Une Vie Toute Neuve
ジニ役を演じたキム・セロン。2000年生まれの10歳。本作での演技が高く評価され、あのウォンビンとのダブル主演を果たしているそうです。テレビドラマや雑誌のモデルなどで多数のメディアに登場している。場慣れしているのかな?
10歳の女の子とは思えない、落ち着いた感じだ。主人公ジニという女の子が本当はキム・セロンじゃあないのと思うくらいに、この役と彼女が重なって見える。
さてお話だが、これがまたう~ん辛くて悲しいっていうか、幼い子どもにとってこの現実はあまりにも苛酷。だから観るのにちょっと勇気がいった。
ところが、意外にも淡々とした雰囲気である。それはこのジニという少女のキャラクターから来るものか?泣きながら父への思慕を伝えるシーンが何度かあるが、それは激情的なものではない。心の奥底に刻まれた深い思いみたいな感じかしら。。。
そんなに恋しいなら、一層のこと父を追いかければいいのに。そんな行動には出ないのだ。
ジニは父と共にこの施設へ。途中購入したケーキを手土産に。
父親役にはTSUNAMIのソル・ギョンク。残念ながら登場シーンはちょっとだけ。
STORY
1975年の韓国、新調してもらったよそいきの洋服を着て、9歳のジニは大好きな父に連れられ、バスに乗ってソウルの郊外へやって来る。着いたところには高い鉄格子の門があった。庭では幼い子どもたちが遊んでいる。
ジニは父親とは別に、子どもたちがいる部屋に通されるが、状況がわからず。思わず外に飛び出してしまう。
目に入ってきたのは、門の向こうに去る父の背中。
実はここは、女児だけが集まるカトリックの児童養護施設だった。
自分は孤児ではないと主張するジニは、父に連絡を取るように院長に頼む。出された食事にも手をつけず反発をくり返すジニ。
ついには脱走も試みるが、門の外へ踏み出しても途方にくれてしまうのだった。(無謀な行動は起こせず)
日曜日、教会へ行くために子どもたちは着替えていた。しかしジニは頑なに周囲に馴染もうとはしない。そんなジニのことが疎ましいと思いながらも、気にかける年上のスッキ。何かと準備の遅いジニの世話を焼く。
心閉ざしていたジニ、スッキと仲良くなる。
健康診断のためにやって来た医師に、なぜこの施設に来たのかと質問されたジニは、ぽつりぽつりと話し始める。
彼女がここへ来た理由が分かります。
父親の再婚、そして父親と新しい母親との間に生まれた赤ん坊のこと・・・・。大粒の涙を流しながら話すジニの姿に、私もグッときてしまった。
すっかり仲良くなったジニとスッキは庭で見つけた小鳥の世話を始める。アメリカや遠い外国への憧れを口にするスッキに、自分はどこへも行かないというジニ。
ジニは父が迎えに来ると信じていた。アメリカ人のスペンサー夫妻が養女を探しに来た時も、積極的にアピールするスッキとは対照的に、ジニは黙り込む。やがて小鳥も死んでしまった。
スッキとジニに興味を持ったスペンサー夫妻は再び施設を訪れた。スッキははきはきと受け答えするも、ジニは相変わらず黙り込む。
一緒に外国へ行こうというスッキの誘いにジニの気持ちもほんの少し動いたようだ。
寮母役にはパク・ミョンシン パク・チャヌク監督作品「親切なクムジャさん」、「オールド・ボーイ」にも出演。最新作ではポン・ジュノ作品、「母なる証明」にも登場している。
施設でいちばん年上のイェシン(コ・アソン)がある日、自○を図った。足の不自由な彼女は、出入り業者の青年に失恋し、将来を悲観したのだ。戻って来た彼女は命を粗末にしたことを侘び、嫌がっていた養女の話を受け、静かに施設を去って行く。
そして追い打ちをかけるように今度はスッキがスペンサー夫妻の養女となってひとりこの施設を出て行ってしまう。裏切られた思いを抱え、再び自分の殻に閉じこもるジニ。
そんなジニは、院長に父を訪ねて欲しいと頼む。しかしジニの伝えた場所には他の家族が住んでおり、父の行方は分からなかった。
ジニは小鳥の墓を掘り返して、そのままどんどん掘り進めた。掘った穴に自分を埋めはじめる。息苦しくなり、思わず顔の土を払った。
彼女の瞳はまっすぐに空を見つめていた。
ジニはこれからの自分を見つめなおしたのか、、、、。いよいよ再生する時が来たようだ。
ジニの旅立ちのときがやって来た。
辛い状況を乗り越えたジニの姿が印象的。未来に幸あれと願う。
解説(allcinemaより拝借)
これが監督デビューとなるウニー・ルコントが、その脚本に惚れ込んだ「オアシス」「シークレット・サンシャイン」のイ・チャンドン監督のプロデュースを得て撮り上げた韓国・フランス合作映画。実際に韓国のカトリック系児童養護施設からフランスの家庭に養女として引き取られた監督自らの体験をベースに、過酷な運命を受入れ悲しみを乗り越えていく一人の少女の心の軌跡を繊細に描き出す。
ウニ―・ルコント監督インタビューは→こちら
メディア | 映画 |
上映時間 | 92分 |
製作国 | 韓国/フランス |
公開情報 | 劇場公開(クレストインターナショナル) |
初公開年月 | 2010/10/09 |
ジャンル | ドラマ |
映倫 | PG12 |
http://www.fuyunokotori.com/
監督は自叙伝的作品としてこれを作ったそうですが、実体験に基づくだけにあまりにリアル。それにしても、何で韓国ではああいう風に捨てることが出来ちゃうんでしょう…
ジニは本気で脱走するつもりはなかったのでしょうね。
幼心にも親に捨てられた現実は身に染みているけど、それを受けとめきれない自分・・・。
でも、やがては現実を受けとめ新たな人生を歩み出していく。
それはジニだけではなく、施設の子供達はそうやって大人になっていくのでしょうね。
いやあまた素晴らしい作品に出会えました。
施設の子どもたちがどんな思いで暮らして
いるのか、、、。色々考えさせられました。
いつまでも悲しみに浸っていては、
解決出来ない。その一歩を踏み出すために
気持ちを切り替えることにかなりパワー
がいるだろうなあなんて思いました。
mezzotintさんに背中を押してもらわなかったら、行かなかったかも。
もうセロンちゃんに脱帽!!あれは反則もんですよ。
私も医者にポツリポツリと話すシーンは、印象深いのですが、その時はどんどん眉間にしわが寄って行く。
そして最後にみんなから「蛍の光」を歌われるシーンで決壊しました。
韓国の子役さんにはいつもビビらされますが、今回もすごかったです!!
きっと後悔されたと思いますよ。
もっと上映回数、増やしてくれたらいいのにね。でも無理してご覧なられて良かったです。
しかし幼いながら、気持ちを切り替えるって
かなりパワーがいるでしょうね。
監督の体験が上手く作品に活かせたものではないでしょうか。韓国映画、凄いですね!