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急増する日本への中国人観光客

2014-08-28 07:15:00 | 報道/ニュース

8月20日 キャッチ!


日本を訪れた中国人旅行者の数は
東日本大震災が起きた2011年と一昨年9月に高まった半日ムードの影響を受けた去年は減少した。
しかし今年は6月までの半年間ですでに100万人
去年の同じ時期より88%増えて過去最高を更新する勢いである。

上海の空港に集まる大勢の観光客は日本行きの団体旅行の参加者たちである。
一昨年9月 日中関係が悪化した時には日本への旅行を控える旅行会社が見られた。
今は積極的に旅行商品を売りだし多くの観光客を集めている。
政治においては日中の冷え込みは続くものの日本を訪れる中国人は急増している。
(観光客)
「東京 大阪 神戸に行きます。
 政治の問題は関係ありません。
 楽しんでおいしいものを食べて安全に帰ることが旅行の目的です。」
「愛国心はありますが旅行は旅行です。
 文化を通じて交流したいです。」
上海の日本総領事館でビザを申請する窓口に連日行列を作る旅行会社の担当者たち。
書類袋の中はすべて日本を目指す観光客のパスポートである。
所得が比較的高い層が住む中国沿岸部などを管轄する上海の総領事館ではビザの申請が去年の3倍近くにまで増えている。
その数1日5000件を超える日もある。
(旅行会社 担当者)
「今日受け取るビザは約100人分です。
 申請も約100人分あります。
 去年に比べて相当増えました。」
「今日は300人分のビザを受け取ります。
 今年は2人体制で申請に来ています。」
ビザを発給する部署では他の国の日本大使館などからも応援を呼ぶ異例の対応で急ピッチで作業を進めている。
今年のビザの発給数は7月までですでに去年1年分を上回っている。
総領事館では8月5日 日本行きの観光客の増加に貢献した旅行会社を初めて表彰。
(在上海 日本総領事館 小原雅博総領事)
「より多くの中国の方が日本を訪れ理解を深めてくれることは日中関係の発展にとってプラスです。」
総領事館では日本を訪れ日本を理解してくれる人が増えれば外交上の効果も見込めるとして後押ししているのである。
(表彰を受けた旅行会社 担当者)
「多くの旅行者は一度日本に行くとまた行きたくなります。
 家族や同僚もつれていくのです。
 政治問題の影響は大きくありません。」
中国人観光客の中でもこのところ目立っているのは団体旅行で日本を訪れた後
リピーターとして個人旅行で再び日本を訪れるケースである。
上海に住む髢さん(25)は日本語は話せないが個人旅行でたびたび日本を訪れている。
初めて日本を訪れたのは両親と団体旅行に参加した3年前。
清潔な街並みや人の優しさに日本をよく知らなかった両親も含めて家族全員が日本を好きになったと言う。
その後は3回の個人旅行で九州や四国 滋賀県など日本の地方を訪れ地元の人との交流を楽しんでいる。
(鄭さん)
「日本旅行で出会った人たちはとても親切で感動しました。
 日本の地方には人々とふれあい共感できることがたくさんあります。」
日本の魅力を中国に広く伝えたいと
鄭さんは日本旅行専門の雑誌で記事を書き始めた。
初めて記事にしたのは去年九州を訪れた際 大分県別府市で地元のお年寄りに助けられた体験談である。
お年寄りの女性がくれたというポーチは
夜遅く化粧落としを買おうとコンビニへの道をを訪ねたところ自宅まで招いてくれプレゼントしてくれたと言う。
漢字での筆談を通じて感じた地元の人のあたたかさが忘れられないと言う。
(鄭さん)
「中国に戻って多くの人にこの話をしました。
 個人旅行の中でも忘れ難い経験でまわりの友達も共感してくれました。
 本当に貴重な経験でした。」
旅行を通じてこれまで知らなかった日本の魅力を見出し始めている中国人の観光客。
日中の政治の関係が改善されない中でも市民の間では日本への関心が高まっているようである。

所得の向上が続く中国ではこのところ海外旅行全体の需要が急増している。
中国の統計では香港 マカオ 台湾などを旅行する人は年々増加していて 
前の年より18%増えて延べ9800万人にものぼっている。
日本は一昨年の尖閣諸島国有化以降冷え込んだ日中関係の影響で十分に取り込めていなかったが
ここにきてその伸びを取り込み始めていると言える。
また今年になって日本と中国をつなぐ便が増えていることもある。
上海では今年3月には格安航空会社が大阪便を新たに就航させるなどしたうえ
去年の今頃はほとんど運行されていなかったクルーズ船も今年は月10本を超えているという。
円安によって日本旅行に割安感を感じられるという追い風に加え
訪日観光客の増加を目指す政府や自治体などのPR活動も一定の効果をあげているとみられる。
そこには中国政府の意向も関係しているとみられる。
一昨年日中関係が急激に悪化した直後は団体旅行のキャンセルやクルーズ船の運航中止など日本との往来を取りやめる動きが相次いだ。
政府から具体的な指示があったと確認することはできないが
指導者たちは日本批判を繰り返す中でそれに呼応する形で旅行業界の中に自粛の動きが広がったことは事実である。
こうした状況には去年後半以降目に見える変化があった。
上海では去年11月以降これまで難しかった日本旅行に特化した新聞広告が出せるようになって日本行きのクルーズ船の運航が再開された。
自粛の動きを解消するこうした動きに政府の意向が影響した可能性は高くある。
中国政府も観光分野の交流については今年6月に太田国土交通大臣が訪中した際
双方向の交流を促進していくことを確認するなど否定的な立場は取っていない。
一昨年の反日デモのような急激な関係悪化がなければ中国人観光客の増加の傾向は続いていく可能性は高い。
まず中国の海外旅行市場にはまだまだ伸びしろがある。
東日本大震災などの影響で観光客が大きく落ち込んだ3年前までは
中国人の海外旅行の行先では日本がトップの地位を占めることが多くあった。
しかしこの数年はその座を韓国やタイなどに譲っている。
去年は韓国 タイ アメリカに次ぐ4番目で数を見てもトップの韓国と比べると日本は半分以下だった。
こうした現状を見ればまだ伸びる余地多く残されていると言える。
こうしたのびしろをとりこむ際に利点となるのが日本にいた中国人観光客の満足度の高さである。
初めて日本に行くと言う人にその理由を尋ねると
「日本旅行にとても満足した友人の話を聞いたから」という答えが多く聞かれた。
(観光客)
「日本は清潔で人も礼儀正しいと聞いたので行ってみたくなりました。」
「多くの人が日本は良いところで人も食べ物も素晴らしいと言っているので
 実際に行ってみて体験してみようと思ったのです。」
一方で中国を訪れる日本人観光客は反日デモや大気汚染をきっかけに減少に歯止めがかかっていない。
中国を訪れる日本人観光客は去年は前の年より2割近くと大幅に減ったうえ
今年はその去年をさらに下回るペースで推移している。
両国の市民の往来は市民が相互理解を進めていくうえで重要分野のひとつである。
中国に行く日本人旅行者が一方的に減り続けている現状は理想的とは言えない。
こうした状況が変わっていくためには11月に北京で開催されるAPECで首脳会談が行われるかどうかを含めて
今後の政治の改善がカギになってくる。

 


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