2021年5月20日 NHKBS1「国際報道2021」
ここ数年
ベトナム人の女性が韓国の男性と結婚する国際結婚が増えている。
女性たちはベトナムを離れて韓国に行くが
その数が年間約6,000人。
コロナ禍だった去年も移動制限があったにもかかわらず3,000人を超えた。
ただ夫婦生活は思い描いていたものとは大きく異なり
夫との間でトラブルになるケースも少なくない。
ベトナム北部の村。
多くの女性が韓国に嫁いでいるという。
娘が韓国人男性と結婚したという夫婦。
友人を通じて知り合った男性と結婚した娘は
2人の子どもに恵まれ韓国で平穏に暮らしている。
なぜお相手が韓国人なのか。
夫婦が語った理由は
(娘が韓国人と結婚 ザンさん)
「子どもを思い経済的な理由で行かせますが
その後 送金などの支援を期待します。」
なかには韓国にいる娘の仕送りで家を建てた人も。
(娘が韓国人と結婚 ズンさん)
「3年前に建てました。
韓国からサポートしてくれる娘が誇らしいです。」
娘が韓国でたくさん稼ぎ
大きな家だからって取材が来たよ。
うちがお金持ちねえ。」
去年までの6年間
韓国人男性の国際結婚で最も多かった相手がベトナム人の女性だった。
背景にあるのがベトナムでの韓国ブームである。
ドラマやK-POPを通じて若い人たちの韓国へのあこがれが強くなっている。
一方の韓国では
女性の都会への移住などで
地方に暮らす男性は相手を外国に求めるケースが増えている。
韓国政府のまとめによると
ベトナム人との結婚を希望する男性たちは
平均で約130万円をあっせん業者に支払うということである。
一方ベトナム側ではブローカーが女性たちを探す。
こうした事業はごく一部の業者を除いて違法とされている。
国営メディアのひとつがあるブローカーが開いたあっせんの現場に潜入した。
100人余の女性が外で待っています。
3人の韓国人男性が3つの部屋で女性を面接します。
SNS上では女性を探す動きが活発である。
1994~96年生まれの人で56歳の人と結婚したい人はいますか?
顔はそんなに老けていません。
ブローカーに話を聞くと
“新型コロナで各国との往来制限されているなか今年も多くのカップル誕生した”と話していた。
(ブローカー)
「コロナ禍で仕事がないので
結婚相手に選ばれたいとの気持ちが強くなっています。」
ただブローカー側は競争相手が多いことを理由に女性たちに素早い決断を求めるという。
(ブローカー)
「1日で決断しないと。
遅くても2日以内。」
こうして韓国に渡った女性たち。
夫との間でトラブルにあうケースが相次いでいる。
2年前 両国で波紋を呼んだ動画。
韓国人の夫が子どもの前でベトナム人の妻に暴行を加えている。
中には夫に殺害される事件もあり
両国で社会問題になっている。
ブローカーの仲介で韓国人の男性と結婚したものの離婚した女性。
ブローカーが開いたあっせんの席に参加。
自分を選んだ男性とその翌日に婚約した。
もともと韓国の文化や映画が好きだったというが
当時韓国語はほとんど話せず
夫や家族とはスマートフォンの翻訳機能を使ってやりとり。
家から出ることや隣人との交流も認められなかった。
(韓国人の夫と離婚)
「韓国語も話せないので寂しくて泣き
孤独を感じました。
夫と夫の家族は子どもを産んだら家を離れてもいいと言いました。」
女性は結局半年でベトナムに戻った。
(韓国人の夫と離婚)
「韓国の生活習慣を前もって知り言葉も分かっていれば
私のようにならず生活できていたかもしれません。」
ベトナム政府は違法なブローカーの摘発を進めている。
帰国した女性や子どもたちを支援する事務所も去年以降 各地で立ち上がっている。
ベトナムと韓国が共同で女性などの心のケアや社会復帰をサポートしている。
しかしプロジェクトの担当者は
社会全体向き合わない限り解決には至らないと語る。
(ベトナム女性連盟 フォンさん)
「ブローカーによる犯罪は厳しく取り締まられなければなりません。
そのうえで女性だけでなく
地域の人々も現状を正しく理解する必要があります。」