17日(月)~18日(火)は、静岡市内で『NPO活動推進自治体フォーラム静岡大会』が開かれ、県NPO情報誌ぱれっとコミュニケーションの取材&裏方サポートで、2日間、びっちり会場に詰めていました。
今年で5回目を数えるこのフォーラムは、10年前にNPO法制定に尽力した堂本暁子千葉県知事(当時は参議院議員)らが呼びかけ、新たな公共の担い手となりつつあるNPOが行政といかにパートナーシップを築いていけるかを考えようとスタートし、千葉、横浜、滋賀、佐賀と巡回して今年は静岡の番。17日にグランシップで開かれた全体会では、基調講演者に堀田力氏(財団法人さわやか福祉財団理事長)、シンポジウムには堀田氏、千葉県の堂本知事、静岡県の石川知事、渡部勝氏(NPO法人たすけあい名古屋)、飯井野雄二氏(NPO法人赤目の里山を育てる会/三重県)、駒崎弘樹氏(NPO法人フローレンス/東京都中央区)が登壇し、意見交換を行いました。
正式な?レポートはぱれっとコミュニケーション誌面に回すとして、以下は、一個人としての感想です。
まず、堂本知事の来静で、なぜか異様なほどの警備体制だ、上川陽子さんの大臣時代より厳しかったとあちこちで聞き、何か特別な事情でも??と思いつつ、ぱれコミ制作担当者に「舞台に近づいて写真を撮ってもいいよね」と確認をして撮りに行ったら、県側に「前3列より後ろへ下がれ」といきなり肩を掴まれました。スタッフ証を見せ、「県の情報誌取材ですよ」と言ってもダメ。ところがその横を、千葉県と静岡県の腕章をつけた人がスーッと通って最前列でバチバチ撮り始めました。
後で制作担当者に「ごめん、堂本さんのセキュリティで会場スタッフがピリピリしているみたいだ」と言われました。私も、その制作担当者も、情報誌の制作を県から委託されているNPOの一員として末端現場を走り回っているのに、こんな“差別”をされると、壇上で「行政とNPOの協働」を謳っているのが虚しく聞こえます。
写真は後で県にもらうからと言われましたが、行政記録用の写真と、雑誌掲載用の写真では当然、撮り方が違います。情報誌の誌面や本文に添えるにはどの角度から、どういう表情を使うべきか、特にライターもエディターも兼ねている私は、それなりに誌面をイメージして写真を撮っているので、“足を引っ張られた”感はぬぐえません。いい情報誌を作ろうという思いは、委託側も受託側も同じなはず…。やっぱり、これだけの規模の大会となると、県民向けの情報誌の存在なんてチリみたいな扱いになっちゃうんですかね。
そんな忸怩たる思いでシンポジウムを聞いていたら、若干29歳で病児保育支援活動を都内屈指の福祉NPO事業に育てた駒崎さんが、発足当初「事務所が中央区にあるため、中央区の職員から“うちに問い合わせが来て困る”とクレームをつけられ、行政を頼れないと実感した」と吐露し、名古屋の渡部さんは「NPOは安い下請けではない、“対等な協働相手”だという意識を徹底してもらいたい」、三重の飯井野さんは「行政は、もっとこういう地域にしたい、だからこの協働事業もこうしたい、という主張を示してほしい。でなければ、そのうちにNPOが行政を見放す時代になる」と明言され、溜飲が下がる思いがしました。
翌18日、あざれあで開かれた分科会では、40~60人ぐらいのグループ5つに分かれて、テーマに応じた活発な意見交換がなされました。そもそも参加者の7割が自治体職員なので、なんとなく行政マンの研修会的な雰囲気で、雑誌の画としては面白みはありませんでしたが、一人ひとりの職員は、少しでも情報や人脈を持ち帰ろうと真剣な表情でした。
私は、パワーポイントで事例発表するのをただ一方的に聞く、といったいかにも研修会的な画ではなく、「この人、何を求めてこの大会に来たんだろう」「何をつかんだんだろう」という視点で写真を撮り、各会場の参加者をウォッチングしました。
ところで、17日夜、グランシップ6階の交流ホールで開かれた歓迎交流会は、NPO法人活き生きネットワークが運営を任され、大道芸のパフォーマンスや、一人該当アンケートによる静岡みやげのプレゼント&自己紹介タイムなどを企画し、盛り上がりました。
参加者は北海道から鹿児島まで全国から集まっているので、ここは地酒でもてなそうと、活き生きネットワークから頼まれて吟醸酒のブースを設置したところ、おかげさまで2時間、客が途切れることなく、ひっきりなしで、たくさんの方に喜んでいただけました。「ふだん自分じゃ買えないクラスの酒を味見させてあげるから」と急きょ手伝いに呼び寄せた天晴れ門前塾の学生も、味見する間もないほど大忙しでした。
酒通の集まりではないが、日頃、全国各地の地域活動に尽力していて、静岡の特徴は何だ?とある意味、鋭い眼で見る人たちです。ここは、ベストなラインナップを揃えようと、セレクトしたこの5種。
ふだん日本酒は飲まないが、せっかく静岡に来たんだから地酒の一つも覚えて帰ろうという人、地元で地場産品の普及振興にかかわっていて、静岡ではどんなPRをしているんだろうという人、酒どころ(新潟、広島、山形)からの参加者として日本酒はチェックしておかねばという人、この手の宴会で酒がすべて純米大吟醸だったことに驚く人、サミット晩さん会の銘柄(磯自慢)を目ざとく見つけた人など、目的は実にさまざま。
それでもほとんどの人が、「どれもおいしい!」「ついお代わりしたくなる」と笑顔笑顔。「どこで買えるの?」とさんざん聞かれ、市内の酒屋さんや居酒屋さんの紹介までするはめに。大会時の緊張した表情はどこへやらです。
人だかりに目をつけた地元の銀行マンが、ブースに割り込んでお客さんに勝手に酒を注ぎ、ついでにちゃっかり自分の名刺を撒いています。ストップをかけようにも、本人もさんざん飲んで真っ赤な顔で「静岡の酒、美味しいでしょう?」と幸せそうな笑顔を振りまくので、とめようがありません。自分が酒ブースの主みたいな顔で名刺交換してました(苦笑)。
18日の分科会でも、さかんに言われていたのが、「行政も、NPOも、とにかくお互いの考えをよく理解し合う努力が必要。まずノミュニケーションで腹を割って話し合おう」ということ。「飲み会のために予算を使ったっていいじゃないか」という意見もありました。もちろん、飲み会は、協働事業を円滑に進めるための手段であって、目的になってはいけませんが、行政マンも、こうして一人ひとり、酒を仲介に話をすると、ホントに地元への愛着が深くて一生懸命で真面目な人たちなんだということがわかります。
しずおか地酒研究会でも、いろんな肩書きを持つ人が集まり、肩書きだけでは分かり合えないものがたくさんある、ということをつねづね感じています。酒は、そんなときにやわらかな接着剤になってくれます。いい酒であればあるほど、多くの人をつなげてくれます。
初めて飲んだ静岡吟醸をいたく気に入って、初対面の人にも「これ、うまいから呑んでみなよ」と薦め、そのうちに名刺交換して、その場で地域談義に花が咲く・・・そんな光景がたくさん見られたこの夜は、静岡吟醸の存在に、改めて、感謝感謝の思いでいっぱいになりました。
最後に、私もめったに一度に飲めないラインアップのひと言感想を、ライター的表現で。
①磯自慢 純米大吟醸ブルーボトル ~錦織のマントを羽織った貴婦人の風格
②國香 純米大吟醸斗ビン囲い生 ~黒髪のクールビューティー
③喜久醉 純米大吟醸松下米40 ~貝の中でふっくら丸く輝きを帯びた真珠
④正雪 純米大吟醸 ~キャリアウーマン、休日のハジけたお洒落
⑤開運 純米大吟醸 ~セレブ女性誌のグラビアマダム
*丸数字は、空瓶になった順番です。