反米アクション映画 ついに日本で解禁
12月1日~7日まで、京都みなみ会館で限定ロードショーされた「IRAQ 狼の谷」、5日に鑑賞してきました。全国でも上映されたシアターは限られたようですね。そういう意味で、きっと鑑賞された人も少ないのではないかと思います。
とはいうものの、トルコ映画であるこの作品、本国トルコでは、歴代動員記録第1位という史上最大のヒットを記録した凄い作品だそうです。そして世界28ヶ国でも公開され大きな反響よんだというのですから・・・・。観ないわけにはいきません。
反米アクションという事ですから、もちろんアメリカでは鑑賞禁止となりました。アメリカと仲良しの日本で解禁されたことも、ちょっと驚きかも。
地元トルコでの人気はかなりのもので、閣僚までが鑑賞したそうです。国内最大規模480スクリーン、シネコンのスクリーンを埋め尽くすほどの勢いで公開されるやいなや、連日映画館に行列ができ、封切から1ヶ月で400万人を動員。社会現象と化した熱狂は、国民15人に1人が見るというほどの凄さですその興奮はシリア、エジプトなど中東13ヶ国で公開されイスラム国全域に広がる
しかしヨーロッパでは、ドイツ・イギリス・フランスと次々公開されるも、あからさまな反米主義や一方的なユダヤ人を思わせる医師の描き方が批判され、物議をかもした。
特に多くのトルコ移民を抱え、かってのユダヤ問題に慎重なドイツでは、上映反対運動や年齢制限審査をやり直すということにまでに。政治・メディアまでも巻き込む社会問題に発展したらしい。
という様々な反響をもたらしたこの「イラク 狼の谷」という映画のストーリーをレビューすることに。
2003年7月4日、イラク北部のスレイマニエで、サム・マーシャル率いる米軍部隊がトルコ特殊部隊本部を襲撃、兵士ら11人を拘束して、顔が見えないように頭にフード(布袋)をかぶせて連行するという事件(フード事件)が起こった。そのとき連行された将校スレイマン・アスランは、友人ポラットに屈辱の恨みを晴らしてくれと書き残して、事件後に自〇した。
トルコの元諜報員ポラット・アレムダルは、メナティとクルド系トルコ人アブデュレーの2人の部下を伴って、車でトルコからイラクへ向かった。一行はいずれも特殊部隊の出身だ。国境では、クルド人自治区の民兵が検問を張っていた。ポラット一行は、怪しいとにらまれて車を調べられそうになり、民兵たちを射殺してイラク・クルド人自治区へ入った。
北部のアラブ人の村では、導師ケルクーキ師の養女レイラの婚礼が行われようとしていた。祝宴が始まる夜を待ち構えていたマーシャル、ダンテら米軍部隊は、銃による祝砲が聞こえるとただちに式場を包囲して、関係者をテロリスト容疑で取調べ、連行しようとした。米兵の誤射により幼児アリが射殺されると式場は大混乱になり、銃撃戦で双方に死傷者が出た。レイラの新郎も射殺された。
ハリルトン・ホテルについたポラット一行は食堂で夕食をとる。それをかぎつけたクルド民兵がかけつけてポラットたちを連行しようとするが、ポラットはホテルの支配人を呼べという。ポラットは、支配人フェンダー氏に「ホテルに爆弾をしかけた。サム・マーシャルを呼べ。」と脅す。マーシャルは、クルド人児童たちとのパーティーをキャンセルしてホテルに急行。ポラットは名を告げて、ホテルを爆破されたくなければ、兵たちともどもフード(布袋)をかぶって報道陣の前に立て、とマーシャルに迫る。マーシャルは、これがフード事件の雪辱と悟るが、卑怯にもクルド人児童30人をホテルに連れてこさせ、人質同然とする。ポラットらはマーシャルの卑劣さに憤るが、ホテルを悠然と後にする。
例の婚礼関係者の一部をコンテナ車で輸送する途中、ダンテは機関銃でコンテナを穴だらけにして連行されてきた人々を殺戮した。良心的な将校が抗議すると、ダンテは彼をも射殺する。復讐するというレイラをなだめ諭すケルクーキ師。
アブグレイブ刑務所では、悪徳医師がイラク人捕虜の体から臓器を取り出してイスラエルなどに横流ししている。到着したコンテナ車の人々が射殺されているのを見て、その医師は「遺体の臓器は使えない」とダンテに抗議する。アブグレイブ刑務所では、捕虜にホース放水するなどのひどい虐待が行われていた。リンディ・イングランドと思われる女性兵士が捕虜を引き出して人間ピラミッドにする虐待を加えている。
トルコマン(イラクのトルコ系住民)であるエルハンが一行に加わり、彼の手引きで、ポラット一行はトルコ系指導者ハサンの家に隠れる。ハサンによると、バザールでマーシャルとクルド・アラブ・トルコ指導者の三者会談が行われるという。
バザールのある店で会談するマーシャルと三人の指導者。先日の婚礼で息子アリを殺された父親が米兵たちに近づく。レイラが来て彼を止めようとするが、彼は聞かない。その父親は米兵のそばで爆破スイッチを押して自爆した。惨状に人々が逃げ惑うバザールの広場。マーシャルを狙って来ていたポラットたちは、米兵たちと銃撃戦を繰り広げ、逃げさる。
ポラットの正体を調査したダンテはマーシャルに告げ、マーシャルはトルコ系指導者ハサンを家に呼びつけた。マーシャルはハサンを射殺し、米軍部隊がハサンの家を襲撃する。逃げ出したポラット一行は、あのレイラと出会って家にかくまわれる。
クルド人の集会。指導者はマーシャルの功績を賞賛し、サッダーム・フセインの大統領官邸にあったピアノを彼に贈ると発表する。二人は小声で語らう。「トルコは片付けた。次はアラブだ。」 夜、列車でピアノが運ばれてくる。列車に飛び移り、細工をするポラット一行。
武装組織がジャーナリストを公開斬首しようとしている。そこに導師ケルクーキ師が現われて、敵と同類になるな、とイスラムの教えを説きながら諭す。彼は忍耐の大切さを説く。 一方、マーシャルは、クルド人指導者を家に呼び、導師は「アメリカに逆らう人物、つまりテロリスト」だから逮捕しろ、と指示する。クルド人指導者は、先祖代々、導師のおかげで生活ができているから、関与したくないとおそるおそる断る。
マーシャルが家に届いたピアノを弾こうとすると、爆発するピアノ。マーシャルの家が吹き飛んだと聞いて、人殺しが死んだと喜ぶレイラとポラットの手下たち。ポラットは、今後の追及を避けるために村に逃げようと、レイラに助言する。
(Wikipediaより抜粋)
街から離れたある村に、ポラット一行とレイラは逃げてきた。夜、米軍部隊が村を襲撃してきた。マーシャルは間一髪生きていたのだ。逃げ惑う村人たちを虐殺する米軍。銃撃戦の末、ポラット一行は米軍部隊をほとんど倒した。レイラは、夫からもらった家宝の短刀でダンテを刺し殺すが、マーシャルに射殺される。ポラットとマーシャルの一騎打ち。ポラットはマーシャルの胸にナイフをうずめる。もうすぐ朝だ
主なキャスト紹介
ポラット(ネジャーティ・シャシュマズ) 1971年、トルコ・エリャズ生まれ。アンカラで育ち、旅行ビジネスの学校で学ぶ。卒業後、トルコ国内に会社を設立。あるとき、アメリカに永住を決意して渡航することに。しかし機上であの9,11テロ事件が起こり、飛行機はトルコへ戻る。結局トルコに留まることに・・・・。その直後、「狼の谷」テレビプロデューサと知り合い、ほぼ演技未経験にも関わらず、主役のポラットに抜擢される。
サム・マーシャル(ビリー・ゼイン)クリックして下さい。プロフィールの詳細が分かります。
アブドゥルラフマーン・ハリス・ケルクーキ導師(ハッサン・マスード)1958年、シリア・ダマスカス生まれ、シリアでは映画俳優として数多くの作品に出演。俳優以外に、脚本家・舞台演出家・映画監督としても活躍!シリアの国民的存在。リドリー・スコット監督の「キングダム・オブ・へブン」(05年)でイスラム指導者サラディンを演じ、世界的に存在が知られるようになった。
米軍施設の医師(ゲイリー・ビジー)クリックして下さい。プロフィールの詳細が分かります。
かなり荒削りな作品です。サム・マーシャルというアメリカ人がかなりの悪人なもんで。すべてのアメリカ人が極悪非道極まりないというイメージを持ってしまいます。これで余計にアメリカ人が印象を悪くなってしまい・・・・。こんなアメリカ人ばかりではないんでしょうが。とは言え、イラクへのアメリカ介入がいっそうこの作品おかげで中東の反米意識がヒートアップするのは何となく分かります。ブッシュ政権もあと少し、大統領交代で変わるのか????イラク問題が気になりますね。そんなこんなで「イラク 狼の谷」、それなりに見ごたえありましたが。