杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

男前の女性

2009-02-16 10:08:01 | NPO

 昨日(15日)は静岡県NPO情報誌ぱれっとコミュニケーションの取材で、久しぶりに熱海を訪れました。ポカポカ陽気の日曜日、しかも熱海梅園の見頃のピークとあって、大勢の人で賑わっていました。これまで熱海に取材に来ても平日やオフシーズンだったせいか、街中は閑散としていて、観光不況の代名詞みたいな空気に包まれていたのですが、昨日はホント、久しぶりに活気のある観光都市熱海の“象徴”に出会うことができました。それは、ひとりの“男前”の女性でした。

 

 

Imgp0493  お会いしたのは“スポーツを通して熱海を元気にしよう!”と活動するNPO法人熱海人倶楽部(あたみんちゅくらぶ)理事長の杉山ちなみさん。日本でも数少ない、全米アスレティックトレーナー協会(NATA)と全米ストレングス&コンディショニング協会(NSCA)の2団体の公認資格を持つスポーツトレーナーのスペシャリストです。

 

 JOC日本オリンピック委員会本部のメディカルスタッフとして、釜山アジア大会(02年)、アテネ五輪(04年)、ドーハアジア大会(06年)、北京五輪(08年)に帯同し、女子レスリングの伊調馨選手や吉田選手を担当するなど、この世界の女性第一人者として活躍中。

 

 横浜の出身ですが、アスリートのリハビリや合宿、またご家族の治療養生などで縁のあった熱海市に居を構え、熱海の地の利を生かしたトレーニングやリハビリ合宿の企画をサポートしたり、(財)日本体育協会公認アスレティックトレーナーとして国内トップアスリートを担当し、大学や専門学校で教鞭もとっています。

 

 

 

 NPO法人熱海人倶楽部は、現役アスリートやコーチ、トレーナーなど幅広い人脈を持つ杉山さんが同志とともに08年10月に立ち上げた組織。熱海に移住してから、「温泉があって、きれいな砂浜があって、坂道や階段も多く、アスリートには理想的な環境」と熱海をスポーツ合宿やリハビリのメッカとしてアピールし続けてきた活動を、より強化し、市民、自治体、観光協会など地元に知らしめ、協働の輪を広げようとスタートしました。

 

 認証前の07年から開催し、08年秋の2回目も大好評だった体験イベント『熱海サンビーチスポーツフェスタ』には、日本代表クラスの選手や大相撲力士など70人のトップアスリートが参加し、市民とアスリートがピーチバレー、セパタクロー、シーカヤック、ビーチテニス、相撲などで汗を流し、「熱海とスポーツはこんなに深い縁があったんだ!」と多くの市民に知らしめました。

 

Imgp0492  そして昨日。熱海市観光協会が1月から3月まで展開中の“熱海温泉玉手箱=オンたま”のイベントに指定され、多くの市民ボランティアも参加した『お相撲さんと相撲体操&ちゃんこ鍋』は、過去スポーツフェスタにも協賛した千賀ノ浦部屋の親方と力士たちが、地元の子どもたちや熱海で合宿中の愛知学泉大女子バスケ部の選手たちと砂浜でシコを踏んだり走り回ったり。お昼は市民にちゃんこ鍋をふるまうなど、にぎやかな交流を行いました。千賀ノ浦部屋も熱海で治療やリハビリを行った縁で、おつきあいがあるそうです。

 

Imgp0489  イベントの責任者として走り回る杉山さんをあちこちでつかまえてはインタビュー。多忙な中でも、嫌な顔一つせず、ハキハキと明るく答えてくれる杉山さんと、サポートする副理事長の青木晋平さん(プロビーチバレー選手)の爽やかな応対に、「スポーツをやっている人、しかも世界を究めるレベルの人は、人間が出来ているなぁ」としみじみ実感しました。

 

Imgp0495  「選手の力を借りて市民参加のスポーツイベントを開き、市民の力を借りてチームの希望に応じた熱海合宿やリハビリのメニューを充実させる。そういう活動を通し、熱海がスポーツトレーニングの好適地であると認識され、多くのアスリートがトレーニングと仕事を両立できるまちにしていけたら…」と語る杉山さん。

 

 

 

 まだ自治体の補助や民間企業の強力なスポンサードがない中でも、持ち前の企画力や持てる人脈を活かして、多くの市民を動かし、熱海をスポーツで元気にするという新しい概念をカタチにして見せた杉山さんのパワー。年齢をうかがったら私と同い年。いやぁ~、久しぶりにカッコいい同世代の同性に出会えて、大いに刺激を受けました!

 


風邪を引いたら…

2009-01-27 10:43:25 | NPO

 先週末から風邪を引いてしまいました。24日土曜日、ちょっと喉が痛いなぁと思いつつ、焼津グランドホテルで開かれた静岡経済同友会の新年会で、『吟醸王国しずおか』のプロモーションと、静岡吟醸のきき酒を行い、大声を張り上げて解説したりしたのがまずかった。しかも会場は、みなさんひと風呂浴びて浴衣姿の宴会モード。私一人、スーツ姿で、汗をかくようImgp0355 な暑さ。…これは確実に風邪を引くなぁと覚悟しました。

 

 翌25日は朝から熱が出て、丸一日起きられず。熱を下げるため、ひたすら水をがぶ飲みし、甘酒とビタミン剤で栄養補給。

 

 

 26日(月)は、鼻づまりのひどい声で、あざれあで開かれた『静岡県における子育て支援ネットワークフォーラム』の司会進行役。熱は37度台に下がったものの、鼻水が止まらず、会議の合間、再三トイレに駆け込む始末。見かねた主催者の杉本彰子さん(NPO法人活き生きネットワーク理事長)が、午後の部の開会後、「あとはこっちでなんとかするから」と帰してくれました。

 

Imgp0357  

 

 このフォーラムは、静岡県で出産・子育ての支援活動を行っているNPO団体や有志の会と、行政担当者が、地域や官民の壁を越えて一同に集い、諸問題を話し合うもので、日頃から子どもに接する人たちが集まっているので、風邪を移したら大変、なわけです。

 

 しかも今回は、ソーシャルアントレプレナー(社会起業家)として今、注目のNPO法人フローレンスの駒崎弘樹さんがトークゲストで来てくれたのですが、せっかくのお話もまったく頭に入らず…。静岡新聞の川村美智さんが取材に来てくれたので、美智さんの記事を待つしかありません(苦笑)。

 

 

 予定よりも早めに帰宅し、そのままバタンキュー。気がついたら23時で、水をがぶ飲みした後、再び眠りについて、今朝は7時に目が覚めました。平熱に下がったかわりに歯肉炎の痛みがぶり返しましたが、なんとかごみ出しや洗濯ができるくらいに体力も回復し、3日ぶりにパソコンの電源を入れ、キーボードに向かううちに、いつものペースが戻ってきました。

 

 今回は水のがぶ飲みと睡眠だけで治りそうですが、油断はできません。インフルエンザのワクチン注射は昨年末、接種したものの、型が違えば効かないんですよね。

 

 自分自身、集団生活をしていないせいか、風邪の予防や感染に対する意識が薄かったようです。そのことを猛省しつつ、今朝も、甘酒としょうが湯で体内保温に努めています。みなさまも油断召されるな。

 


伊東の市民農園

2008-11-30 12:22:35 | NPO

 ゆうべから尾てい骨の痛みと腰全体の鈍痛で、手をどこかに掛けて、「よっこらしょ!」をしないと座ったり立ったりできない状態です。

 

 昨日(29日)、取材先で、転倒したイスに腰かけようとして、そのままドスンと尻もち。その場は平気な顔して帰ってきましたが、家に着いたら階段を上がるのもひと苦労…。お風呂で純米酒を患部にすりこみマッサージしながら、ひと晩様子を見ました。

 

 

 ちなみに、我が家では冬場、日本酒を2合ぐらいお風呂に入れます。酒風呂は保温・保湿効果バツグンで、湯ざめはしにくいし、朝なんか洗顔後にすぐにつっぱる顔も、酒風呂の後はつっぱり感が減って、髪を乾かす間、何もつけなくても平気でいられます。

  毎晩じゃ酒代がたまりませんが、週1~2回ぐらいだったら、飲み残しの酒を風呂に入れて全身で吸収してもいいかなぁと。お得酒なら入浴剤と大して値段は変わらないので、冬場は入浴用に低価格酒を買うこともあります。化学物質の固まりみたいな入浴剤よりも、口に入れることのできる酒のほうがよっぽど肌にイイ感じ。温泉旅行に行くゆとりのない身のささやかなゼイタクです・・・。

 

 

 

 ところで、昨日は静岡県NPO情報誌ぱれっとコミュニケーションの取材で、伊東市のNPO法人郷組(さとぐみ)を訪問しました。

Imgp0033  午後1時のアポイントの前、どこかでお昼を、と思い、ファーマーズマーケットの店頭で干物を売っていたおじさんに、干物も買わずに図々しく「魚がおいしい地元おススメの店を教えて」と聞いて出かけたのが、伊東漁港前の食堂『まつ本』。同行したNPO法人活き生きネットワーク理事長の杉本彰子さん(ぱれっとコミュニケーション制作責任者)はカサゴの煮魚定食、私は刺身定食&アジフライを頼みました。

 

 味もボリュームも申し分なく、実家が魚卸業で魚の味には一家言持つ彰子さんも「ここはアタリ!」と大喜び。私、グルメガイドをさんざん取材してきた身なんですが、旅先・取材先でおいしい店を探すには、地元の人に聞くのがイチバンと改めて実感しました(苦笑)。

 

 

Imgp0036  郷組は、伊豆高原の別荘地に移住したシニアのみなさんが中心になって、地元の休耕田を借りて始めた市民農園の活動推進団体です。

 後継者がいなくなって荒れ地になった農地はあちこちにありますよね。なんとか有効活用しようと、農家以外の人が農地を使おうとしても、実はそうカンタンではありません。

 特定農地利用法という規制緩和の法律が出来て、郷組のメンバーが県に相談に行ったところ、地元の市や農協が仲介すれば利用できるという返事。ところが市は法律そのものを知らず、農協は、農協の上部団体がこの法律に反対の立場を取っているらしく、相手にされなかったそうです。営利業者が参入すると、儲けが出なかったら土地を放ったらかしにして撤退される恐れがあるから…というのが理由だそうです。自治体が“保証人”になるならいい、ということなんでしょう。

 

Imgp0037

 結局、市が仲介者になって郷組の活動も無事スタート。56区画(1区画=1㎡)を確保し、少しずつ農地提供者を増やし、メンバー(16人)では手に負えなくなった農地を希望する市民にも貸出し、地元の専業農家に栽培指導してもらったり、イモ掘り大会や餅つき大会といったイベントを開催して、農業を仲介にした地域交流に努めています。

 昨日、お話を聞かせてくれたメンバーは、地元の水道工事業者さん、青山のアパレル会社の元社長さん、ドクターなど職業はさまざま。「初めて作ったキュウリの実が成ったときは、本当に嬉しかった」「仕事じゃ体験できなかったなぁ、あの感動は」などと口々に語ります。

 

Imgp0042  提供された農地はすぐに使えるものばかりではありません。中には20年間放置され、雑木林状態になっていた畑を、メンバーで整備し、一部を観光農園にしたり、手造りで炭小屋を作ったりした区画も。「里山を整備し、自然環境を守るのは地域に住まわせてもらう者の努め」と熱く語る彼らのパワーは、“シニアの余暇活動”とひと括りに収めるにはモッタイナイと思います。

 耕耘機やユンボがあったら助かると言っていましたので、不要の機材をお持ちの方がいらしたら、ぜひ提供してあげてくださいね!

 

 

 私的には、尻もち痛に効く民間療法をご存じの方がいらしたら、ぜひ教えてくださいまし~!

 


静岡吟醸 in NPO自治体フォーラム

2008-11-19 11:23:10 | NPO

 17日(月)~18日(火)は、静岡市内で『NPO活動推進自治体フォーラム静岡大会』が開かれ、県NPO情報誌ぱれっとコミュニケーションの取材&裏方サポートで、2日間、びっちり会場に詰めていました。

Dsc_0022

 

 

 今年で5回目を数えるこのフォーラムは、10年前にNPO法制定に尽力した堂本暁子千葉県知事(当時は参議院議員)らが呼びかけ、新たな公共の担い手となりつつあるNPOが行政といかにパートナーシップを築いていけるかを考えようとスタートし、千葉、横浜、滋賀、佐賀と巡回して今年は静岡の番。17日にグランシップで開かれた全体会では、基調講演者に堀田力氏(財団法人さわやか福祉財団理事長)、シンポジウムには堀田氏、千葉県の堂本知事、静岡県の石川知事、渡部勝氏(NPO法人たすけあい名古屋)、飯井野雄二氏(NPO法人赤目の里山を育てる会/三重県)、駒崎弘樹氏(NPO法人フローレンス/東京都中央区)が登壇し、意見交換を行いました。

 

 正式な?レポートはぱれっとコミュニケーション誌面に回すとして、以下は、一個人としての感想です。

Dsc_0030_2  まず、堂本知事の来静で、なぜか異様なほどの警備体制だ、上川陽子さんの大臣時代より厳しかったとあちこちで聞き、何か特別な事情でも??と思いつつ、ぱれコミ制作担当者に「舞台に近づいて写真を撮ってもいいよね」と確認をして撮りに行ったら、県側に「前3列より後ろへ下がれ」といきなり肩を掴まれました。スタッフ証を見せ、「県の情報誌取材ですよ」と言ってもダメ。ところがその横を、千葉県と静岡県の腕章をつけた人がスーッと通って最前列でバチバチ撮り始めました。

 

 後で制作担当者に「ごめん、堂本さんのセキュリティで会場スタッフがピリピリしているみたいだ」と言われました。私も、その制作担当者も、情報誌の制作を県から委託されているNPOの一員として末端現場を走り回っているのに、こんな“差別”をされると、壇上で「行政とNPOの協働」を謳っているのが虚しく聞こえます。

Dsc_0007  写真は後で県にもらうからと言われましたが、行政記録用の写真と、雑誌掲載用の写真では当然、撮り方が違います。情報誌の誌面や本文に添えるにはどの角度から、どういう表情を使うべきか、特にライターもエディターも兼ねている私は、それなりに誌面をイメージして写真を撮っているので、“足を引っ張られた”感はぬぐえません。いい情報誌を作ろうという思いは、委託側も受託側も同じなはず…。やっぱり、これだけの規模の大会となると、県民向けの情報誌の存在なんてチリみたいな扱いになっちゃうんですかね。

 

 

 そんな忸怩たる思いでシンポジウムを聞いていたら、若干29歳で病児保育支援活動を都内屈指の福祉NPO事業に育てた駒崎さんが、発足当初「事務所が中央区にあるため、中央区の職員から“うちに問い合わせが来て困る”とクレームをつけられ、行政を頼れないと実感した」と吐露し、名古屋の渡部さんは「NPOは安い下請けではない、“対等な協働相手”だという意識を徹底してもらいたい」、三重の飯井野さんは「行政は、もっとこういう地域にしたい、だからこの協働事業もこうしたい、という主張を示してほしい。でなければ、そのうちにNPOが行政を見放す時代になる」と明言され、溜飲が下がる思いがしました。

 

 

Dsc_0081

  翌18日、あざれあで開かれた分科会では、40~60人ぐらいのグループ5つに分かれて、テーマに応じた活発な意見交換がなされました。そもそも参加者の7割が自治体職員なので、なんとなく行政マンの研修会的な雰囲気で、雑誌の画としては面白みはありませんでしたが、一人ひとりの職員は、少しでも情報や人脈を持ち帰ろうと真剣な表情でした。

 Dsc_0062 私は、パワーポイントで事例発表するのをただ一方的に聞く、といったいかにも研修会的な画ではなく、「この人、何を求めてこの大会に来たんだろう」「何をつかんだんだろう」という視点で写真を撮り、各会場の参加者をウォッチングしました。

 

 

 

  ところで、1Dsc_00387日夜、グランシップ6階の交流ホールで開かれた歓迎交流会は、NPO法人活き生きネットワークが運営を任され、大道芸のパフォーマンスや、一人該当アンケートによる静岡みやげのプレゼント&自己紹介タイムなどを企画し、盛り上がりました。

 

 Dsc_0031 参加者は北海道から鹿児島まで全国から集まっているので、ここは地酒でもてなそうと、活き生きネットワークから頼まれて吟醸酒のブースを設置したところ、おかげさまで2時間、客が途切れることなく、ひっきりなしで、たくさんの方に喜んでいただけました。「ふだん自分じゃ買えないクラスの酒を味見させてあげるから」と急きょ手伝いに呼び寄せた天晴れ門前塾の学生も、味見する間もないほど大忙しでした。

 

 酒通の集まりではないが、日頃、全国各地の地域活動に尽力していて、静岡の特徴は何だ?とある意味、鋭い眼で見る人たちです。ここは、ベストなラインナップを揃えようと、セレクトしたこの5種。

 Dsc_0032 ふだん日本酒は飲まないが、せっかく静岡に来たんだから地酒の一つも覚えて帰ろうという人、地元で地場産品の普及振興にかかわっていて、静岡ではどんなPRをしているんだろうという人、酒どころ(新潟、広島、山形)からの参加者として日本酒はチェックしておかねばという人、この手の宴会で酒がすべて純米大吟醸だったことに驚く人、サミット晩さん会の銘柄(磯自慢)を目ざとく見つけた人など、目的は実にさまざま。

 それでもほとんどの人が、「どれもおいしい!」「ついお代わりしたくなる」と笑顔笑顔。「どこで買えるの?」とさんざん聞かれ、市内の酒屋さんや居酒屋さんの紹介までするはめに。大会時の緊張した表情はどこへやらです。

 

 

 人だかりに目をつけた地元の銀行マンが、ブースに割り込んでお客さんに勝手に酒を注ぎ、ついでにちゃっかり自分の名刺を撒いています。ストップをかけようにも、本人もさんざん飲んで真っ赤な顔で「静岡の酒、美味しいでしょう?」と幸せそうな笑顔を振りまくので、とめようがありません。自分が酒ブースの主みたいな顔で名刺交換してました(苦笑)。

 

 

 18日の分科会でも、さかんに言われていたのが、「行政も、NPOも、とにかくお互いの考えをよく理解し合う努力が必要。まずノミュニケーションで腹を割って話し合おう」ということ。「飲み会のために予算を使ったっていいじゃないか」という意見もありました。もちろん、飲み会は、協働事業を円滑に進めるための手段であって、目的になってはいけませんが、行政マンも、こうして一人ひとり、酒を仲介に話をすると、ホントに地元への愛着が深くて一生懸命で真面目な人たちなんだということがわかります。

 

 

 しずおか地酒研究会でも、いろんな肩書きを持つ人が集まり、肩書きだけでは分かり合えないものがたくさんある、ということをつねづね感じています。酒は、そんなときにやわらかな接着剤になってくれます。いい酒であればあるほど、多くの人をつなげてくれます。

 初めて飲んだ静岡吟醸をいたく気に入って、初対面の人にも「これ、うまいから呑んでみなよ」と薦め、そのうちに名刺交換して、その場で地域談義に花が咲く・・・そんな光景がたくさん見られたこの夜は、静岡吟醸の存在に、改めて、感謝感謝の思いでいっぱいになりました。

 

 

 最後に、私もめったに一度に飲めないラインアップのひと言感想を、ライター的表現で。

①磯自慢 純米大吟醸ブルーボトル ~錦織のマントを羽織った貴婦人の風格

②國香 純米大吟醸斗ビン囲い生 ~黒髪のクールビューティー

③喜久醉 純米大吟醸松下米40 ~貝の中でふっくら丸く輝きを帯びた真珠

④正雪 純米大吟醸 ~キャリアウーマン、休日のハジけたお洒落

⑤開運 純米大吟醸 ~セレブ女性誌のグラビアマダム

*丸数字は、空瓶になった順番です。


災害救助犬静岡を訪問

2008-11-16 10:31:01 | NPO

 昨日(15日)は静岡県NPOネットワーク情報誌『ぱれっとコミュニケーション』の取材で、菊川市のNPO法人災害救助犬静岡を訪問しました。

 

 

Dsc_0015

 今夏、富士山麓のオートキャンプ場で行方不明になった幼児の発見・救出に貢献した救助犬ピピのことは、ニュース報道等でも耳にされたと思いますが、ピピが所属しているのがここ。発足は、阪神淡路大震災の年なので、かれこれ12年余、活動している団体ですが、私自身、ピピのニュースを聞くまで、静岡県で救助犬を養成している団体があることを知りませんでした。

 

 

Dsc_0001

 地震や洪水といった大災害はもちろん、地域で起きるさまざまな行方不明事故に出動しながらも、ニュースになることがほとんどないそうで、応対してくれた専務理事の清水隆さんは「今回、ピピの活躍によって注目していただけたことは、長年活動に携わってきた者として本当に嬉しい」と実感を込めて語ります。清水さんの表情は、この手の活動が生半可な気持ちでは続けられないということを如実に語っていました。

 

 

 救助犬が警察犬と基本的に違うのは、一般の家で飼われているペットであるということ。災害救助犬静岡は現在、会員が60名ほどで、うち、犬を飼ってここで救助犬訓練を受けている人が20名ほど。毎週土曜日、菊川町にある訓練施設に集まって、飼い主が愛犬を訓練させるのです。一般的な躾ではなく、ガレキや倒壊家屋に見立てた場所に、サポート役の人が隠れて、それをひたすら探し出すという、あくまでも救助能力を鍛える訓練です。

 

 

Dsc_0004

 警察犬の場合は、ある特定の臭いをひたすらかぎ分け、その痕跡を追うという訓練をしますが、救助犬の訓練は、生命反応があって、なおかつ身動きできない人の気配を探すというもの。動き回る人には反応しません。ピピに発見された坊やも、あちこち動かず、一ヶ所でじっとしていたことが発見につながったそうです。

 そして、うまく見つけたときには、これでもか!というぐらい褒めてやって、犬が喜ぶボールや餌を与えます。

 

 

 

 当たり前のことですが、ワンちゃんたちは人間を救出するぞ!なんて高尚な精神で危険な現場に足を踏み入れるわけではなく、見つけたらご主人さまに褒められる、ご褒美がもらえる!という目的のため、ひたすら探し続けるわけですね。他の犬より要領が悪かったり、時間がかかると、「お前はホントにバカ犬だなぁ」とこづいたりする人も、無事、発見できたときは、顔をくしゃくしゃにして「よーしよしよし」と全身で抱きとめる…。

 

 昨日は、静岡朝日テレビの取材クルーとバッティングしてしまったので、訓練の様子を遠巻きで眺めていただけですが、犬というのは、人からこんなにも愛情を注がれる対象なんだ…と改めて思い知らされました。「がんばればご褒美がもらえる」という人への信頼と服従が、犬は他の動物よりもケタはずれに強いからなんですね。

 

 

 

Dsc_0031

 そんな、人と犬との絆の深さがしみじみ伝わる救助犬訓練。菊川の訓練施設には、西は三重県や愛知県、東は裾野や御殿場あたりからも会員が通ってきます。

 そして捜索要請があれば、会員は一般の災害ボランティアと同様に、現場まで自費でかけつけ、すべて自前で活動します。

 報酬といえば、生存救出に成功した際にいただく感謝状ぐらい。といっても、生き埋めになった人の救出は時間との勝負なので、現場で犬が捜索活動を始めるまでタイムラグがあると、当然、救出率は低くなります。救助犬の活動があまりニュースにならない、スポンサードしてくれる人も少なく、活動運営も楽ではないというのは、そういう事情もあるようです。

 

Dsc_0008  ちなみに、警察犬や救助犬と聞くと、シェパードやゴールデンレトリバーといった大型犬を想像しますが、コーギーや柴犬みたいな小型犬でも大丈夫。大型犬は広くて高い場所、小型犬は狭くて低い場所を捜索するというように、災害現場で想定されるあらゆる捜索個所に応じられるよう、どんなサイズの犬でも受け入れています。

 

 いろんな犬と一緒に訓練するので、ちゃんと躾ができていないと、訓練どころじゃなくなりますが、ひととおりの躾はちゃんと付けてある!と自信のある愛犬家は、一度、見学に行かれてはいかがでしょうか? もちろん、躾からお願いしたいという場合は、会に所属している訓練士さんに個別依頼することもできるそうです。

 

 

 私はペットを飼った経験はありませんが、愛犬の秘められた能力を引き出し、それが社会貢献につながるなんて、想像するだけでも素敵なこと!

 何より、茶畑に囲まれた広々とした訓練所で、ワンちゃんが得意そうな障害物をかいくぐって思う存分走り回っている姿だけでも、見る価値ある!と思います。