4月3日 おはよう日本
雇われない働き方をする「フリーランス」の数は推計1,122万人。
「フリーランス」というとカメラマンやプログラマーなど一部の専門性の高い仕事が思い浮かぶが
最近は営業や企画さらには家事代行まで
その仕事のすそ野が広がっている。
アルバイトと違うのは
フリーランスは企業との雇用契約は無い。
勤務時間や場所は多くの場合指定が無い。
報酬は日給や時給は無く
請け負った仕事ごとに成果に対して支払われるのが基本で
高収入を上げる人もいる。
3月31日
人材の仲介サイトを運営する企業が開いた授賞式。
表彰されたのはこの1年フリーランスとして活躍した人たちである。
その1人 札幌市のウェブデザイナーの日景ひとみさん。
日景さんの仕事は企業のホームページやロゴをデザインすること。
東京のデザイン会社に10年勤めたあとフリーランスとなり
3年前に札幌に移住した。
高いスキルと丁寧な仕事ぶりが評価され
月に40件を超える仕事が舞い込む。
会社時代と比べ仕事の時間は大幅に減ったが
収入は1,5倍に増えた。
自分の腕ひとつで稼げる今の暮らしに満足している。
(フリーランスとして働く日景ひとみさん)
「プライベートと仕事の時間の裁量権が自分にある。
自分で選んで納得して行動できるとフリーランスになって強く実感した。」
フリーランスとして働く人たちのすそ野は広がり始めている。
愛知県に住む29歳の女性。
メーカーの営業の仕事をしていたが結婚を機に退職。
いまは子どもの世話をしながら空き時間を使って在宅で働いている。
仕事探しに使うのはフリーランス向けの仲介サイトである。
社内のWEBシステムの改修は最大100,000円。
学校や寮の献立作りは最大200,000円。
花見の場所取りは最大で10,000円。
140の分野で数万件の仕事が掲載されている。
「価格や時間 納期が条件に合いそうなら応募する。」
この日請け負ったのはある企業の営業用の資料作り。
特別な知識や技能が無くてもできる仕事である。
疑問点は電話で確認しながら進める。
ある1週間のスケジュールをみると
育児や家事のすき間の時間を使って20件ほどの仕事を請け負い
月に10万円以上の収入を得ている。
「育児と両立できる働き方がないかずっと探していた。
子どもの顔見ながら仕事もできてっていうのは安心。」
フリーランスの存在は企業にもメリットをもたらしている。
170人が働くITベンチャー企業。
サイトの運営などを手掛ける部署では長時間労働が日常化して高い離職率に悩んできた。
そこで2年前に業務を全面的に見直した。
顧客訪問や新規事業の開発など顧客と直接かかわる専門性の高い業務を残し
それ以外の資料作りやリサーチなど
補助的な業務は全てフリーランスへ委託することにしたのである。
たとえばこれまで社員が残業して作成していた営業用の資料。
今では社員は資料に載せたい内容をメモにまとめるだけである。
フリーランスの人がこのメモをもとにレイアウトを整え
内容が一目でわかる資料を完成させる。
フリーランスの活用から2年。
この部署の社員の残業はほぼなくなった。
一方で売り上げは5微近くも伸びた。
(ガイアックス 管大輔事業部長)
「社員にコアの業務を集中させてそれ以外をプロに依頼する形の方が
結果的に事業も伸びたり
社員の満足度も上がる事例がもっと出てくる。」
社会に急速に普及するフリーランス。
しかし落とし穴もある。
フリーランスの実態を把握しようと国が開いた有識者会議。
副業としてフリーランスの仕事を始めた女性がかつての苦い経験を話した。
「月8日の休みをほとんど当てて仕事したが
月の収入は3,000円程度。
これでは生活の糧にはならない。」
女性が担当したのはカード会社のデータ入力。
雇用契約がないフリーランスには最低賃金が適用されず
作業が長引くと時間あたりの報酬が低くなってしまうのである。
今年フリーランスの人たちが設立した協会には
全国から様々な不安の声が相次いで寄せられている。
発注先から報酬が支払われない。
社会的信用が低いためローンが組みにくい。
フリーランスのすそ野が広がるなか
協会では国に労働環境の整備を働きかけることにしている。
(フリーランス協会 代表理事 平田麻莉さん)
「フリーになりたい方は確実に増えているし
可能な社会になっているので
実態に合わせて不必要な不利益や不公平が無いようにしたい。」