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美食の国フランスで加熱する“自家製料理論争

2014-08-27 07:15:00 | 報道/ニュース

8月19日 キャッチ! 


パリの中心部に2年前にオープンしたレストラン。
伝統のフランス料理を洗練された盛り付けで提供し人気を集めている。
「“子羊の肩肉 キノコとあんず添え”です。
 どうぞ自家製ですよ。」
“自家製マーク”の導入についてオーナーのトマ・シャピュさんはこだわりの料理を客にアピールできるいいアイデアだと考えている。
(レストランオーナー トマ・シャピュさん)
「マークがあれば手作りの料理だとお客さんにアピールできます。
 お客さんのレストラン選びにも役立つと思います。」
マークはレストランの客からも好評である。
(客)
「マークがあると新鮮な材料で手作りであることがわかります。」
「これからはこのマークをチェックします。」
フランスでは7月に公布された政令でレストランの自家製料理にはマークを表示することが定められた。
7月~来年1月までは任意で
来年1月以降はすべてのレストランを対象に“自家製”料理のマーク表示が義務付けられる。
このマークはそれぞれの店が自らの判断で表示するが
当局が検査を行った際に違反があれば罰金や禁固刑などが科せられることになっている。
マーク導入の背景にはレストランの中に冷凍食品や出来合いの料理を温めて出すだけというところが増えてきたという現実がある。
業界団体が去年 レストランを対象に行ったアンケートでは回答した店の80%が
“料理の一部に出来合いの料理を使っている”と答えている。
外食産業に詳しい専門家はフランス経済が厳しい状況が続いていることが大きな要因だと言う。
(外食産業 コンサルタント)
「フランスの消費者は外食に予算をかけなくなってきた。
 自家製の料理だからといって高いお金は払えません。」
こうした状況に多くの業界関係者は懸念を抱いている。
そこで消費者が自家製料理を見分けられるよう考案されたのが“自家製マーク”。
政令では“自家製料理”とは
①生の詩材料を使用
②レストランで調理
と定義づけられている。
しかしその“生の材料”の定義は「すでにカットされたもの」「冷凍されたもの」「真空保存されたもの」
なども含まれるゆるかなものになっている。
このことに対し多くのレストランから異論が集中している。
パリの中心部 シャンゼリゼ通りにもほど近い食材にこだわるレストラン。
市場や知り合いの農家から毎日新鮮な材料を仕入れて料理をしている。
オーナーシェフのダビド・バロシュさんは冷凍野菜を自家製だと認めるこのマークに憤りを感じている。
(レストラン オーナーシェフ ダビド・バロシュさん)
「このマークは冷凍やカット済みの材料を使うファストフード店でも付けられる。
 うちの店にはそんなマークはいらない。」
こうした声を受けレストランの業界団体の代表が担当大臣を訪れて制度の見直しを要求した。
(レストラン業界団体代表)
「本格的な料理人の店だけがこのマークをつけられるよう提案しました。
 そのほうがこの制度はちゃんと機能すると思います。」
しかし担当の省庁は制度の対象をすそ野の広いものにしたい考えである。
(フランス デルガ担当相)
「どんな店でも手が届くものにするには制度が厳しすぎてはいけません。
 来年春には制度の再検討も予定しています。」

フランス料理も和食と同様ユネスコの無形文化遺産に登録されていて
フランスの食文化に誇りを感じているフランス人は多い。
しかし食文化は変化してきている。
2012年 ファストフード店の総売り上げが伝統的な外食店を初めて上回った。
景気が上向かず個人消費が伸び悩む中で
たまにいいレストランでゆっくり食事
それ以外の食事は安く手軽に済ませたいという人が増えてきた。
外食産業のコンサルタントによると
フランス人が1回の外食にかけるお金は平均8,7ユーロ(約1200円)。
レストランとしてはこの予算の範囲内ですべてを1から作るのはかなり難しい。
(フランス デルガ担当相)
「グリンピースやソラマメなどは旬の季節が限られますし
 内陸のレストランは冷凍した魚を使うしかないという問題があります。」
担当相としては制度の対象を広くしたいという考えなので
一般的なレストランやファストフードの店も対象にするためにハードルを下げて
自前で調理をすれば冷凍された食材を使っても良いとする判断に至ったとしている。
このマークに対するレストラン業界からの激しい反発の背景にはファストフード店との競争がある。
正統派のレストラン側はこの制度によってファストフード店との差別化を期待していたが
ファストフード店もこのマークを付けるようになれば瀬別化が出来ず
今の苦しい状況が改善されない。
レストラン側の危機感がこのマークに対する批判となって表れている。
フランス政府は来年の導入以降は抜き打ちでレストランを検査して
違反には罰則を設けるなどマークの信頼性を確保しようとしている。
しかし一方でマークのハードルの低さに異議をとなえているシェフなどは
本物のフランス料理だということを示す新しいマークの導入を考えているが
いろいろなマークの混在で消費者が混乱するのではないかという心配する声もある。
このマークによりフランス人がレストランを選ぶ目が一層厳しくなったのは間違いなさそうである。

 

 


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