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飲酒運転 南アフリカの実情

2014-08-12 07:15:00 | 海外ネットワーク

8月3日 NHK海外ネットワーク


南アフリカ第2の都市ケープタウンで飲酒運転を取り締まる捜査官たち。
覆面パトカーで出動する特別捜査班が全国に先駆けてもうけられた。
夜の高速道路で不審な動きをする車を見つけ猛スピードで追いかける。
車を止めさせアルコール検知器で検査する。
ドライバーからはアルコールが検出された。
経済成長とともに自動車の利用も増えている南アフリカ。
人口10万人あたりによる交通事故の死者数は世界で6番目に多くなっている。
年間約1万8,000人が死亡。
その半数以上は飲酒が絡んだ事故によるものとみられている。
ケープタウンの高速道路で起きた交通事故のケースは
酒に酔ったドライバーが猛スピードで車を走らせ追突されて車に乗っていた人が亡くなった。
南アフリカは“飲酒に寛容”な社会と言われてきた。
公共交通機関が少ないため人々の移動はもっぱら車だが
これまで飲酒運転は厳しい取り締まりの対象にはならなかったという。
最近でこそ飲酒運転には厳しい目が注がれるようになったが
依然 取締りは不十分だと専門家は指摘する。
(飲酒運転問題に詳しい専門家 元警察官)
「南アフリカの警察官のほとんどが暴行、殺人など多発する重大犯罪の捜査に追われ飲酒運転の摘発に集中できない状況だ。
 それに実際には法律で決められているよりもはるかに軽い刑が言い渡されている。」
飲酒運転を社会からなくしたいと立ち上がった人がいる。
キャロ・スミットさん(62)は9年前 当時23歳だった長男チャスさんを亡くした。
ロックバンドのギタリストとして活躍していたチャスさん。
コンサートの演奏を終えたあと道路を渡ろうとしたところを赤信号を無視して走ってきた飲酒運転の車に引かれた。
運転していた女はパーティーから帰る途中で体内にはウィスキー12杯分のアルコールが残っていたという。
(キャロ・スミットさん)
「南アフリカで飲酒運転は犯罪だと思われていない。
 多くの人がお酒を飲んで運転してもたいしたことではないと思っている。」
息子のために何ができるか。
スミットさんはチャスさんを亡くした直後からNGOを立ち上げ
若者たちに飲酒運転がいかに危険化を呼びかける活動を行っている。
この日訪れたのはかつてチャスさんが通っていた高校。
(キャロ・スミットさん)
「子どもを失うことは本当に悲惨。
 息子には素晴らしい将来があったのに・・・。」
酒によって運転することの怖さを体験してほしいと生徒たちには視野がぼやける特殊なゴーグルをつけてもらった。
スミットさんのNGOの支援によってこの8年間で3,000校以上で特別授業が行われた。
若い世代こそ飲酒運転への社会の意識を変えてくれるのではとスミットさんは期待している。
(キャロ・スミットさん)
「事故のことを話すと記憶がよみがえるからとてもつらいが
 これからも南アフリカの人たちの命を助けていきたい。」

 


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