ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

星影のステラ (Stella By Starlight)

2007年07月03日 | 名曲

          ヴィクター・ヤング

  
♪自分的名盤名曲175


星影のステラ (Stella By Starlight)
■作詞…ネッド・ワシントン(1946年)
■作曲…ヴィクター・ヤング(1944年)
■ヴィクター・ヤング・オーケストラ、ハリー・ジェイムス・オーケストラ、サラ・ヴォーン、アニタ・オデイ、ナット・キング・コール、フランク・シナトラ、スタン・ゲッツ、マイルス・デイヴィス、キース・ジャレットetc・・・


 「星影のステラ」は、1944年にパラマウント映画「呪いの家」の主題曲として、ヴィクター・ヤングが作曲しました。映画は、美女を死の世界へ誘い込もうとする悪霊と、彼女を護る善霊、そして彼女を愛する若い作曲家の戦いを描いたホラーものです。
 映画のサウンド・トラックには「ステラ・バイ・スターライト」のクレジットはなく、このメロディの曲は「プレリュード」とタイトルされています。
 広く知られるようになったのは、1946年のヴィクター・ヤング・オーケストラのレコードからです。同年、ネッド・ワシントンによって歌詞がつけられました。おそらく、映画の登場人物名である「ステラ・メレディス」にちなんだタイトルなのでしょう。
 この曲にいち早く目をつけたのがフランク・シナトラで、翌47年にレコーディングしています。


     
     映画「呪いの家」 1944年


 ジャズマンが演奏するようになったのは1950年代に入ってからです。チャーリー・パーカー、スタン・ゲッツ、バド・パウエルなど、多くのミュージシャンがインストゥルメンタルの素材として取り上げるようになりました。
 実に転調の多い曲ですが、これは意図的なものだと考えられます。メロディーはあくまでも自然で美しく、ジャズ・テイストにあふれた名曲だと言えるでしょう。


 ぼくの好きな「星影のステラ」は、マイルス・デイヴィスの『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』に収められているものと、キース・ジャレットの『星影のステラ』に収められているものにつきます。ちなみに両方ともライヴ盤です。


     
     マイルス・デイヴィス『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』
     1964年


 マイルスの「ステラ」は、クールに熱いマイルス的バラッドの名演だと思います。ハービー・ハンコック(pf)の、短いながらも印象的なイントロに始まり、緊張感みなぎるマイルスのテーマが現れます。テーマは緊張感を保ったままアドリブに入り、感極まった聴衆のひとりが叫び声をあげているのを聴きとることができます。
演奏は次第に熱気をはらんでゆきます。バックはマイルスの動きに合わせて瞬時に反応します。このあたりのコンビネーションはさすがですね。クールに始まり、熱い高音ヒット連発に至るストーリーは何度聴いてもいいものです。


     
     キース・ジャレット・トリオ スタンダーズ
     『星影のステラ』 1985年 試聴はこちら


 キースの「ステラ」は、ルバートのフリー・ソロ・ピアノで始まります。2分40秒を過ぎたあたりから「ステラ」の骨格が現れます。3分20秒過ぎにベースが入ってきて、イン・テンポとなります。ミディアム・ファストの速さに乗って曲が進みますが、ベースもドラムスもテンポをキープしないで、スリリングにピアノに絡み続けます。そしてソロの2コーラス目から4ビートのベース・ランニングとシンバル・レガートのバッキングとなります。とくに斬新なアレンジでもないのですが、不思議に惹きつけられる典型的なスタンダーズのパターンだと言えるでしょう。


 「星影のステラ」はぼくが好きなジャズ・スタンダードのひとつです。歌物を聴いてもよし、インストゥルメンタルで火花が散るようなアドリブ・ソロを聴くのもまたよし。幅広いアレンジが楽しめる名曲だと思います。


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コメント (4)
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