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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

東浩紀「訂正する力」

2023-11-23 17:07:32 | 読書のススメ
ゲンロンを立ち上げた東浩紀の新作の新書。
本屋に平積みされていたこともあり、気になっていたので、買った。
彼の本を実はあまり読んでいなくて、奥さんに薦められた記憶はあるが、結局読んでいないような気がする。

語った内容を記録するという形式だったこともあり、かなりライトな語り口だが、話は非常に興味深い。
特にネットにばかり侵食されがちな若い世代に読んでもらいたい。
まあ、薦める相手もいないけれど。

▼以下はネタバレあり▼

日本に最も欠けているのは何か、訂正する力である、というのが論旨だ。
少し前に聞いた話では、2022年において日本のロケットの発射本数はゼロ。
これは失敗しないことを確認してからでないと日本ではロケットさえ打つことができない。
対して、アメリカは成功率がたとえ低くてもどんどん打ってみる。
打ってみて改善するというスタンスなので、200本ほど打っていた、らしい。

その話が記憶に新しかったので、余計にこの本が指摘している内容がすんなりと理解できた。
日本は憲法さえ、実態に合わせて変更することができないほど硬直的な社会だ。

また、「これはじつは……であった」という捉え直しについても、共感するところが大きい。
私は同じ本を読んで、違った見方に気づくという経験があったから。
それが文系の力である、といわれたら、確かにその通りで、この考え方を援用することが、その可能性が多分にあるように感じている。

私がとりあえずいま生きてこられたのは、自分が環境に合わせて変化できたからだと考えている。
幼少期の私の、頑迷さを持ち続けていたら、今の私はいなかっただろう。
それが、「どんな環境になっても変化できる」ことへの自信になり、今かろうじて職を得て食にありついている。
そういう自己の「訂正する力」は生きる力だと思うし、SNSやネットに情報が残り続けることが、逆にその変更を難しくさせているとも感じている。

「訂正可能性の哲学」も読んでみたい。
(いや、先に積ん読が私を追い立ててくるが。)


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