12月7日 おはよう日本
1964年に開催された東京オリンピックの公式ポスター。
ポスターに写っている6人の選手。
奥から2人目の横顔がわずかに見える男性は
千葉県流山市に住む岡本政彰さんである。
今年80歳を迎えた岡本さん。
スポーツジムで汗を流すことを日課にしている。
(岡本政彰さん)
「いいですね。
すごく晴れ晴れとしています。
体が軽くなるんですよね。
今ものすごく軽いです。」
熊本県出身の岡本さんは高校時代から陸上の短距離選手として陸上の全国大会にも出場。
大学卒業後は実業団の全国大会で優勝するなど
東京オリンピックで男子100メートルでの出場を目指していた。
そうしたなか岡本さんは同じチームに所属する元日本代表の先輩に誘われ
ポスターの撮影に参加することになる。
撮影は1962年3月。
場所は旧国立競技場。
ポスターのねらいは
“6人の選手が折り重なり
さらに全員の顔が見える”。
撮影は難航を極めた。
シャッターを切るタイミングが遅れたり
また全員の顔がとらえられなかったり。
3時間にわたり30回以上のダッシュが繰り返された結果
決定した1枚。
約100枚のフィルムから採用された珠玉のショットである。
(岡本政彰さん)
「『もう1本お願いします もう1本お願いします』と言われても
『もう撮りたくない』という思いは全然なかったですね。
やっている時は必死で無我夢中というんですかね。」
大会を彩るポスターの撮影から2年半後に開会した東京オリンピック。
しかしその場に岡本さんの姿はなかった。
選考レースを前に右足を負傷し東京五輪出場が果たせなかったのである。
夢をかなえられなかった岡本さんだが
自宅に飾っているポスターを見ると今でも熱い気持ちがこみあげてくると言う。
(岡本政彰さん)
「若いときの自分はこれだけのことが出来たんだし
出来るんだから今後も頑張っていこうという気持ちがわいてきた。」
半世紀を経て再び東京で開かれるオリンピック。
岡本さんは自分の夢を若い選手たちにたくし
その活躍をまぶたに焼き付けたいと考えている。
(岡本政彰さん)
「若い選手たちが世界で勝負できる成績を期待しているし
自分もこの目で見てみたいというのが僕の今の心境です。」
このポスターはオリンピックの歴史の中で初めて写真が使われたケースで
オリンピックポスターの中でも傑作の1枚と言われている。