年明けから休みなく仕事してますが、デスクワークと会議ばかりで息が詰まりそうでした。今日やっと一日、外の取材! まさに窓全開! 県広報誌MYしずおかの取材で、5時30分に家を出て国道1号線バイパスをひたすら西へ走り、すぐ隣りが愛知県という湖西市新所原のセルリー農家を訪問しました(セロリと呼ぶほうが馴染むかもしれませんが、セルリー(celery)が正しいようです)。冬~春に出回るセルリーは静岡-とくに県西部産が全国シェアの7割強。夏~秋は長野産が主流で、静岡と長野が日本の2大産地なのです。
見てください、この大きさ! 株がパンパンに張って茎がミシミシ硬く、太くてつややか。春野菜のイメージが強いようですが、生産者の杉浦智景さんは「今が一番美味しいんだ」と太鼓判。ご承知のとおり、セルリーはビタミンA・B群、カロテン、カルシウム、食物繊維の宝庫で、茎よりも葉っぱのほうが栄養豊富です。
杉浦さんは「今の時期なら生で美味しいから、我が家では塩昆布漬け(セルリー2本を斜め薄切りにし、塩昆布20gを混ぜ合わせる)、インスタント浅漬け(筋を取って千切りにしたセルリーを浅漬けやキムチ漬けの素に漬ける)で食べるよ」とのこと。葉っぱは味噌汁、スープ、炒め物、てんぷらなど何にでも使えます。どんな野菜も<旬>は味も栄養価も高いと言います。この時期のセルリー、見逃す手はないですね!
湖西市から一路、はままつフラワーパークへ。テクニカルアドバイザーを務める樹木医の塚本こなみさんに新年のご挨拶。
1年半前、私はこなみさんの紹介で、フラワーパークのカフェレストラン運営業者の企画コンペの審査に参加しました。審査される経験はあっても審査する側になる経験は初めてだったので、大いに勉強になりました。
新たな業者が決まって以降、どうなったのか現場を見ていなかったので、楽しみにうかがいましたが、緊縮予算の中、大胆なモデルチェンジはなかなか難しいよう…。それでも、オリジナルのケーキセット580円(写真)はお得でフラワーパークらしい華やかさもあって人気上々でした。
14時にフラワーパークを出て、次に向かったのは菊川駅前にある『小夜衣』の蔵元・森本酒造。個性的な自醸蔵(蔵元が杜氏を兼任する蔵)としてマニアックなファンの多く、その個性的な風貌を茶化したイラストを10年前、連載していた毎日新聞『しずおか酒と人』に描いたところ、静岡の酒販店が無断でホームページに載せ、それを見た酒卸店が勝手にラベルにしてしまったという事件がありました。当時は、彼らの知的所有権意識の無さにあきれてしまいましたが、「おまえさんだって、俺の顔を勝手に描いただろうが~」と森本さんにたしなめられ(苦笑)、ラベル用に改めて描き下ろすことで収拾しました。
10年近く経ち、その酒がどうなったのか気になって聞いたところ、細々ながら注文があって出荷しているとのこと。近所で買える店を森本さんに聞き、その足で金谷の中屋酒店を訪ねてみたら、コップ酒場併設の、なんともレトロで雰囲気のある素敵な酒屋さん! 若主人は偶然、私が酒の記事を連載中の雑誌sizo;kaの愛読者で、「真弓さんですか」と気さくに声をかけてくれました。この店はいずれ、何かの媒体で取材・紹介させていただきます!
19時すぎに帰宅したら、映像作品『朝鮮通信使』の監督・山本起也さんから“06年公開作品『ツヒノスミカ』がスペインの映画祭に正式出品が決まった”という年賀状が、また『朝鮮通信使』の監修を務めた北村欽哉先生から、私が研究してみたいと相談していた朝鮮通信使と酒蔵の関係資料が届いていました(ご当人たちにお祝いやお礼の返事を出す前ですが、うれしくなって、つい先に書いてしまいました)。
年明け以来、ずっと閉め切った窓を久しぶりに開けたら、いっきに春の風が吹き込んできて、思いっきり目が醒めた!という心境です。自分が動けば、周りが動き、自分をさらに動かしてくれるものですね。ライターはやっぱり現場を走り、偶然なのか必然なのか判りませんが、さまざまな出会いや発見をしてナンボのもんだ、と再認識した一日でした。