杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

篠田酒店ドリプラ店リニューアル&しのだ日本酒の会お知らせ

2012-07-09 14:02:48 | 地酒

 吟醸王国しずおか映像製作委員会会員で、私が地酒取材を始めた頃からの長~い“同志”、清水の酒販店・篠田酒店さん。エスパルスドリームプラザ店の改装がようやく終了し、7月12日(木)プレオープン、18日(水)本格オープンします(ドリプラのHPを参照)。

 新しい店は有料テイスティングバーを設け、ナットクしてお酒が買えるスタイルになったそうです。営業時間も夜21時まで延長になるとのこと。12日(木)は正雪、18日(水)には志太泉の蔵元社長がバーのホストを務めるそうです。

 

 篠田さんは地酒研や吟醸王国しずおか関連事業でいつもボランティアで助っ人をしてくださっているので、ささやかな恩返しのつもりで、私も、14日(土)・15日(日)にボランティアホステスをさせてもらう予定です。時間が決まったらお知らせしますので、エスパルスドリームプラザ1階ショッピングモール「清水いりふね通り」内の篠田酒店ドリプラ店にぜひいらしてくださいね!。

 

 その篠田酒店が毎年9月に開催する『蔵元を囲むしのだ日本酒の会』。今年は9月16日(日)16時から、清水マリンビル(清水港湾会館日の出センター)7階で開かれます。静岡県内の主要蔵元さん&篠田さんお取引の県外の実力蔵元さんが数多く集結する一大イベントで、今回で38回目。酒販店が単独主催の酒の会としては、県内屈指の存在です(前回の様子はこちらを)。

 

 

第38回蔵元を囲むしのだ日本酒の会

 

■日時 2012年9月16日(日) 15時30分開場・16時~18時10分

 

■会場 清水マリンビル(港湾会館清水日の出センター)7階 場所はこちらを参照。*清水駅または新清水駅よりドリプラバス(無料シャトルバス)が便利です。

 

内容 篠田酒店取引先の銘酒100余点の試飲、日本料理「新」の酒肴料理&割烹「河良」の桜えびおにぎり。今回はセミ立食形式です。

 

■チケット 8000円

 

■定員 120名

 

■申込 7月11日(水)より篠田酒店本店およびドリプラ店、ほか協力店にて販売。売り切れ次第終了。

 

■問合 篠田酒店本店 TEL 054-352-5047


7月のおすすめアート&講座

2012-07-06 09:04:14 | アート・文化

 梅雨どきの、どんよりとした蒸し暑い日が続きますね。毎朝毎朝、不格好な天然パーマの髪が処理し切れず、本当にヤッキリしてしまいます

 

 今日はこれから開かれる催事のご案内を。うっとおしい季節、気分だけでもスッキリ癒されたいですね!

 

 

 

大沼信之色鉛筆画展

 

■日時 7月10日(火)まで開催中。12時~19時

■会場 ギャラリー濱村(静岡市葵区両替町2‐3‐1)*両替町通り青葉ストリート角

 

 大沼さんは静岡市出身で、静高→東大→松竹入社→現在、東京歌舞伎座の支配人という方。東大時代に中村勘三郎(当時は勘九郎)さんの家庭教師を務めたご縁で歌舞伎の世界に。趣味で始めた鉛筆画は玄人はだしで、東京銀座の画廊でもたびたび個展を開かれているそうです。私も鉛筆画を描くので大変参考になりました。

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「静岡のいいもの発見展」 “トコトン”

 

■日時 7月11日(水)~17日(火) 10時~19時30分(最終日は16時まで)

■会場 松坂屋静岡店北館5階カトレアサロン www.matsuzakaya.co.jp/shizuoka/

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 吟醸王国しずおか映像製作委員会でもお世話になっている工芸作家や家具職人さんたちの、静岡の“トコトン”なモノ作り展示即売会。静岡のトコトンとは、

・トコトン静岡産

・トコトン静岡の技

・トコトン軽く

・トコトン薄く繊細

・トコトンシンプル

・トコトン柔らかく

・トコトン優しく

・トコトン安心安全

 

出展者/遠藤恵子(家具・木工)・遠藤能範(家具・木工)、遠藤博子(テキスタイル)、大橋愛美(フラワーライフクリエイター)、清水邦生(陶芸)、久留則子(木工)、野木村敦史(プロダクトデザイン・家具・木工)、やなぎもとなお(銅板画)、山内靖浩(家具・木工)

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*ワークショップ開催!(要予約 054-374-5072 すまうと内 遠藤まで)<o:p></o:p>

 ・7/14(土)「本物のプレス機でクレヨン版画にチャレンジ」 講師:やなぎもとなお 1050<o:p></o:p>

 ・7/15(日)「大人も子供も本格小椅子作り」        講師:すまうと     2100<o:p></o:p>

 ・7/16(月)「モスでつくるアートオブジェ」           講師:大橋愛美   1575<o:p></o:p>

   各日ともam11001200  10<o:p></o:p>

        pm13301430  10<o:p></o:p>

        pm15301630  10<o:p></o:p>

 

 

 

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静岡県日韓親善協会講演会

「家康が発進した平和外交と善隣友好の功績」~駿府と朝鮮通信使の歴史発見

 

■日時 7月13日(金) 17時~18時

■会場 クーポール会館(静岡市葵区紺屋町)Scvf

■講師 金両基氏(比較文化学者・哲学博士)

■費用 無料

■申込 静岡県日韓親善協会(静岡商工会議所産業振興課内) TEL 054-353-3401  FAX 054-352-0405

 

 

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 平成27年には徳川家康公顕彰400年(没後400年記念)を迎えます。現在記念行事の準備が進んでいますが、この講演会では、家康の大御所時代の平和外交について、当ブログでもお馴染み・金両基先生に解説していただきます。駿府大御所時代の歴史をおさらいしたい人から、韓流歴史ドラマにハマっている人まで、この機を活かし、リアル日韓歴史ドラマの象徴でもある朝鮮通信使と家康の関係をぜひ知っていただきたいと思います!

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京都の19時間(その3)~老舗発掘

2012-07-03 11:01:48 | 仏教

 日吉茶園を後にして、京阪坂本駅から浜大津を経由して京阪三条へ。雨が降りそうだったので、河原町三条から三条通り→寺町とアーケード通りをブラブラし、久しぶりに老舗喫茶店スマートへ。土日や観光シーズンは行列待ちの人気喫茶店ですが、この日は運よく待たずに入れて、定番人気のホットケーキ&コーヒーで軽めのお昼を済ませました。

 

 

 

 

 

 

 

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 三条界隈のウィンドウショッピングを楽しんだ後、前日からの着た切りスズメをなんとかしたいとネットで銭湯を調べ、御池通りからバスを乗り継いで船岡山鞍馬口にある老舗銭湯『船岡温泉』へ。

 元は老舗旅館だったレトロな建物だそうで、国有形文化財の看板が・・・。何でも銭湯ファンの間では“日本最強”といわれているとか。浴室はタイル張りでフツーの入浴場でしたが、脱衣場の雰囲気は絵に描いたようなレトロ銭湯。欄間のすかし彫りなんか、伝統旅館の風情そのものでした。

 

 

 

 

 15時の開場直後に入ったのですが、ご近所さんたちですぐに一杯になり、私を一見観光客と見て「ねえちゃん、ここ、ええやろう?」「こっちの洗面器のほうが使いやすいよ」と気安く声をかけてくれました。テレビでもさかんに紹介される有名銭湯のようですが、ご近所さんにしっかり愛され、誇りに思われているって好ましいですね。

 

 

 

 

 船岡温泉のある鞍馬口通りは昔ながらの地域の商店街。自販機で麦茶を買って飲みながら適当にブラブラ歩いたら、なんと、夜に坐禅にお邪魔する堀川通り沿いの興聖寺さんのすぐ近くへ出てきました。堀川通りは何度も来ているのに、通り1本入るとまったく知らない町。・・・なんだかとっても新鮮な発見でした。

 

 

 

 

 坐禅の時間まで少し間があるので、堀川通りを走る京都駅行きのバスに乗って、駅で少し買い物をしてコインロッカーに預け、ふたたび堀川通り沿いの興聖寺へ。

 

 

 ご住職が「3・11震災以降、坐禅に来る人が増えたんや」とおっしゃっていたとおり、この日も20代から40代ぐらいの男女5人が参禅していました。私は前回この寺にご案内した高麗美術館の片山真理子さんと待ち合わせ。久しぶりだったので裏覚えだった手順も、坐禅慣れしている片山さんのおかげで無事にクリアできました。

 

 

 前夜の夜行バス移動や比叡山の山歩きで足腰がひどく疲れていたのですが、読経し、坐禅を約30分×2回、経行(きんひん=御堂の周囲を歩く)を挟んでもう30分、計2時間のお勤めが終わったら、なんだか全身が軽くなり、下半身の痛みがウソのようになくなりました。坐禅の効能は、おもに精神面にあると思っていましたが、今回は、身体のバランス調整にも効き目があるとまざまざ実感できました。

 

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 ちなみにフェイスブックに参禅の報告と、4年前に集中坐禅したときのこの写真を紹介したら、思いがけなくいろいろな人から反響がありました。変わり者だと思われるかなあと思ったけど、好意的に見てくれる人が多くてなんだかホッとしました(苦笑)。

 

 

 

 

 

 帰りの夜行バスまで時間があったので、片山さんに、上賀茂橋近くのきらきらひかる』というお店へ誘っていただき、ギリギリまでおつきあいいただきました。アート関係者や音楽家が集うような素敵なお店。お昼は定食、夜は和風の酒肴中心で、日本酒メニューに富士宮の『高砂』を見つけ、つい頼んでしまいました。京都の、しかも地酒を看板にしていない隠れ家的な店で、故郷の酒に出会うって理屈なしに嬉しいものですね。

 

 

 

 19時間の滞在でしたが、今回も素敵な発見の連続でした。京都の魅力は、自分の目線の方向や置き方によって、いかようにも発掘できるんですね。故郷静岡もそんな町になってほしいと思うし、それなりの素材はあるはずなんだけど、何かが大きく足りないんですよねえ・・・。


京都の19時間(その2)~日吉茶園と団茶の時代

2012-07-02 08:17:09 | 駿河茶禅の会

 歴史の教科書では、お茶は栄西が宋から伝え、“喫茶養生記”というバイブルにまとめたと教わりました。彼は1187年に入宋し、1191年7月に帰国したときに持ち帰った茶種を肥前(長崎)平戸島の葦浦に植えたとされます。ちょうど源平合戦の頃ですね・・・。同じ茶種を山城(京都)栂尾高山寺の明恵上人に贈り、明恵上人と親しい近衛家の宇治の所領にも植えられ、「修行中に眠気覚ましの薬用ドリンク」というフレコミで、各地の禅宗寺院に広まった・・・というのが定説です。

 

 実は、栄西が持ち帰ったのは、茶の種子ではなく、茶の若木で、このとき広まったのは、抹茶にして飲むという、当時としては新しい茶法だったのではないかと『茶の文化史』では述べています。植物学的に見ると、“種子”を、7月(太陽暦では8~9月)に中国から船で持ち帰ったのであれば、発芽力が落ちて育たないはず。根に土をつけて包んでおけば数カ月は保つため、栄西は根っこごと枝を持ち帰ったに違いないというわけです。

 

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 我々はごく当たり前に、お茶は昔は抹茶で飲んでいたと思っていますが、平安初期に遣唐使船で渡った最澄や空海が、現地で遭遇したお茶とは、陸羽が『茶経』を記したときとほぼ同じスタイルの、“団茶”だったんですね。団茶ってその名の通り、お茶を団子状にして保存する伝統製法です。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 以前、その“団茶”というのを、お茶の取材で偶然飲む機会がありました(こちらを)。団茶は形状によって“餅茶(=煎餅状)”“磚茶(=レンガ状)”“銭茶(=真ん中に穴が開いてヒモで束ねられる)”等と呼ばれ、私が取材したのは餅茶でした。

 

 

 作り方は、摘んだ茶葉を甑で蒸して、杵と臼で細かくし、鉄製の輪の型に入れて乾燥させます。煎餅orおやきのような形で保存するんですね。

 

 

 で、飲む時は、火で炙ってふくらませていったん冷まし、Imgp4157碾で粉末にしてふるいにかけ、風炉にかけた釜(取材時はホーロー鍋でしたが)の湯に少量の塩と一緒に入れます。そうして、華(湯の表面に浮きあがった茶)と抹(その少し大きなもの)をすくって湯と一緒に茶碗に注いで飲むというものです。

 結果的には粉末にして飲むので、抹茶と混同しちゃいそうですが、団茶は茶葉を固形にして保存するのが大きな特徴。そして塩を加えるなど、“味付け”をするという点。遊牧民族のお茶はバターやチーズなんかで味付けしますよね。塩を加えるのは唐風のようです。

 

 

 栄西が鎌倉初期に伝え広めたお茶は、喫茶養生記にも描かれている通り、現代に近い抹茶法。団茶よりも“進化”した作り方&飲み方のようです。それよりもはるか前の、最澄はじめ平安初期の入唐帰朝僧が持ち帰って飲んでいたのは、保存も携帯もしやすい団茶であることは確かなようです。

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 そして最澄が持ち帰った茶の木を植えた、日本最古の茶園といわれるのが、比叡山のふもと・坂本にある『日吉茶園』です。私、茶道研究会で望月先生に教えてもらい、『茶の文化史』で読むまで知りませんでした。茶産地静岡県民として恥ずかしい限りです・・・

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 どんな由緒ある茶園かと思ったら、京阪坂本駅のすぐ横の小さなスペースに、茶の木が20本ほど無造作に植えられ、看板が1枚立っているだけ。・・・どおりで行きに気づかず素通りしてしまったわけです。

 

 日本最古といわれる茶園が、こんなふうにひっそりたたずんでいることに、少なからず違和感を覚えました。お茶は静岡人にとって、いや日本人にとって国民的飲料のはずなのに、ルーツや歴史についてちゃんと教育されていないという違和感です。

…私が知っている限りでは、お茶の販売者も日本茶インストラクターも、急須で淹れる煎茶がベストだと思っているだろうし、お茶の生産者はやっぱり「やぶきた」が一番の品種だと思っているだろうし、茶道家はお茶の製法や産地には関心なし。私自身も「そんなものだ」と思いこんでいました。

 

 

 でもこれだけ長い間、廃れることなく、日本人の暮らしにしっかり存在し続ける飲み物です。団茶のような作り方や飲み方を復活させても面白いだろうし、抹茶はカフェラテやスイーツとコラボして若者文化に溶け込みつつあります。煎茶はいわば茶葉のだし汁みたいなものだけど、茶葉をそのまま摂取できる団茶や抹茶のほうが健康飲料としてパワーを発揮できるし、そもそも修行の薬効だったというルーツや歴史をていねいに紐解き、今の茶法を絶対視せず、お茶の持ついろいろな可能性を追求してみたらどうだろう・・・。

 

 日吉茶園の前に立ってみて、そんな今の茶業の“ツッコミどころ”が見えてきた・・・そんな気がしました。


京都の19時間(その1)~比叡山延暦寺と日吉神社

2012-07-01 08:35:04 | 駿河茶禅の会

 6月28日(木)、早朝5時から深夜24時まで19時間、京都をぶら歩きしました。自分の備忘録がわりに時間を追って書きます。いつもながらの独りよがりのダラダラ日記で退屈させると思いますが、お許しください。

 

 

 

 前日27日(水)は午後からJR静岡駅前グランディエールブケトーカイで開催された(社)静岡県ニュービジネス協議会通常総会に出席し、19時前にお開き。協議会前専務理事で県庁女性幹部職の草分け的存在だった末永和代さん、協議会発足時からのベテラン会員でファイナンシャルプランナーの鈴木ふささん、パワーストーンやオーラ診断のショップを経営する女性起業家木村朝子さんという元気な先輩女性会員さんとMANDOで二次会。S経営研究所のOさんとカウンターでばったり会って、しばし酒談議。『小夜衣』2002年古酒浪漫とブルーチーズ&オリーブがなかなかの相性。私が22時の京都行き夜行バスに乗るのに少し時間があったので、三次会としてカラオケJOYランドへ。先輩女性群は今どきのカラオケシステムに「社会勉強になるわぁ」と感嘆しきりでした(笑)。

 

 

 

 

 

 22時静岡駅発の夜行バスで一路京都へ。朝5時きっかりにJR京都駅に着きました。この時間に着いて困るのはどこも開いていないということ。いつぞやは朝ご飯を食べに、テキトーに乗った北陸本線で敦賀まで行ったこともありましたっけ(こちらを)・・・

 今回は駅のトイレで30分くらいかけてゆっくり洗顔&歯磨きをし、駅の周辺を早朝散歩し、6時にオープンする八条口の喫茶店でモーニングを食べました。隣のビールバーでUEFAスペイン×ポルトガル戦の中継をやっていて、ついつい足が向きそうになったけど、店内は外人さんばっかりだし、朝6時からビールってのも・・・と、ちょっと躊躇しちゃった

 

 

 

 

 

 

 

 今回の旅は、久しぶりに興聖寺の坐禅に参加するのが目的でしたが、坐禅が始まる19時までたっぷり時間があるので、とりあえず、今、読んでいる『茶の文化史』(村井康彦著・岩波新書)にちなみ、比叡山延暦寺と坂本の日吉神社に行ってみようと思いました。

 

 お茶が日本に伝わったのは平家が滅亡して鎌倉幕府が出来た頃で、栄西禅師が宋から茶の実を持ち帰って長崎の平戸の富春園という小茶園に植えたのが最初、と言われていますが、実は9世紀初めに最澄が遣唐使船で持ち帰り、比叡山坂本の日吉茶園に植えたのが最初かもしれないと茶道研究会で教わって、『茶の文化史』でもその説が紹介されていて、茶産地静岡県民のハシクレとして、これは行かねば!と思ったのです。

 

 

 

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 7時前のJR湖西線に乗って比叡山坂本で下車。20分ぐらいかけてのんびりブラ歩きして、まず日吉神社へ到着しました。

 

 この神社は全国に3800ぐらいある日枝神社・山王神社の総本宮で比叡山の山の神でもあります。創建はおよそ2100年前。平安京遷都のとき、都の表鬼門(北東)にあたるため魔よけや厄払いの神として、また最澄伝教大師が開いた延暦寺の護り神として信仰されています。ただし織田信長の比叡山焼き討ちのときに社殿はすべて燃やされてしまいました。・・・さすがの守護神も信長には通じなかったのか、さすが信長、神をも恐れぬ革命家と言うべきか・・・現在の建造物はその後再建されたものだそうです。

 

 

 

 

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 ちなみに境内の中を流れる大宮川にかかる日吉三橋は、日本最古の石橋だとか。朝8時前の、人ッ気のない境内で、川面を覆う木立と水流の響きがなんとも清々しく、思いっきり深呼吸したらスッキリしました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 境内に着くと、神猿(まさる=魔が去る・何よりも勝るの意)と呼ばれるお猿さんが迎えてくれました。西本宮と東本宮の2つの大きな社殿があって、西本宮は奈良の大神神社からお迎えした大己貴神の御神霊、東本宮は比叡山の山の神・大山咋神を祀っています。

 

 

 西本宮には包丁塚があって食や調理にかかわる人々がお参りに来るようです。

 5月には日本包Imgp0020丁道・清和四條流の方々が「包丁祭り」というのを執り行われたようです。・・・日本酒もそうだけど、日本の食って信仰に裏打ちされた大切な民族文化だってつくづく感じますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、お目当ての日吉茶園が見当たらず、社務所で訊ねたら、京阪坂本駅に隣接しているとのこと。行きに通ってきたのにまったく気が付きませんでした・・・ 

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 とりあえず先に比叡山延暦寺へ行ってこようと、日吉神社を後にして、歩いてすぐの比叡山ケーブル坂本駅からImgp0033
ケーブルカーで一路延暦寺へ。日本一長い約2キロのケーブルカーで11分、山上の比叡山駅は1927年開業のイエロートーンの大正モダンな建物で、国の登録有形文化財になっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 比叡山延暦寺は、小さい頃、家族旅行で来て以来です。根本中堂しか記憶がなかったのですが、今回は東塔エリアの大講堂、戒壇院、阿弥陀堂をじっくり廻りました。朝イチのこの時間、参拝者はまばらで、朝霧が一帯を覆って肌寒いくらい。

 

 

 

 比叡山では法然、親鸞、栄西、道元、日蓮といった一宗の開祖となった高僧が、こぞって修行していて、大講堂にはそれら高僧の等身大の尊像が安置されていました。聖徳太子像までありましたね。日本が誇る偉大な宗教家&哲学者オールスターって感じで、お参りした後はちょびっと賢くなった気がしました・・・。

 

 

 

 

 

 

 

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 戒壇院は僧侶になるために授戒する最も重要な院。「僧の資格を与える」という場所ですから、むやみやたらに作れません。授戒制度は鑑真が唐から伝えたもので、天平時代は全国で東大寺、大宰府観世音寺、下野国薬師寺の3カ所にしか設置されず、最澄自身は東大寺戒壇院で授戒しています。

 

 自分が心血注いで建立した延暦寺にも戒壇院を設けたいと熱望していた最澄ですが、保守勢力の抵抗に合い(・・・いつの時代も同じなんですね)、存命中には建立が叶わず、亡くなって7日後に、ときの嵯峨天皇からお許しが出たそうです。

 

 

 

 東大寺戒壇院は四天王像が好きでよく行くんですが、この戒壇院も(外観しか観られませんが)心惹かれる風情です。戒壇院という聖なる御堂だけが醸し出す空気感のせいでしょうか・・・。

 

 

 

 

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 阿弥陀堂は1937年に開創1150年大法要を記念して建立された先祖供養のための道場で、毎日念仏回向が行われています。法要中も見学自由とあったので、中に入って阿弥陀如来に手を合わせ、しばし読経に聴き入りました。観光寺院だとフラッと来てお勤めの場に参加するってあまり機会がないんですね。・・・でもお寺って本来こういうところだよなって改めて思いました。

 

 

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 もらったMAPに、延暦寺バスセンターの近くに「栄西禅師修行の地」があると知り、受付で訊いてみたら、「碑が立っているだけ。けもの道でおススメしない」と云われ、そう云われると逆に闘志?が湧いてきて、それらしいけもの道を分け入って、木立の中で見つけました。

 今はすぐ近くにバスセンターや国宝殿があるけど、栄西が入山したころは、本当に険しいけもの道だったんだろうと想像すると、受戒し、僧侶となる覚悟がいかに厳しく尊いものだったか、じんわり伝わってきました。(つづく)