ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ヴァニラ・ファッジ (Vanilla Fudge)

2007年07月24日 | ミュージシャン
 
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ヴァニラ・ファッジ(Vanilla Fudge)
 ☆ヴィンス・マーテル(g,vo)
 ☆マーク・スタイン(keyb,vo)
 ☆ティム・ボガート(b,vo)
 ☆カーマイン・アピス(drs,vo)
「ユー・キープ・ミー・ハンギング・オン」動画
「ショットガン」動画


 「ヴァニラ・ファッジ」、今ではピンとこない人の方が多いかもしれません。
 ぼくが「ヴァニラ・ファッジ」の名を知ったのは、ジェフ・ベックが組んだトリオ、「ベック・ボガート&アピス」を通じてでした。このトリオのベースのティム・ボガートとドラムスのカーマイン・アピスが1966年から70年まで組んでいたバンドが「ヴァニラ・ファッジ」です。
 その当時の、「ニュー・ロック」とか「アート・ロック」と言われた一派の中にカテゴライズされるようですが、なるほど、今聴いても独創的な音作りが成されていると思います。
 1960年代後半のロック・シーンを見渡した時、同じオルガン主体のサウンドを持つバンドとして「イギリスのディープ・パープルに対するのがアメリカのヴァニラ・ファッジ」と位置づけることもできるかもしれません。


     


 サウンドの中心は、マーク・スタインの弾く個性的なオルガンと、カーマイン・アピスの重厚でパワフルなドラムにあると言えるでしょう。そのほか、リード・ギター以上に弾きまくるティム・ボガートのベースも存在感があります。また、4人ともリード・ヴォーカルを取れるのが強みで、それを生かしたゴスペルっぽいコーラス・ワークもバンドのサウンドに大きな効果を与えていると思います。


 ヴァニラ・ファッジには、サイケデリック色やクラシック色、そしてハード・ロックにも通じるヘヴィーなサウンドが混然と溶け合っています。
 初期の頃はカヴァー曲がとても多いのですが、原曲を見てみると、ビートルズやドノヴァンなどの英国勢のもの、スプリームスやジュニア・ウォーカーなどのソウル・ナンバーなどが目立ちます。これらを、サイケ色をイメージさせるオルガン主体のサウンドでリメイクしているのが特徴でしょう。変わったところでは、ベートーヴェンの「エリーゼのために」にトライしています。
 彼らのレパートリーを見てみると、5分以上のわりあい長尺の曲が目立ちます。これは、1曲3分前後のヒット曲を積極的に流す当時のラジオ局の方針に逆らうものですが、演奏時間にとらわれずに自分たちの表現したいように演奏するその姿勢は、のちのプログレッシヴ・ロックにも通ずるものがある、と言えるでしょう。


     
     「ユー・キープ・ミー・ハンギング・オン」


 ヴァニラ・ファッジの曲の中で有名なのは、何といっても「ユー・キープ・ミー・ハンギング・オン」でしょう。1967年7月に全米67位まで上がります。いったんチャート外に去りましたが、再発された翌68年には8月に全米6位まで上がる大ヒットを記録しました。元はスプリームスが66年に放ったNo.1ヒットです。ヴァニラ・ファッジはテンポを落とし、重く粘るヘヴィ・ロックに仕立て直しています。
 ぼくの好きなのは「ショットガン」です。この曲も非常にヘヴィでカッコいいハード・ロックです。これはのちのベック・ボガート&アピスのライヴにも取り上げられていますね。
 

 カーマイン・アピスとティム・ボガートのリズム・セクションはジェフ・ベックに大いに気に入られます。しかし、このふたりにロッド・スチュアートを加えてバンドを組むことになった矢先にジェフは交通事故で重傷を負い、バンドの話が流れてしまったのはよく知られたエピソードですね。この4人で組んだバンドの音を聴いてみたい、と思うのはぼくだけではないでしょう。でも、個性の強い4人ですから、バンドとしては長続きしなかっただろう、と思いますけれどね。


     


 ヴァニラ・ファッジは解散と再結成を繰り返していますが、現在では何度目かの再結成を果たし、ティム・ボガートとカーマイン・アピスを中心に活動を続けているようです。


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コメント (10)
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