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「そだねー」の商標登録?

2018-04-02 07:00:00 | 編集手帳

3月23日 編集手帳

 

 1934年(昭和9年)の出来事という。
内務省が徳田秋声、
島崎藤村、
菊池寛ら名だたる作家を招いて宴席を開いた。

文学を統制する「文芸院」創設のもくろみに、
ただちに異を唱えたのは徳田秋声だった。
「日本の文学は庶民の間で生まれ、
 政府の保護など受けずに育ってきた。
 保護するといわれても信用できません。
 放っておいてもらいたい」。
この発言が官僚をひるませたといわれる。

やや大げさな逸話を引いた。
表現の自由がどうという問題ではないにしても、
北海道に「放っておいて」と思う人は少なくないだろう。
道内の菓子企業が「そだねー」の商標登録を出願したという。

認知度は目下マックスに違いない。
ご存じ平昌五輪で称賛を浴びたカーリング女子、
LS北見の選手らが口にした地元なまりの言葉である。
企業は言う。
「道外業者に商標登録されトラブルになることを防ぐ目的もある。
 弊社に申請すれば自由に使える仕組みにしたい」。
そこに一筋の道理があるとしても、
どうだろう。

もとをただせば持ち主は、
温かな響きのこもる言葉を育んだ庶民である。
素直に、
そだねーと頷(うなず)きがたい。



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