11月29日 おはよう日本
東北を代表する大学 東北大学で
貧しい学生たちから親しみを込めて“貧食カレー”と呼ばれた人気カレーがあった。
そのカレーがこの秋
かたちを変えて10年ぶりによみがえった。
レトルトで復刻した“貧食カレー”。
東北大学の食堂で10年前まで40年にわたって提供されていた
学生たちのソウルフードである。
復刻にあたって開かれた試食会。
(東北大OB)
「懐かしいです。
4年間お世話になった味だなと思って
とても懐かしく思います。」
カレーが提供されていたのは東北大学川内キャンパスの第2食堂。
粗末なつくりから貧民食堂
“貧食”と呼ばれていた。
その貧食で1番人気だったのが190円だった普通カレー
通称“貧食カレー”である。
大学院で金属材料の研究をしている吉見享佑 教授は
学生のころ週4日は貧食カレーを食べていた。
使えるお金が少なかった当時
貧食カレーはありがたい存在だった。
(吉見享佑教授)
「圧倒的に安かったと思う。
ブルジョアの皆様が行かれるようなところにはなかなか入り込めなくて。」
各地から親元を離れて学生が集まる東北大学。
食堂には多くの学生が列を作った。
しかし平成20年
学生たちの強い味方だった貧食カレーは
地下鉄の工事に伴う食堂の閉店とともに姿を消した。
懐かしのカレーをもう一度味わえないか。
吉見教授たちは大学生協とともに復活に乗り出した。
当時の店長が残した秘密のレシピに従って調理した。
具材はタマネギと豚バラ肉。
ところが試食にあたった教授陣からクレームがつけられる。
(教授陣)
「ほとんど肉は入っていなかった。
入ってたのはタマネギだけだった。」
次に作られたのはタマネギがたくさん入ったカレー。
しかしまたもや厳しい指摘が。
(教授陣)
「こんな上品な切り方ではなかった。」
そこで思い切ってざく切りの玉ねぎを入れた。
少しのルーでごはんがたくさん食べられるよう
味は濃いめに。
“貧食カレー”の復活である。
(東北大学大学院 吉見享佑教授)
「食器がいいのを持ってきてますね。
久しぶりなんだよな。
口に入れる直前にフッと香る。
もうすでにそれが貧食カレーですね。
おいしい。
どこかで聞いたことがあるんですけど
人間の“おいしい”“おいしくない”のは懐かしいとかぶっているので
何度も小さいころに食べたものは
いま食べると“おいしい”と思う。
おいしいです。」
復活したカレーは2か月で5,000食以上販売。
一時は入荷待ちの状態となり
売り上げの一部は大学の基金に入った。
予想を超える売れ行きに大学は
貧食カレーの販売を通して
卒業生に基金への協力を呼びかけたいと意気込んでいる。
(東北大学 原信義 副学長)
「カレーを買っていただければ
東北大基金に一部入るんだなあということで
後輩たちに使われているんだと
後輩の活動支援にもなっていると分かってくると
将来 寄付金の増額につながる流れになっていくのかなと思う。
かつては貧しかった学生のふところを温めたた貧食カレー。
今度は大学のふところを温める存在となるのか
期待されている。
貧食カレーは378円で
東北大学にある大学生協とインターネットで販売されている。