ええ、その通りです。
映画館に行こうと思って、パトリシア・ハイスミスの「キャロル」を買ったものの、そのまま放置していた本ですよ。
ハイスミスといえば、有名な同性愛者で、彼女の作品の随所にそういう場面が出てくる。
「リプリー(太陽がいっぱい)」での描写も、憧れよりもむしろ恋愛に近い感情を持っている。
私は詳しくは知らなかったが、驚かない事実だろう。
ということで、積ん読になっていた作品を手に取った。
舞台芸術(舞台背景)を目指すテレーズは、クリスマス商戦の百貨店でアルバイトをしていた。
疲れて帰る彼女は、恋人がいたが愛情を感じたことはなかった。
そんなとき、百貨店で働いているとき、一目見て心を動かす人を見つける。
思わず客でありながら、テレーズは近づこうとする。
その人は、テレーズにとってはじめて恋愛感情を抱いた、女性だった。
▼以下はネタバレあり▼
思っていた以上にコテコテの純愛小説で、私にとってはあまり得るところがない印象を持った。
もうすこしスリリングな描写やこちらを翻弄するような展開を期待していたことがまずかったのかもしれない。
面白くないわけではないが、それ以上を求めてしまうのがファンの心理だ。
私はハイスミスが本当に大好きだし、それほど全てを読んでいるわけではないが、それでもファンだと思う。
その私にとっては、ちょっと彼女自身の思い入れが強すぎたのか、平均以上と思えるほどの読後感は与えてくれなかった。
映画のほうはどうなのか、また鑑賞したいと思う。
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