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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

D&D 完全黙秘(V)

2008-06-21 08:51:39 | 映画(た)
評価点:60点/1995年/香港

ジェット・リー主演の「コメディ」・カンフー・アクション。

妻子を持つ警察官ウェイ(ジェット・リー)は、ある日潜入操作のために、香港に派遣された。
妻子には自分の仕事について何も話していなかったため、ウェイは気がかりであった。
元々病弱であった彼の妻は、北京で夫の噂を耳にする。
潜入捜査中のウェイが、人を殺したという噂だった。
その事件のとき、命を救われた香港警察のフォン(アニタ・ムイ)は、ウェイの身元を調査するため、北京に向かう。
そこで彼女が目にしたものは、貧困の中でたくましく暮らす妻子の姿だった。
ウェイへの恩返しの意味でも妻子の傍についていたフォンは、妻が死ぬ場に居合わせる。
ウェイの秘密に気づいたフォンは、ウェイの息子クーと共に香港を目指すのだった。

ジェット・リーがまだ「ジェット・リー」ではなかったころの映画。
「少林寺」のときほど古くないが、やはり中国映画。
どうしてもその古さが漂う。

▼以下はネタバレあり▼

物語の展開は物凄く古典的。
潜入捜査というシチュエーションもそうだが、それを家族にかくさなければならないという立場も昔からある設定だ。
ただ、この映画が他の作品と画しているのは、息子。
主人公の息子は、少林寺の大会で優勝するほどの格闘技の技を持っている。
この設定はかなり面白い。
それは映画としての面白さではなく、コメディーとしての面白さである。
子供のくせに、強すぎ!そして行動力ありすぎ!
彼のおかげでとても笑える映画になっている。
それが映画としていいのか悪いのかは別の話だが、彼がいなければこの映画はとても平凡な、つまらない映画になっていたことは確かであろう。

でも息子クーの設定が面白いというわけではないのだ。
彼の顔が面白い。
どうみても「中川家」の弟・礼二にそっくりなのだ。
どれだけかっこうつけても、「大阪のおかん」などのモノマネしている彼の姿がちらつく。
だからもう、面白くて面白くてたまらない!
彼を見るだけでも十分価値のある映画である。

それ以外の要素はかなり三流映画。
敵のボスは非常にオマヌケ。
部下に、「液体爆弾を取引する。
しかし俺は金を払いたくない! 誰かいいアイデアを考えろ!」
とほざくジャイアンぶりには爆笑。
いやいや、お前に考えがないならそんな無茶言うなよ! とツッコミたくなる。

そしてウェイの身元がばれた時のボスの態度。
「俺が直接手を下すまでもない」
といって、部下が後ろから襲ってくる。
そして部下とウェイとの格闘。その後ボスは銃を取り出しこのセリフ。

「俺が殺してやる!」
お前どっちやねん! その挙句の果てに部下を誤射してしまう。

「無能な部下は死んでしまえ!」
お前が一番無能だろ! 馬鹿すぎる。
もうどうしようもないくらい馬鹿だ。
彼のおかげで物語が破綻しそうな勢いである。

また中国らしいと思ったのが妻が死ぬこと。アメリカなら絶対殺さない。
その後、父親を追って息子(中川礼二似)が、香港に向かうという無茶っぷり。
ラストでは中川家がヒロインであるフォンと結婚するように気を使う。

ちなみにその前には、フォンはそれまで上司と付き合っていたが、その上司からの婚約を蹴るというシーンがある。
物凄い無理やりな展開だが何とかきれいに終わらせた感じだ。

ぐでんぐでんな展開が、ちょっと「グリーン・ディスティニー」に似ている。
中国人はみんなこんな無理やりな脚本が好きなようだ。
もっと探せば「面白さ」は幾らでもある。
結婚指輪を指で真っ直ぐにするとか。
貧乏だから針金のような指輪しか買えなかったのだろう。

付け加えて、声についてだが、彼らの声は全てが吹き替えだ。
子供の声はおそらく大人の女性が担当しているのだろう。
リーという中年の女性が出てくるが、彼女の声も違和感があった。
中国映画では良くあるらしいが、もうすこしうまく吹き替えて欲しい。

肝心のアクションに関しては良い。
多少、カメラ・ワークが悪いが、ジェット・リーがかっこいいので許す。
また息子が若干吊られているのがばれているが、まあ、予算を考えると仕方がないか。
でも展開の「面白さ」に比べれば霞んでしまう。
ジェット・リーと聞いてDVDを買おうかと迷ったが、コメディは買う気がしないので、見て良かった。

何がどう完全黙秘なのか良くわからないが、タイトルにあるので黙秘なのだろう。
完全黙秘していても敵にばれているのだから意味ない気がする。
そういえば、妻は死ぬまで主人公の職業、知らなかったな。
妻に完全黙秘か……。

(2002/12/23執筆)

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