3月27日 編集手帳
ソメイヨシノが学術的に桜の新種として認められたのは1900年(明治33年)だという。
とすれば、
それまでの花見はどんな桜をめでていたのだろう?
むかしの桜の名所は、
「群桜(むれざくら)」だったと作家の藤井青銅さんが近著で述べている。
オオシマザクラ、
エドヒガン、
ヤマザクラ…といった種が同じ場所に植えられた。
咲く時期や彩りも異なるため、
約1か月間、
のんびりと楽しむのが元来の花見であったという(『「日本の伝統」の正体』柏書房)
ソメイヨシノは見頃が1週間つづくかどうか。
せきたてられる気持ちが、
年に一度の花見を一層盛り上げるのかもしれない。
平日のきのうきょうは多くの地域で職場の花見がピークだろう。
かなりの早咲きとなった関東では慌てた人も多いようだ。
東京・隅田川の屋形船からの桜見物は団体予約の前倒しが相次ぎ、
大わらわだそうである。
<桜咲けばスーパーに買ふこんにやくもさくらまつりの中にはなやぐ>(馬場あき子)。
桜の花が咲くと世の中全体がはなやいで、
買い物かごの無骨なこんにゃくでさえ、
浮き浮きして見えるらしい。
日本にはすごい花がある。