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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

YAMAKASI ヤマカシ(V)

2010-01-31 10:18:14 | 映画(や)
評価点:76点/2001年/フランス

監督:アリエル・ゼトゥン

ビルのぼりを趣味とする集団「ヤマカシ」の物語。

自らを「ヤマカシ」呼ぶビル登り集団が、警察の頭を悩ませていた。
ヤマカシのメンバーを友人にもつアスミンヌは、「子どもがまねをするといけない」と忠告しにいく。
しかし、アスミンヌの恋人の弟、ジャメルが真似をし、木から落ちてしまう。
心臓を患っていたジャメルを救うには24時間以内の移植しかない。
しかし臓器提供者は国内におらず、国外のリストに載せてもらうには40万フランという大金が必要だと迫られる。
それを聞かされた7人のヤマカシは、金がなければ動かない医師の理事メンバーからお金を盗み、約束の12時までに資金をそろえる計画を立てる。
一方、刑事であるアスミンヌは参事官に掛け合い、協力を乞う。

▼以下はネタバレあり▼

ストーリー自体は、それほど目新しくもない。
しかし、この「ヤマカシ」という集団が、すごい。
個人的に大好きなジェット・リーや、ヴィン・ディーゼルのようなアクション・スターにあるすごさとは全く違ったすごさだ。
ビルを素手ですいすいと上っていく姿が、これほどかっこいいものだとは思わなかった。
見た目だけの筋肉ではなく、握力、背筋、腹筋など、全体のボディー・バランスが整っていないと、こんな動きはできない。
しかも、速い。
おそらくテープを微妙に早送りしているからだとは思うが、それでも、躊躇いなく飛び降り、足場を見つけて上っていくスピード感がとても心地いい。
武力的な強さをもっているわけではないのに、これだけかっこよく見せる、そして見えるのは、面白い。

「動きで勝つ」という新たな戦い方を教えてもらったかのような映画だ。
「レオン」以来、様々な映画を撮っては、毀誉褒貶されてきたリュック・ベッソンだが、この映画はほめられる方に入るだろう。

ただ、先にも書いたが、ストーリーはかなり無茶をしている。
「趣味でビルに登る」をモットーにしていたヤマカシが、犯罪に手を染めてしまうのは、やはり違和感がある。
ラスト、彼らは無罪放免でなんとか切り抜けるが、それは、ありえない。
なぜなら、犬のいた大豪邸に進入した際、姿をビデオに撮られていただけでなく、手袋をしていなかったことまで撮られていた。
つまり、指紋をとって、事情聴取であわせてみれば、一発で有罪確定だ。
わざわざ刑事のアスミンヌが、かばってやる必要もない。
指紋もとれないフランス警察は、犯罪のし放題ということになってしまう。
この点は考慮すべきだった。

ともかく、小さくまとまった、いい映画であることは確かだ。
ただ、日本ではこんな集団が現れることはないだろう。
だって、ビルとビルの間があんなに近くないから。
ビルから飛び降りたら、まっさかさま。死んじゃうよ。

(20003/10/8執筆)

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