11月25日 おはよう日本
リオデジャネイロオリンピックで大きく躍進した卓球日本代表。
男女合わせて3つのメダルを獲得し
東京大会に向けて大きな期待が持たれている。
欠かせないのがラケット。
そこに張られている「ラバー」に
世界中のスポーツ用品メーカーが注目している。
日本を代表するスポーツ用品メーカー ミズノ。
ラバーの開発に初めて乗り出した。
(ミズノ 高山幸洋さん)
「トップ選手をはじめ皆が
“こういうふうになる”“こういうラバーにした方がいい”と
卓球界全体がそういう流れになった。」
背景にあるのが3年前のルール改正である。
ボールの材質が変更され
飛びにくいうえ回転がかけにくくなった。
ボールを受け止めてはね返すラバー。
日本で販売されている約8割は海外製である。
新しいボールに適したものを開発できれば
made in Japanの道具で東京オリンピックを戦えると考えたのである。
そこで頼りにしたのが愛知県の自動車部品メーカーである。
主力製品は自動車用では世界のトップシェアを誇る「防振ゴム」。
路面やエンジンからの振動を抑える機能があり
新幹線にも採用されている。
(住友理工 研究開発本部 間瀬昭雄さん)
「振動・衝撃を吸収する特性を持ったゴムを開発してきている。
非常にチャレンジングな開発テーマだと認識した。」
防振ゴムはボールが当たった際の衝撃を吸収する。
しかし求められたのは正反対の機能。
ボールのエネルギーを失わせず跳ね返すゴムである。
(住友理工 研究開発本部 間瀬昭雄さん)
「まったく逆の特性を求められている。」
スポーツ用品メーカーと自動車部品メーカー。
異業種での共同開発が始まった。
ゴムの反発力はベースとなる原料に混ぜる薬品の種類や量で変わる。
(住友理工 研究開発本部 間瀬昭雄さん)
「最適なレシピを求めているところ。
毎日のように配合して練って評価して。」
こうして作り出した試作品は1,000以上にのぼる。
今度はミズノが
この1枚1枚にボールを当て跳ね返り方を確かめる。
ハイスピードカメラも使いわずかな違いを確認。
ラバーにぶつかった瞬間の跳ね返りの角度や回転のかかり具合を詳しくチェックする。
また裏にあるミリ単位の無数の凸凹。
押しつぶされ再び戻ろうとする力がボールに回転を加える。
早く伸縮するよう材質や形を工夫した。
開発から2年
試行錯誤の末 日本製のラバーが完成した。
これまで販売していた従来の製品と
同じ距離から同じ力でボールを当て比べると
新たに開発した方が跳ね返りの力・飛距離ともに5%アップした。
選手にとって使い心地はどうなのか。
(シドニー・アテネ大会出場 藤沼亜衣さん)
「すごくボールの食い込みがいい。
相手の回転にうわ増しして回転をかけ返すのがやりやすい。」
あと3年をきった東京オリンピックを
made in Japanの道具で。
愛知のもの作りの力がメダル獲得を支えるかもしれない。
(住友理工研究開発本部 間瀬昭雄さん)
「これなら“理想のボールが打てる”“試合に勝てる”“自分に合う”と思って
“このラバーを使って良かった”と思ってほしい。」