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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

中野信子「サイコパス」

2017-09-06 16:47:34 | 読書のススメ
★ネタバレなし★

MENSAにも所属していたことがあるという、筆者の「サイコパス」に関する詳細な新書。
こちらも「言ってはいけない」の時期に、平積みされていたのを衝動買いした。
小説が続いていたので、新書を読むことにした。

内容は「言ってはいけない」にも書かれてあったことと関連していて、むしろ「言ってはいけない」が正しかったのか、という感想をもった。
「サイコパス」ということばは私はほとんど知らなかった。
マンガやアニメ、ドラマなどにもよく使われるようだが、私はあまり耳にしたことがなかった。

言われてみれば、これまでの私の職場にも確かにサイコパスと呼ばれる人がいたな、と思う。
私とは合わない人ばかりだったと思うが、彼ら彼女らに傾倒する人たちがいたことも確かだ。
企業にはそういう人も必要なのかもしれないと思う一方、深く付き合う気にはとてもなれない。

私は何をしてもドキドキして不安に駆られるほうなので、どうやら違うようだ。
この本はサイコパスなる人たちをどうにかしようとか、解決しようというような本ではない。
それが逆に冷静な文体になり、怖さに説得力がある。

おもしろおかしく取り上げるような、週刊誌的な情動性はない。
こういう人たちを反社会的な人間として取り上げようとしているわけでもない。
そういうものを求めている人は、肩すかしを食らうだろうし、退屈かもしれない。

本の内容とは直接関わらないが、脳科学や遺伝子についての研究が、私が想像しているよりももっと進んでいるのだと痛感させられる。
私の今考えていること、感じていることが、手に取るように「科学的に」説明される日がくるのかもしれない。
そう考えると、私たちが行動し、思考し、感情をかき立てられるのも、科学的な何かによるものなのかと、複雑な気持ちになる。
あなたがイライラしているのは、○○という脳内物質のせいなのですよ、と説明されても、私たちの怒りを納得することはできない。
AIやコンピューターが、私の思考や感情を説明する日が近いのかもしれない。


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