緊急事態宣言が出ましたが、テレビで見る限り、安倍晋三氏や小池百合子氏の言葉にも顔にも覚悟が、あまり見て取れませんでした。
作文は、うますぎても伝わらないんです。
指導者の宣言に演技は必要だが、ダイコンではダメだ。
2020年4月8日、私は家で仕事をしていた。サノさんという同業者からいたいただいた仕事だ。
メールで原稿をもらい、サノさんのアドバイスを受けながら、2つの仕事をし終えた。
終わったあと、サノさんと電話会談をした。
深刻な話もでた。しかし、深刻な話は他の方がするだろうから、ここでは披露しない。
「Mさんは、野球に全く興味がないって言ってましたよね。ということは、高校野球中止、プロ野球延期はショックゼロですか」
そうですね。申し訳ないですが、ゼロです。ただ、私は、それを楽しみにしていた人たちの感情を慮ることはできます。
野球ファン、スポーツファンの皆さんは、大ショックですよね。
先日、ごくたまに行く鳥料理屋さんでランチの親子丼を注文したとき、「お客さん、すいませんねえ。人数分が終わってしまったんですよ」と言われたときは、ショックで立ち尽くしました。口が親子丼を求めていましたから、口の形が親子丼ひと口目の口に完全になっていたんです。
それと同じですよね。
「・・・・・・・・・・」
オレ、変なこと言った?
「Mさん、永谷園のお茶漬けって、どう思いますか」
話が、ヤケクソで飛んだぞ。
私は、かつて、永谷園の4袋入りの鮭茶漬けを試供品として貰って、1袋だけ食ったことがありましたが、あれは商品としては最低レベルのものでした。あれではゴハン君に失礼です。あんな風に味付けするなんて、一流のバレーダンサーに、志村けん師匠の白鳥を着せるようなものです。
「まあ、ちょっと違うと思うんだけど・・・・・僕も独身のころ、たまに我慢しながら食べていたんですが、結婚してからは、一度も食べていなかったんです」
ここでサノさんは、悔しさを押し殺すように、大きく息を吸った。
「でも、昨晩食卓に、いきなり出てきたんですよ。ブリ大根とニンジンのキンピラと永谷園ですよ。普通、何かメインを満足するまで食べて、締めにお茶漬けならわかりますけど、メインで出てきたんですよ。久しぶりに、女房と喧嘩しました」
「なんで、こんなやつがメインなんだ。野球で言えば、育成選手にもなれない控えだぞ。手を抜くにもほどがある!」
奥さんが言うには、スーパーに買いだめに行ったら、他のものは品薄だったが、永谷園のお茶漬けのもとは、たくさんあったので買いだめたというのだ。
買った以上は、消費しないと。
それは、わからなくなくなくはないが、買うものを間違えたね。あるいは、食卓に出すのならアレンジを加えるとか。
お茶漬けというのは、ご飯と具とダシが三位一体。
美味しい冷やご飯を器に盛ったら、鮭だったら切り身を焼いて身をほぐし、ご飯の上に乗せる。そして、アゴ、カツオで出汁を取った熱々の汁を加えたあと、好みで薄口醤油を垂らす。ちなみに、汁は、ほうじ茶でもGOODです。さらに、ときにワサビを乗せる。白ごまを加える。分葱を乗せる。
これが、我が家のお茶漬けでございやす。
「そうだ、そうだー! お茶漬けをなめんなよー!」
珍しく、気が合いましたね。
ところで、話はとんで武蔵小金井。
1ヶ月半くらい前に、中央線武蔵小金井駅近くを歩いていたときのことだった。後ろから、ドーンと強く押された。
そのすぐあと私の左耳に、「左側通行、左側通行、乱れるな!」という声が響き渡った。
驚いて、左を見ると、80過ぎの小柄なジジイが、まるで軍隊の行進のように威勢よく歩いていた。私の背中に突進したあともペースを乱さず、「左側通行、左側通行、乱れるな!」と叫びながら、ジジイは規則正しい歩幅で街を闊歩していった。
ジジイ、オレ、左側歩いていたんですけど。
その行動に、なんの意味があるかはわからない。だが、ジジイはでかいマスクをして、防護服のようなもので全身を包んでいた。手袋もしていた。
危機感は持っているのだなと思った。
そのほぼ5日後、そのジジイをまた見かけた。格好は1回目と同じ防護スタイルだった。
叫んでいた。
ただ、叫ぶ内容は、前回とは違っていた。
行進しながら、「ナーガタニエーン、ナーガタニエーン、フ・リ・カ・ケ!」と節をつけて叫んでいたのだ。
なぜ永谷園のフリカケかは、サッパリわからぬ。
それからあと、ジジイの姿を見かけることはなくなった。
あのジジイは、今も叫びながら、どこかを行進しているのだろうか。
「右側通行、馬鹿野郎!」や「オオモリヤ、オチャヅケ!」とか「マルミヤ、ノリタマ!」とか叫んでいるんだろうか。
あるいは、「コロナウイルス、コロナウイルス、タイサン! ゼツメツ!」などと叫んでいるかもしれない。
ところで、最近、テクニカルイラストの達人・アホのイナバ君から、頻繁にLINEが来るようになった。
以前は、長いときで1ヶ月くらい来ないときがあったが、今は、ほぼ毎日だ。
「Mさん、生きてますか?」(キャプテン翼のスタンプ)。
私は、メールにしてもLINEにしても電話にしても、すぐ返すことはない。
そんなことよりも重要なことは、私の身の回りにたくさんある。たとえば、チャーシューを作っているときは、寸胴に集中する。
ブス猫が膝の上に乗っているときは、全力で可愛がる。
満開の桜を見るときは、桜にたくさん話しかける(変態?)。
思いがけず外に出てしまったときは、帰ってすぐシャワーを浴びる。
つまり、それほど暇ではないのですよ。
5時間くらい返事が遅れたって、いいじゃん!
「何を言っているんですか、Mさん! もう、自覚しないとダメな時期ですよ。Mさんくらいになると、ラスクが高いんですから!」
あ、イナバ君、それ「リスク」だねえ。
そう遠くない時期に、都市封鎖が始まるかもしれません。
ラスク対応が遅いけど。
晋三と百合子の存在そのものがラスク、というのは日本国民にとって悲劇だ。
そして、もしシェークスピアがこの時代に舞い降りてきて、「晋三と百合子」という喜劇を書いたら、当然無観客の上演になるのは街がいないマチガイナイ。