8月28日 キャッチ!
ポーランドはソビエト連邦崩壊を契機に西側諸国と安全保障や経済分野で安定を強化した。
しかしポーランドは今も天然ガスの多くをロシアから輸入している。
西側とロシアとの対立が深まる中ポーランドはロシア依存からの脱却をめざし新たなエネルギー調達の手段を模索し始めている。
ポーランドの安全保障とエネルギー政策を考える際にロシアとの歴史を振り返る必要がある。
ポーランドは第一次世界大戦後独立を回復したものの
第二次世界大戦でドイツと旧ソビエトに侵略された。
大戦後ポーランドは旧ソビエトを盟主とするコメコン経済協力機構への参加(’49)。
東ヨーロッパの軍事同盟ワルシャワ条約機構に加盟(’55)。
1991年に旧ソビエトが崩壊するまで常に旧ソビエトの強い影響力のもとにあった。
冷戦後は一貫して西側への接近を図り
1999年にはアメリカを中心とした西側の軍事同盟であるNATO北大西洋条約機構に加盟。
現在に至っている。
ウクライナ情勢が緊迫する中ポーランド政府はロシアをけん制するためにNATOとの関係強化に動き出している。
ポーランドの首都ワルシャワ。
中心部でひときわ目を引く建物はポーランドで最も高い文化宮殿。
この建物は旧ソビエトの指導者スターリンからの贈り物として1955年に完成した。
ポーランドが旧ソビエトの強い影響下にあったという歴史を思い起こさせる。
ポーランドの人たちは隣国ウクライナの危機に無関心ではいられない。
(市民)
「幸いウクライナが間にありますしポーランドはEU加盟国なので安全です。
EUが団結すればするほど私たちは安全です。」
「ロシアのせいで被害を受けたウクライナの人たちを助けるべきです。」
国軍記念日の8月15日にワルシャワで軍事パレードが行われた。
国軍記念日は1920年にポーランド軍が旧ソビエト軍に勝利したことを祝う日。
パレードには1200人のポーランド兵士のほか訓練のために駐留しているアメリカ軍やカナダ軍の兵士約100人も参加し
ここ数年で最も大規模なものとなった。
ポーランド軍はウクライナ情勢が緊迫した今年の春以降NATO加盟国のと合同訓練を相次いで実施している。
8月下旬 北西部にあるヨーロッパ最大の軍事演習場で行われた訓練にはアメリカ軍とカナダ軍が参加した。
(アメリカ軍 中佐)
「同盟国との合同訓練は非常に重要でポーランドとは8週間訓練しました。」
実弾を使った射撃訓練やパラシュートの降下訓練などを行い連携を深めた。
イギリス軍も今年10月に予定されている大規模な合同演習への参加を表明している。
(ポーランド シェモニアク国防相)
「米加仏英などの積極的な参加は非常に重要な意思表明です。
今年の春から我が国はNATOと演習を常にしてきました。
ウクライナ危機直後の米国のF16戦闘機派遣は意義深く感謝しています。」
旧東欧諸国や旧ソビエトのバルト3国がロシアへの警戒感を強める中
アメリカのオバマ大統領は6月にポーランドを訪問。
これらの地域の防衛に積極的に役割を果たしていく姿勢を示した。
(アメリカ オバマ大統領)
「ロシアによるクリミア編入とウクライナの主権侵害は絶対に認めない。
ロシアが挑発を続けるならば団結して孤立させ代償を払わせる。」
NATOは9月4日と5日にイギリスで2年に1度の首脳会議を開く。
会議では欧米各国が軍事面でロシアとどう向き合うのか
具体策が最大の焦点である。
ポーランドはNATO軍のポーランド常駐など東ヨーロッパ地域の防衛力の強化を訴える姿勢である。
(ポーランド シェモニアク国防相)
「ウクライナ危機はNATOによる集団的自衛の必要性を認識させました。
今後NATOが東欧の防衛を強化することを期待します。」