★ネタバレなし★
アマゾンで購入。
中身はほとんどわからずに、アマゾンの評価が高かったというだけで手に取った。
漱石の「坊っちゃん」を読んだこともあり、そろそろ文芸批評や評論について、もう一度問い直しておこうとおもったのがきっかけだ。
この本を読む人が、読者の知的なレベルや予備知識がどの程度なのかわからない。
しかし、私にはとてもマッチしていたようだ。
ほどほどに知的で、ほどほどに初心者向けの文学理論である。
ただ、文学理論を全く読んだことがない、文学もほとんど知らない人にとっては厳しいだろう。
引用されている本も、イーザーや柄谷行人、バルトなどこの本をきっかけに読むべき本が目白押しだ。
近代文学がいかに築かれて、そしていかに衰退していっているかもよくわかる。
国公立の文学部が肩身の狭い思いをするようになった昨今、この本を読めばそれもやむなしと思えてしまう。
だが、逆に、そういう時代だからこそ、どのような「文学」がありうるのか模索する必要もあるだろう。
民主主義や資本主義、そして近代文学、さまざまな「近代なるもの」が次の時代を迎えようとしているのではないかと切に感じさせられた。
果たして、私たちはどこに向かおうとしているのか。
文学に興味がなかった人にもお勧めしたい一冊だ。
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