杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

「杯が満ちるまで~しずおか地酒手習帳」出版報告会

2015-11-07 20:31:00 | しずおか地酒研究会

 11月1日、JR静岡駅前の葵タワー24階・グランディエールプケトーカイにて、【杯が満ちるまで】出版報告会を酒友のみなさんが開いてくれました。

 私にとってはまったくの分不相応の会場でしたが、発起人であるフリーアナウンサー&静岡地酒チアニスタの神田えり子さんが、地酒イベントで実績のある同会場を手配し、当日の運営までパーフェクトに準備してくださいました。集客ノルマは50人と聞いた私は、えり子さんにとりあえず本でご紹介させていただいたすべての飲食店・酒販店・酒造会社へのご案内をお願いし、この本の取材や撮影でお世話になった一般の方々、これまでしずおか地酒研究会の活動に多大なご支援をいただいた方々に自分のほうからお声かけしました。

 10月半ばのご案内だったため、11月1日日曜日に都合の付く方は、お声かけした方の半分もいかないだろうと内心ヒヤヒヤ・・・ところが、いざ蓋を開けてみたら会場MAXの80人もお集まりいただき、びっくり大感激!。着席でやるということで、うぁー配席が大変だぁ~!と頭を抱えたのですが、えり子さんから「真弓さんをお祝いしたくて来てくださる方々ばかりですから、席次がどうこう言う方はいらっしゃらないと思いますよ」とオトナの回答。腹を決めて、業界の枠を取っ払い、お住まいや趣味や共通知人など何らかのつながりがある方々を同テーブルに坐っていただくことにしました。

 

 

 

 会では世話人の佐藤隆司さん(静岡地酒応援団)、静岡新聞社出版部の庄田達哉部長、静岡県酒造組合の望月正隆会長、東京からお越しいただいた松崎晴雄さん、県杜氏研究会の土田一仁会長、酒販店代表の片山克哉さん、飲食店代表の湧登・山口登志郎さん、乾杯の音頭をとってくださった國本良博さんはじめ、各テーブルのお歴々から温かいお言葉をいただきました。えり子さんはわざわざ、今回の本の取材写真をつないだ映像を作ってくださり、上映中は画面に登場したご当人や周囲の方々から拍手喝采。えり子さんがその様子に感涙で言葉が詰まるというハプニングも(こういうとき泣けない自分はいかに可愛げのない女かもバレてしまいました・笑)。

 会の写真は参加費をちゃんと払ってお越しいただいたにもかかわらず、いつのまにか写真記録係になっておられた共同通信の二宮盛さんと丸味屋酒店梅林和行さんが、素晴らしい写真をたくさん送ってくださいました。私自身は、松崎さんと國本さんに挨拶をお願いしただけで、あとはみなさんが自ら進んでやってくださったのです。感謝してもし尽くせません。本当にありがとうございました!!

 

 最後に述べさせていただいた謝辞、自分で何をしゃべったのかよく覚えていないのですが(苦笑)、かろうじて覚えている一部分だけでも、いつまでも忘れないように書き留めておきたいと思います。

 

 今日は本当にありがとうございました。蔵元さんは毎年変わらず100年200年も酒造りを続けておられ、小売店さんや飲食店さんは地域小売業が厳しいといわれる中でも堅実な商いをされ、ほかお集まりの皆様もそれぞれの道のプロとして立派なお仕事をされています。私も職業ライターとして当たり前の仕事をしたまでのことですが、こんなに立派な会を開いていただいて、本当に申し訳ない気持ちです。

 今日11月1日は焼酎の日、だそうですが、実は今からちょうど20年前の1995年11月1日、静岡市立南部図書館で「食文化講座~静岡の酒を語る」を開催しました。河村傳兵衛先生に静岡酵母のお話をしていただき、静岡県酒造組合専務理事だった栗田覚一郎さんにもご登壇いただきました。一般の市民が河村先生から酵母の話を聞くのは、たぶん初めてだったんじゃないかと思います。ご存知の方も多いと思いますが、コワモテで気難しい長老お2人の専門的なお話を、いかに一般の飲み手に伝えるか、当時30そこそこの小娘だった私(写真左端オレンジ服=当時はロン毛でした)が、今の朝ドラの「あさちゃん」みたいに、お2人に「なんで」「なんでそうなるんですか?」と食らい付いてご指導をうけ、やっとこさっとこ講座のプログラムを作りました。

 1995年11月1日 静岡市立南部図書館「静岡の地酒を語る」

 20年経って作ったこの本、最初、「先生方に教わったことを伝えていく使命があるんだ」と力をこめて、ものすごく専門的なところまで突っ込んで書いたんです。でも編集の石垣さんから「一般の読者に伝わるように書いてください」と指摘されて、20年前の講座のことをハタと思い出し、反省しました。

 幸い、多くの方から「読みやすい」と言っていただけているようです。読みやすくするには、労力をかけて削って練り上げる時間が必要でした。お酒もそうですね、静岡の、呑みやすいお酒、というのは、それだけ時間をかけて、ていねいに仕込んであるのです。呑みあきしない、おかわりしたくなる、というのが河村先生や栗田さんが理想とした静岡の地酒でした。この本も、何度も読み返していただけるような本に育っていければな、と願っております。これからも微力ながら静岡の酒の振興のために取材を続け、続編が発行できるよう努力してまいりたいと思います。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

 

 

 

 なお【杯が満ちるまで】は主要書店の新刊郷土本のコーナーにてお取り扱いいただいています。静岡新聞社出版部の営業スタッフさんたちが熱心に書店営業してくださり、また掲載された飲食店や酒販店さんが書店でまとめ買いしていただいているおかげで、今のところ店頭の比較的目に付きやすい場所に置いていただいているようです。先週、店の入口そばに置いていただいている某書店をのぞいて、長い時間、この本を立ち読みしている男性客を見つけ、その横で他の本をパラパラめくりながら異様にドキドキしちゃいました(笑)。その男性客は残念ながらお買い上げいただけなかったのですが、店のどこに陳列してもらえるかって、売上にものすごい影響があるんだな~ってホント、実感しました。

 

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