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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

アンブレイカブル

2008-08-24 16:23:25 | 映画(あ)
評価点:83点/2000年/アメリカ

監督:M・ナイト・シャマラン

この映画は賛否両論あるようであるが、僕は好きだ。

職を探していた主人公(ブルース・ウィリス)は、帰りの電車の中で、事故に遭う。
乗客は彼を残して全員死亡。
しかし彼は無傷だった。
数日後、彼の車に手紙が挟まっていた。
その送り主(サミュエル・L・ジャクソン)は、少しの衝撃でも骨が折れてしまうという難病の男だった。

「シックス・センス」の監督が撮ったアメコミをモティーフにした作品だ。
前の作品が良すぎたために、この映画への批判は大きかった。
この間あった「ハプニング」までの流れを考えると、この監督は本当に自分が好きな話ばかりを映画にしてきたのだな、と思う。
それはとても幸せなことだ。

この映画、期待を裏切るという意味ではとてもおもしろいと思うのだが。

▼以下はネタバレあり▼

この映画の最大の特徴はその落ちにあるだろう。
ずっと「主人公はアンブレイカブル(壊れない者)なのか」
あるいは「なぜアンブレイカブルなのか」ということに執着させられる。
しかし終幕の落ちは一連の事故の真相だった。
つまりイライジャ側の物語であったことを思い知るのである。

それまでの伏線はたしかに十分あった。二度見れば確かに確認できる。
キャラクターが初登場する時は常に反射した画であること。
「反対」というコンセプトに撮られていること。
イライジャが妙に三つの事件にこだわること。
イライジャの過去が、順を追って挿入されていること。
などであろう。しかしそれに気づくのはあくまで二回目である。
最初見たときは、誰でも「騙された!!」と感じるのは無理もない。

なぜだろう。
それに大きく関わっているのは、家族の確執と過去の事件である。
家族が「アンブレイカブル」であることに不安と期待を覚える。
そしてデヴィットとその妻との間の関係も丁寧に描かれる。
過去に起こした交通事故との遭遇も大きい。
それによって「アンブレイカブル」であることを強く印象付けられる。
大きくはこの二つのエピソードで他の伏線を見えなくなせ、盲目になる。

このギャップが最大の魅力であり、また批判の部分でもある。
この楽しみについてこられた人は、幸せかもしれない。
いずれにしても、これだけの完成度の高い映画は珍しい。
全てのカットに意味を見出せる、そんな映画は珠玉といえるだろう。

ブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクソンともに、最高の演技を見せてくれた。
彼らも賞賛に値するだろう。

(2002/05/12執筆)

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