、2ヶ月以上前から29歳の息子もテレワークだ。息子はある企業の研究所に勤めていた。資料整理の仕事だ。

最初からデジタル化している仕事なので、テレワーク移行は簡単だった。ただ、息子の持っているノートパソコンは、スペックが低いので、会社から高スペックのパソコンを借りて作業していた。

「快適だぜ〜」と喜んでいた。

娘は、1ヶ月前からテレワークだ。娘は東京の鉄道関係の会社で広報の仕事をしていた。これも移行はすぐにできた。

「朝と夜の大混雑の中央線に乗らなくていいって、それだけでストレスは半減だ」

 

ヨメは週に4回、ひと駅隣りの中央線立川の花屋さんで朝の6時から10時まで働いていた。花屋さんでは、テレワークは難しいようだ。

「何で、私だけ出勤なの? え? 働いているの私だけ?」

違いますよ。私たちも働いているんですよ。ただ、外に出ないだけです。

ヨメは昔から、独特の考え方を持っていた。外で働くのが労働の基本だと思っているのだ。花屋さんのパートで働いている自分こそ偉い、という考え方だ。

だから、私が家でパソコンで仕事をしているとよく邪魔をしにくる。ご近所のナニナニさんの話題や花屋さんに来た客の非常識な行動を延々と私が仕事をしている最中に話し続けるのである。

それは、もう慣れてしまったので、私は耳の機能を停止して、自分の仕事に没頭することを20年前に覚えた。

それよりもコロナです。

たった1駅の移動でも、リスクは多い。マスクしても手袋しても新しいウイルスは、どう忍び寄ってくるかわからない。

・・・と思っていたら、花屋さんは、明日からとりあえず1週間お休みだそうです。

我が家では、全員が外出自粛。

 

だが、身近に忍び寄ってくる怖さを徐々に感じて、背筋が寒くなる日々は変わらない。

私たちが外に出なければ感染はしない。そして、ウイルスをばらまくこともない。

こんな簡単なことが理解できない人が、多すぎる。

楽観的な多くの人は、「免疫力」はあるかもしれないが、新しいウイルスに対する「免疫」はない。

条件はみな同じなのだ。なぜそれに気づかない。

だから、せめて休みの日だけは家にいましょう。

グータラでいいじゃありませんか。グータラの先に平穏な日々が来るのであれば。

 

先週の日曜日、私は家族に、あることを提案した。

家にこもっているだけでは、気が滅入る。

パーっと「ジシュク」しようじゃないか。

ブス猫を含め、4人の目がEIGHTになった。いや、TEN 点になった。

「おまえ、もうとっくに世の中は自粛しているというのに、何を寝ぼけているんだ」と娘。

違うぞ。そっちの自粛ではない。「自分を祝う」という意味のジシュクだ。自祝。

「もっと、訳がわからん」

 

たとえば、普段自分を祝福したくなるときはないか。私は、つい最近、ご近所のイマガワさんから、「Mさんが自転車に乗っている姿って颯爽としていてカッコいいですよね」と褒められたぞ。そうやって褒められたとき、私は、自分を祝う方法を考えたのだよ。

「なんだ、それって?」

いや、その前に、君らも考えてごらん。たとえば、欲しいものがあって、買いたいんだけど踏ん切りがつかないものってないか。

タイミングと勇気があれば、買っていたのに、買うことができないものって、誰にでも一個や二個や80万個くらいはあるだろう。

みんな、それを考えるんだ。こんなときこそ、自分を祝おうぜ。

軍資金は、一人につき福沢先生2枚だ。

今度の土曜日に、それをみんなの前で披露しようぜ。

 

福沢先生を見せたら、途端にみんなの目の色が変わった。渋沢先生に変わっても、きっとみんな目の色を変えるのだろうな。

「よしよし」「ヨッシャー」「1週間が楽しくなったわ」「オワンオワンダニャー」

猫に諭吉。

 

ごめんな、オオクボ。おまえからの助成金を、こんな形で使ってしまって。

でも、俺はこれも今の時期、有意義な使い道だと思うんだ。

 

全員が引きこもると決めていたので、買い物には行かない。全員が通販を利用する。

娘は、私と同じで、いつも決断が早いので、その日のうちに買うものを決めたようだ。

しかし、決断力のないヨメと息子は、丸三日間考え続けた。配送にかかる時間を考えると、注文のリミットは水曜日と考えた方がいい。二人ともぎりぎりまで悩んだ。

 

とりあえず、全員の買い物が決まった。

土曜日の夜、キーマカレーを食いながらお披露目した。

まず、ヨメはホームベーカリーだった。我が家に、ホームベーカリーはあった。それは10年以上前、私が友人から「うまく食パンが焼けねえから、おまえにやる」と言われて、引き取ったものだ。

使ってみると、出来上がった食パンは、私がイメージするものとは違っていた。全然フワフワ感がなかった。ドライイーストの量を変えたり、お湯の温度を変えてみて何度か作ったが、形は食パンではあるが、食感は食パンとは言いがたいものしかできなかった。

結局、その機械は、うどん生地、パスタ生地を作るための専用道具になった。ベーカリーじゃないよね。

パン好きのヨメは、なんとかして美味しい食パンを作りたいと思って、普段なら躊躇する高額なホームベーカリーを買ったのだ。

「明日から、私が作った食パンを食べさせてあげるから!」

いや、作るのは「私」ではなく、ホームベーカリーですから。

 

息子は、コーヒーメーカーだった。コーヒーとカフェが大好きで、カフェでまったりするのが息子の最大のストレス解消術だった。

しかし、カフェに行くのも難しいいま、とりあえず美味しいコーヒーだけは飲みたい、と思い有名どころのコーヒーメーカーを買ったのだ。そして、まったりするためのカフェ風の椅子も買った。

まったり座って、ご機嫌な息子だ。

 

娘は、スイッチ版「どうぶつの森」を購入。

「欲しかったんだよな、これ。『どうぶつの森』は最初からやっているから、これだけは続けないとって、ずっと思っていたんだよ。やる気が出たぜ」

「で・・・おまえは、何を買ったんだ」

 

自転車でーす。

今まで、10数年使用のくたびれたママチャリに乗っていた。何度もチューブの修理をし、タイヤを取り換え、ボロボロのサドルに乗って、颯爽と走り続けていた。ただ、最近パンクが多いのよ。

パーン、と破裂するたびに気持ちが萎えるのよ。

だから、自転車を買いました。同じママチャリだが、ライトはダイナモ式ではなくオートライトだ。そして、後部につけるでっかいカゴも一緒に買った。これで、買い物も快適よ。

締めて1万7千5百円。

世間の空気がクリアになったら、これで暴れまくるぜ。

 

最後は、ブス猫。

オワン? アワ? と悩んだ結果、段ボールでできたキャットハウスを購入。爪とぎがたくさんついていて楽しいよ。

「あのな、楽しいはいいんだけど、これ、一番安上がりじゃないか。俺の扱いは、この程度なのか」

いえいえ、君の大好物の腎臓ケア2キロ分と減塩干しカマ40gを5袋ご用意しました。決して手を抜いたわけではございませぬ。

「オワンオワンダニャーアワ(それなら、だいじょうぶだあ)」

 

ブス猫が言うように、だいじょうぶな世の中が、早く来て欲しい。

 

 

私のヒーローも、絶対にそう願っているはずだ。